水晶岳・赤牛岳・読売新道

すいしょうだけ(2986m)・あかうしだけ(2864m)
平成24年8月1日〜4日

今年こそはと思っていた読売新道。修復工事中で心配しましたが、通行出来るようです。
素晴らしい朝になったので、展望も期待できそう。わくわくで出発しました。


2012.8.3
(金)
 水晶小屋水晶岳温泉沢ノ頭休憩赤牛岳「6/8」地点樹林帯「2/8」「1/8」奥黒部
ヒュッテ
ほぼ快晴  05:30発06:10
06:25
07:20
07:25
08:15
08:25
09:30
10:25
11:25
12:00
12:35
12:45
14:00
14:15
14:50
15:00
15:40着



今日はいよいよ読売新道ですが、実は私一人だったら、多分この読売新道は来年以降に見送っていたと思います。エスケープルートのない長大な尾根で、殆ど人の通らない道。一週間前に聞いた「崩壊・ガレ高巻き・ガイド・登攀・ザイル」などの言葉が残っていたので、7月31日に通れるようになったと聞いても、どの程度に修復されているのか不安でした。一般登山者が通れるのと、登攀技術のある人が通れるのとでは大分違う。様子がはっきり分かるまで、一人はちょっと心配です。

でも今回はTAKAさんが一緒に行って下さるので、安心して決断できました。TAKAさんはテント装備だし、私も一応ツェルトは持ってきているので、途中で何かあっても一人でビバークしなくていい。ジャンダルムや大キレットを何度も歩いていらっしゃるTAKAさんがいて下さるというのは、本当に心強いです。


モルゲンロートの雲
【西の空】

迎えた朝は素晴らしい晴天。
小屋の上に出て、皆さんと御来光を待ちました。

西の空には、黒部五郎岳の上に白い月が残り、
モルゲンロートの雲に包まれ、とてもきれいです。


東の空には、翼を赤く染めた鳥のような雲が、いっぱい飛んでいます。
やがて太陽が昇ってきました。  今日の晴天に、ほんとうに感謝。


東の空
【東の空】

御来光
【御来光】

読売新道へ
【いよいよ読売新道へ】

5時からの朝食後、出発。小屋の前で、朝靄に霞む黒部ダム方面を眺めてから水晶岳へ向かいます。

水晶岳へはさほど難しい場所はなく、ウサギギクやシコタンソウなど見ながら進んで行きました。

今年の高山植物は一気に咲いて一気に秋を迎える風情で、花はどれも後半期のような感じです。

水晶岳へ
【まずは水晶岳へ】
水晶岳 山頂
【水晶岳 山頂】

水晶岳山頂に到着。
狭い山頂ですが、6年前はガスっていたので、この展望が感激です。今日は「四周すべて山」のとおりの景色が広がっていました。


まず目に付くのは何といってもトンガリ槍ヶ岳と穂高連峰。そして端正な笠ヶ岳。
昨日TAKAさんが歩かれた、鷲羽岳〜三俣蓮華岳。遠くには乗鞍岳。
この時は展望に目を奪われていましたが、写真の左端には水晶小屋も映っていました。

槍ヶ岳〜笠ヶ岳
【左端に水晶小屋   槍ヶ岳・穂高連峰     鷲羽岳      三俣蓮華岳・笠ヶ岳】

そして、これから目指す赤牛岳はあのピークでしょうか、その奥に剱岳と立山。
今回の終点、黒部ダムが朝靄の中に見えています。(ダム完成は、深田久弥氏還暦の年)
すぐ左は薬師岳から白い五色ヶ原。遠くに白馬三山や鹿島槍、針ノ木あたりのシルエット。
気持ちのいい稜線歩き、スタートです。山々を眺めながら歩けるって、本当に嬉しい〜

赤牛岳と立山・剱岳
【赤牛岳と立山・剱岳】

しばらく進むと、昨日歩いた雲ノ平にも朝日が当たって、きれいに見渡せるようになってきました。
雲上の楽園・・・ここから見ても本当に納得。北アルプスの山々に囲まれた素晴らしい台地です。
独特なカールの黒部五郎岳は、朝日の当たる午前中が特に素晴らしいと思います。

雲ノ平
【雲ノ平  奥は黒部五郎岳〜北ノ俣岳】

水晶岳を下ると花も多くなり、ハクサンイチゲ・ハクサンチドリ・シナノキンバイなど咲いていました。

TAKAさんも、いつもは単独。黙々と歩かれます。
私も後ろから、黙々とついて行きました。


温泉沢ノ頭へ
【温泉沢ノ頭へ】
温泉沢ノ頭から赤牛岳へ
【温泉沢ノ頭から赤牛岳へ】

2904mピークを越え、道標のある温泉沢ノ頭に着きました。高天ヶ原温泉への道が左に下りています。

更に続く気持ち良さそうな稜線。ポコポコと、ピークが幾つも並んでいますが、一番高いあのピークが赤牛岳でしょうね。

長いザレた砂礫の道がしばらく続きました。途中のピークは西側を巻きながら進んで行きます。

右手には三ツ岳〜野口五郎岳の稜線が見渡せていました。

砂礫の道
【長い砂礫の道】
赤牛岳へ
【あれが赤牛岳】  photo:TAKAさん

チングルマやイワカガミが咲くハイマツの大岩地帯を過ぎると、赤牛岳がずいぶん近づいて来ました。

次の鞍部は広い岩ゴロ広場なので、ガスっている日は要注意。稜線上のピークは、西側を巻くようにルートがついていました。

赤牛岳直下の大岩ゴロゴロ地帯を登って行くと、単独女性が下りて来ました。

水晶小屋からのピストンかと思えば、今朝3時半に奥黒部ヒュッテを出発して、ヘッデンで登って来たとのこと。凄〜い!!思わず拍手してしてしまいました。この時間で赤牛岳!今日は水晶岳を越えてどこまで行くのでしょう。凄いなあ〜♪

やがて目の前が山頂。先客さんが数人いて、皆さんピストン組のようでした。

赤牛岳 山頂
【赤牛岳 山頂】

赤牛岳の山頂に到着しました。目の前の薬師岳が大きく、素晴らしい展望です。
スゴ乗越の向こうに広がる雲海もまた白く輝いて素敵。剱・立山も見えています。

薬師岳〜立山方面
【薬師岳〜立山方面】

振り返れば、稜線の先に水晶岳。  あの尾根道を歩いてきたんですね〜
左右に槍ヶ岳と笠ヶ岳を従え、昨日の雲ノ平の伸びやかな台地もよく見えます。
そして左手には三ツ岳〜野口五郎岳のなだらかな稜線が大きく広がっていました。

水晶岳
【水晶岳  奥に槍ヶ岳〜笠ヶ岳】

赤牛岳の山頂は展望も素晴らしいけど広さもほど良く、眺望タイムにぴったり。TAKAさんは早めに下って最終の渡し舟に乗り、美味しい岩魚料理が出るらしい平ノ小屋に泊まりたかったようですが、私はこの眺めから離れられず、もったいなくて動けません。


「なかなか来れない赤牛岳で、こんなに素晴らしい青空に恵まれたのだから、早く下りたらもったいないですよねっ!」「明日は土曜日なんだから、明日中に帰れればいいでしょう。」「ここはもう2度と来れないかも知れないから、ゆっくり景色を楽しみたいなあ。」と、言いたい放題。

「平ノ小屋は予約してないから、最終の渡し舟じゃあ遅くて、夕飯出してもらえないかも知れないヨ。」とも、言ったような・・・   ほとんど脅迫。奥黒部ヒュッテから先は大変なルートだし、時間的にも微妙ということもあって、TAKAさんも諦めて観念して下さいました。スミマセン・・・


それにしても赤牛岳から見る薬師岳は素晴らしいです。
小さなカール・南稜カール・中央カール・金作谷カールが真正面に見えています。
リラックスモードに変換して下さったTAKAさんも、どーんと大きな薬師岳を前にゆったり。
結局、ランチタイムでもティータイムでもないのに、1時間近くのんびりしてしまいました。

赤牛岳山頂
【赤牛岳山頂   目の前に、どーんと大きな薬師岳】

名残惜しいけど、
でも、そろそろ行きましょうか・・・



赤牛岳から読売新道への下り始めは、ガレ場のトラバース。崩れやすい斜面なので、慎重に歩きます。


読売新道へ
【読売新道へ】

次は大きな花崗岩ゴロゴロ地帯。すぐ右には特徴のある烏帽子岳とニセ烏帽子が見えていて、
烏帽子小屋の青い屋根も見えています。あの小屋から見た読売新道を、今、歩いているんですね〜

烏帽子岳とニセ烏帽子
【中央が烏帽子小屋】

黒部湖
【黒部湖見つつ】

黒部ダムが随分近づいてきました。
すぐ先の末端を過ぎれば樹林帯?
下りたくないな〜・・・

末端ピークは狭いながらも平坦で、「6/8」の道標がありました。目の前の薬師岳〜スゴ乗越の景色を見ながら、お昼。お弁当は頼まなかったので、それぞれ持参のパンです。

後ろには三ツ岳〜野口五郎岳が、少し遠のきつつ見えていました。

読売新道「6/8」
【読売新道「6/8」 三ツ岳〜野口五郎岳】

正面の黒部ダムを見下ろしつつ、高度を落として行きます。
龍王岳や立山、そして後立山の峰々。蓮華岳の山頂には、もう雲がかかり始めていました。

黒部ダムへ
【明日はあの黒部ダムへ】

この辺はまだハイマツ帯。カウントダウンのように樹林帯が迫ってきました。
「5/8」を過ぎると、いよいよ針ノ木岳や烏帽子岳などの眺めも途切れがちになります。


樹林帯へ
【樹林帯へ】

読売新道「5/8」
【読売新道「5/8」 針ノ木岳〜烏帽子岳】

ダケカンバ
【おぼろ昆布ダケカンバ】

コバイケイソウは葉だけ。コイワカガミ、チングルマの咲く小さな花畑を過ぎると樹林帯になり、おぼろ昆布みたいなダケカンバがいました。


「4/8」を過ぎると全くの樹林帯。シラビソ、コメツガ、ヒノキなど木陰もあるので、助かります。
大木も多く、浮き出た根を越えていく所も増えてきて、けっこう歩き難い道が続きました。


読売新道
【長い樹林帯】

浮き出た根
【浮き出た根】

下っても下ってもまだまだ続く、長い樹林帯の下り。
「3/8」が過ぎても次の「2/8」がなかなか現れません。

”山越え、谷越え”じゃなくて、”根越え、根越え”して、ようやく「2/8」に到着。 やれやれ、やっと休憩!


読売新道「2/8」
【読売新道「2/8」】

右下から東沢の沢音が聞こえてきたので、もうすぐかな〜と思っても、
その後も長い下りは続き、短い梯子や小さなザレ場を過ぎて、ようやく「1/8」です。
この先は花も多くなり、ツバメオモトの葉があちこちで見られ、タケシマランの赤い実も可愛い。


梯子
【梯子】

読売新道「1/8」
【ようやく 「1/8」】


タケシマラン

エンレイソウ

ツバメオモト

ツクバネソウ

サンカヨウ

奥黒部ヒュッテ
【奥黒部ヒュッテ】

左へ回り込んで、ようやく奥黒部ヒュッテの屋根が見えてきました。よかった、よかった〜!!  
本当に長い樹林帯でした。


大汗かいた後なので、私も冷たいビール半分で、
「お疲れさま〜!!」   美味しい〜!!


奥黒部ヒュッテには石鹸・シャンプーを使えるお風呂があるので嬉しい。登山者は3組で、私よりちょっと年配と思われた女性は、高天原山荘から温泉沢ノ頭経由で読売新道を下られたとのこと。あそこは登るだけでも大変そう。今日お会いした女性は皆さんびっくりするほどの健脚さんでした。
明日はいよいよ今回一番の難コース。不安半分、楽しみ半分です。




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