奥穂高岳~屏風の耳

おくほだかだけ(3190m)・びょうぶのみみ(2565m)
平成20年10月11日~13日  初日の涸沢

3日目は奥穂高岳から涸沢へ戻り、パノラマコースで下山。
屏風の耳から望む穂高岳や槍ヶ岳が楽しみです。


2008.10.13
(祝)
 穂高岳
 山荘
奥穂高岳穂高岳
山荘
涸沢
ヒュッテ
パノラマ
コース分岐
屏風の
コル
屏風の耳屏風の
コル
新村橋上高地
快晴 05:50発06:30
07:10
07:45
08:15
10:00
10:40
10:40
11:05
12:0512:30
12:50
13:0514:5016:40着
16:45発



朝。今日はすっきり目覚めました。朝食後、ザックは小屋に置いて奥穂高岳をピストンします。登り始めは梯子と鎖の急登で、その後は比較的緩やかな岩道。夏は常念岳の辺りから朝日が昇るようですが、この時期はもっと右の大滝山あたりから昇って来ました。


隣の笠ヶ岳が朝日に輝いてきました。今日は快晴。
うす桃色の雲がたなびいて、雲海には笠ヶ岳の影が映り、とってもきれいです。

笠ヶ岳
【朝焼けの笠ヶ岳】

振り返ると、昨日歩いた涸沢岳や北穂高岳の稜線も朝日が当たって目の前に大きく、槍ヶ岳も顔を出していました。


涸沢岳~北穂高岳
【朝の涸沢岳~北穂高岳】
奥穂高岳
【奥穂高岳 山頂】

デコボコのジャンダルムを見ながら進み、奥穂高岳の山頂に着きました。祠のある山頂は記念写真を撮る人が次々交代で立ち、入れ替わって行きます。

縦走路をはさんで向いには方位盤があったので山座同定。展望はまさに360度。早朝の青空の下、清々しい峰々が広がっていました。


目の前はロバの耳とジャンダルム。ここは私には到底無理そうなルートでただ見つめるだけだけど、いつか西穂に来た観光客が誤ってこのルートを通り、穂高岳山荘にたどり着いたというのを聞いたことがあります。となると、一体どんなコースなんだろうとちょっと気にはなるけど、私にはやっぱり無理そうです。

焼岳方面
【霞沢岳    御嶽山・乗鞍岳  焼岳   西穂高岳とジャンダルム】

笠ヶ岳方面
【笠ヶ岳~双六岳   黒部五郎岳~薬師岳   鷲羽岳・水晶岳】

槍ヶ岳方面
【槍ヶ岳と裏銀座の山々と後立山連峰】

次々到着する人たちは、記念写真を撮ると前穂高岳へ縦走して行きます。私も初めての時はそのルートで、稜線は冷たいガスに包まれ睫毛に霧氷がつき、何も見えずただ寒いだけだったのを思い出しました。長い急降下にうんざりし景色は殆ど覚えていないけど、岳沢も紅葉がきれいだったような気がします。またいつか行ってみたいけれど、今日は涸沢経由です。

あまりの眺望の素晴らしさに去り難く、山頂周辺をしばしうろうろしていました。いつまでも眺めていたい思いを残して小屋へ戻ります。引き返す人は少なく、もう山頂へ向かう人も少なくなりました。

穂高岳山荘からザイテングラードを下って行きます。連休最終日なので登ってくる人はほとんどなく、この時間は下る人も少ないので静かな下りです。

岩ゴツゴツですが、ハイマツ帯を過ぎるとカールを大きく横切って、ナナカマドなど紅葉の間を縫って下って行きました。


ザイテングラード
【ザイテングラード】
涸沢槍
【振り返り見るザイテングラード】

振り返り見る真っ青な空。
すっきり鋭い涸沢槍と白いカール。
光に映える赤いナナカマド。

いかにも涸沢で、今日のこの青空が何より嬉しく感謝です。景色を見ながら、ゆっくりゆっくり下って行きました。涸沢小屋のテラスでちょっと休憩タイム。


屏風の頭
【このあと目指す屏風の頭】

涸沢テント場
【人も少なくなった涸沢テント場】

涸沢岳~北穂高岳
【振り返り見る涸沢岳~北穂高岳】

振り返りつつ、涸沢ヒュッテに戻って来ました。広いテラスで昼食。

と、今日もヘリコプターがやってきました。強風に埃を巻き上げながらダンボールを下ろし飛び去って行きました。この時期、食材はすぐなくなりそうです。


涸沢ヒュッテ
【涸沢ヒュッテ テラス】

今日は本当に素晴らしい快晴。
すんなり屏風の耳へ行くのはもったいない。
ザックを置いて、ちょっと下まで散歩することにしました。
太陽の光を受けた紅葉は素晴らしく輝いて、赤も黄も鮮やか。
カメラマンもあちこちに三脚を立てて、夢中に撮影していました。

涸沢の紅葉
【涸沢ヒュッテ下の紅葉】

今日の本谷橋方面の紅葉も明るい日差しに輝いて、きっと素晴らしいはず。一昨日の曇り空でさえあんなにきれいだったのだから、光を通して見る谷の紅葉はどんなにきれいでしょう。
そしてまた遠望も利くこの晴天。屏風の耳から見る涸沢や穂高連峰もどんなに素晴らしいことでしょう。

横尾方面
【未練が残る横尾谷方面】

パノラマコース分岐
【パノラマコース分岐】

あ~~~ どっちも歩きたい! 
ほんとに体が二つあったらいいのにと、何度も思いながらパノラマコース分岐に戻りました。

何と言っても今日の青空。こんな天気はそうそうない。ここはやはり展望を期待して、予定通りパノラマコースへ行くことにします。光の涸沢へは平日行ける身分になったら毎年来よう。


パノラマコースへ入ると、しばらくは黄葉のダケカンバの歩きやすい道で、
振り返れば紅葉に彩られた涸沢全体が見渡せました。

涸沢
【パノラマコースから見る涸沢】

やがて細いトラバース道になってきます。急斜面の山肌に沿っての長いトラバースで、ミニ高巻きのように岩肌をへつるような岩場道もあり、ロープが掛けられていますが細く頼りなげ。ルート誘導くらいのロープなので頼ることは危険。地図に「残雪期通行不可」と記されているのが納得です。

時々立ち止まり、下を見れば沢沿いの黄葉が鮮やか。稜線に近づくと屏風の耳が鋭く尖って、ダケカンバの白い幹がとっても素敵でした。


パノラマコース
【パノラマコースはトラバースコース】

涸沢の谷
【涸沢の谷と大天井岳】

屏風の頭
【ダケカンバと屏風の頭・耳】


屏風のコル
【屏風のコル】

'99版エアリア地図には40分と記されていましたが、1時間かかってようやく屏風のコルに到着。
右手に梓川。幾つものザックが置かれているので私もデポして屏風の耳までピストンします。

梓川方面
【ダケカンバの向こうに梓川】

上から次々若い人たちが下りて来ました。どこかの山岳部でしょうか。さっきのザックの持ち主たちのようです。ダケカンバの急登を抜けるとハイマツ帯になり、左に短い急登で三角点のある屏風の耳に着きました。素晴らしい眺めです。穂高の峰々に囲まれた涸沢カール。音響効果もありそうな天空ステージのよう。ここで喜多郎が演奏したら、祈りの音楽は夜空の宇宙まで広がりそうです。しかし左の前穂北尾根の写真が欠けている。逆光だったから撮らなかったのかと残念。槍ヶ岳へかけての大キレットも目の前で、大きな窪みが迫力あります。

涸沢~槍ヶ岳
【屏風の耳からの展望】

俯瞰すると涸沢谷の黄葉が素晴らしく鮮やか。

高い所から下を見ると、自分がピーターパンになれそうな気がして、飛んでみたくなる時があります。もしかして本当に飛べるかも知れないと危ない衝動に駆られるけど、しかし、この谷は飛べたらほんとに気持ち良さそう~


屏風の耳からの俯瞰
【屏風の耳からの俯瞰】

右手には屏風の頭と耳の片方ピーク。奥の屏風の頭にも人が立っているのが見えます。奥穂高岳や涸沢でゆっくりし過ぎて、屏風の頭へ行く時間がないのが残念。ここはまたいつか再訪して、ゆったり展望を楽しみたいと思いました。後ろには燕岳~常念岳~蝶ヶ岳の稜線が緩やかに伸びています。

屏風の頭
【屏風の頭と耳の片方】

20分ほど眺めて、屏風のコルに戻りました。
徳沢まで2時間と書かれているので、17:25のバスには間に合うはず。混雑も考えられるので、ちょっと急ぎモードで下山しました。

ここからは樹林帯で、ダケカンバの黄葉の間を下って行きます。ただひたすらの下りで、木の根が浮き出ている所や岩ゴツゴツの所もあり、気をつけて下って行きました。


ダケカンバ
【ダケカンバの下り】
奥又白谷
【振り返り見る奥又白谷】

ギリギリまで屏風耳にいたのでノンストップ。奥又白谷沢では団体さんが休憩しています。

林道に下り立ち、明るい日差しがいっぱいの新村橋を渡ってからはいつもの道。

徳沢園の先は河原に出て、ここから見る梓川の流れは気持ちいい。

まだまだ青い空、この時期は細い流れの梓川。周辺が紅葉に染まるのは1,2週間先でしょうか。

梓川
【梓川  遠くに中山・大天井岳】

これから横尾方面へ向かう人たちと何度もすれ違いながら河童橋に着きました。橋の上から見る穂高連峰。あの山頂からの素晴らしい展望や涸沢の紅葉、屏風の耳からの景色を振り返り、今日の青空が本当に嬉しくて感謝でした。

ノンストップで下りてきたので、バスターミナルには思いのほか早く着きました。連休最終日の4時半過ぎ、さわやか信州号も出た後なので行列があるのは沢渡行きだけ。新島々行き16:45のバスはギリギリなので無理だろうなあと思いながら窓口で整理券を求めると、まだ空席があるとのこと。嬉しいやらびっくりやらで乗り場へ行くと、並ぶ間もなくすぐ来た2台目に乗れました。17:25のバスでも松本からのあずさは同じ列車になりますが、ぎりぎりになり座れない人も多くいたので、一台前のこのバスに乗れてラッキーでした。



連休の涸沢などとんでもないと思っていたのに、行ってみれば紅葉が本当にきれいで大感激でした。あれほどきれいなら混雑覚悟で毎年行く人がいるのも充分納得。私も平日行ける身分になったら、晴れの涸沢を狙って毎年行きたいと思いました。 素晴らしい紅葉と、楽しい岩稜歩きと、360度の眺望とに恵まれ、感謝の3日間でした。翌日は会社で足も腕も筋肉痛でしたが、でもいい連休でした。



前日の北穂高岳   HOME    山域別   次回の鳥ノ胸山・畦ヶ丸