奥大日岳~大日岳

おくだいにちだけ(2605m)~だいにちだけ(2498m)
2008年8月1日~4日 初日の立山



2008.8.3-4
(日月)
 雷鳥沢
 ヒュッテ
新室堂
乗越
カガミ谷
乗越
奥大日岳七福園大日
小屋
大日岳大日
小屋
大日平
山荘
牛首大日岳
登山口
称名滝
バス停
3日:晴
4日:雨
 06:15発06:50
06:55
07:55
08:00
09:00
09:30
11:00
12:15
12:30
12:55
13:15
14:10
14:25泊
05:50発
07:45
07:50
08:4009:3009:50着
10:05発




朝になりました。まだ悩み中。
せっかくバス代の高い室堂へ来たのだし、去年の夏は北アルプスを歩いていないし・・・
この夏はちょっと欲張って、一昨年烏帽子岳の山頂から見て歩きたいと思った五色ヶ原~薬師岳へも行く予定でした。出発前の予報は良かったのに今朝の予報では4日は雨。肝心な5日は曇りらしい・・・
一方、奥大日岳は花がきれいと聞いていて、こちらも行ってみたい山だったので、今回は奥大日岳も候補になっていました。天気予報は外れることもあるし、どっちにしよう・・・


雷鳥沢ヒュッテから
【雷鳥沢ヒュッテからキャンプ場方面】


雷鳥沢ヒュッテのテラスから空を眺めつつ随分悩んだけれど、やはり薬師岳の日がガスだったら悲しいので、今回は奥大日岳へ行く事にします。今は雲が多いけど、西は青空。今日の天気は良さそうです。

キャンプ場まで下りて、沢を渡ると分岐です。右へ行けば一ノ越・五色ヶ原方面、
左へ行けば大日岳。
右か左か、未練を残して、左へ進みます。


この道はハクサンイチゲがいっぱい。朝日を受けてどの花も白さが一段と輝いています。ナナカマドやイワカガミなど見ながら斜めに登って行くと新室堂乗越に出ました。ここからは気持ちのいい稜線漫歩。振り返ると、ハクサンイチゲの花畑の向こうに室堂一帯と逆光の立山が見えていました。キャンプ場もヒュッテももう随分小さくなっています。


雷鳥沢
【キャンプ場や雷鳥沢ヒュッテが見える】

稜線漫歩
【新室堂乗越の先は稜線漫歩】

緩やかな上下が続き、チングルマなど見ながら進んで行きました。剱岳が半分見えています。

左手には相変わらず室堂からの台地がずっと見え、カガミ谷乗越のピークに着くと天狗平より一段低い弥陀ヶ原も奥に見えていました。


天狗平と弥陀ヶ原
【天狗平と弥陀ヶ原】
奥大日岳へ
【奥大日岳へ】

この辺りはチングルマ、ハクサンチドリ、オオバキスミレ、シナノキンバイなど咲いています。この先から奥大日岳の山肌を緩やかに斜上して行きます。


天狗平の広々とした景色。走るバスがおもちゃのようです。
遠くには槍ヶ岳、鷲羽岳・水晶岳、笠ヶ岳。そして薬師岳。
palletさん達もこの素晴らしい景色を楽しんでいることでしょう。
今日は青空。遠望が利いて、本当によかったですね~~~

室堂~天狗平
【室堂~天狗平】

稜線に上がると、目の前に剱岳。 
やや逆光ですが、長大な早月尾根もくっきり見えて素晴らしい!

周辺には雪が残り、奥大日岳山頂への道にはチングルマやイワカガミ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどが咲いていました。


剱岳 早月尾根
【剱岳 早月尾根】

奥大日岳の山頂に着きました。狭い岩のピークですが、360度の展望。
別山から見ると八ツ峰が張り出してゴツゴツした岩峰の男性的な剱岳ですが、こちらから見ると長い早月尾根を引きずって均整の取れた美しい姿です。

奥大日岳から
【奥大日岳 山頂からみた剱岳~剱御前~立山】

大日岳と日本海
【大日岳と日本海】

そして西には広々とした日本海。
下には中大日岳と大日岳へ続く稜線が見下ろせ、歩いている人が見えます。

ゆっくり展望を楽しんでから大日岳へ向かいました。

下り始めてすぐは短いながらもザレ岩混じりの急降下で、その先は海や花を見ながらの楽しい道です。

ハクサンフウロやヨツバシオガマ、クルマユリなど咲いていて、ナナカマドの潅木帯にはキヌガサソウが咲いていました。

大日岳へ
【海を見ながら大日岳へ】
急降下
【急降下】

更にガレ岩の急降下になり長い梯子を下って行きます。下りた鞍部はシモツケソウ、タテヤマウツボグサ、ハクサンシャジンなどが咲いていました。

中大日岳への登り返しは短いながらも急登。
振り返ると奥大日岳が大きく見えました。

奥大日岳
【振り返り見る奥大日岳】
中大日岳と大日岳
【中大日岳と大日岳】

緩やかになって、前方に中大日岳と大日岳が見えています。あとは緩やかな上下だけ。この辺りもチングルマやイワカガミ、タテヤマリンドウなどが咲いていました。

コバイケイソウもあるけれど、葉ばかりで花は蕾すらついていません。やはり今年は花が少ないようです。


やがて大岩ゴロゴロの道になり、奇岩の横を通り抜けると七福園の道標がありました。
その名前通り、後ろの山々を背景にして、岩と緑の日本庭園のようです。
大日小屋までは、あとは少し。ちょっと早いけど岩に腰掛けてお昼にしました。
剱岳から立山・浄土山がすっきり見えて、落ち着いた雰囲気のとてもいい所です。
時間はたっぷりあるので、ずいぶん長い間、山々を眺めていました。

七福園
【庭園のような七福園】

七福園を過ぎると木道になりました。のんびりした散歩道で中大日岳の山頂はいつの間にか通り過ぎ、大日小屋が見えて来ました。
後ろに見えるのが大日岳です。


大日小屋と大日岳
【大日小屋と大日岳】

大日小屋に着きました。まだ早い時間なので、ここでお昼にして下山して行く人たちもいます。明日は雨の予報なので、予約を取り消して宿泊は下の大日平山荘に変更している人もいました。確かに、下山した方がいいのかも知れないけれど、やはり最後の山の大日岳でゆっくりしようと宿泊手続きをしました。


大日岳
【大日岳 山頂】

小屋から15分くらいで大日岳に着きました。
山頂には小さな祠があって、大日如来が奉られています。三日間の晴天に感謝して手を合わせました。

こじんまりとした山頂には、いつの間にかすぐ横まで暗い雲が来ています。ここから日本海を見たかったのに残念。七福園でのんびりし過ぎたようです。


剱岳から立山方面にも雲が広がり始めました。やはり明日は雨でしょうか。
一時間近くいて雲は動いたけれど、剱岳や日本海がすっきり見えることはありませんでした。

大日岳から
【大日岳からの眺め】


戻ってしばらくすると部屋には電灯が着きました。食堂にはランプがありますが、部屋には電灯も点くようです。今日は夕焼けも星空もなく、20人と10人の団体さんがいて食堂は賑やか。食後は食堂でギター演奏がありました。



ハクサンイチゲ

オオバキスミレ

タテヤマリンドウ

キヌガサソウ

オオバミゾホオズキ



さて、翌日。
もう一度大日岳の山頂へ行って朝の景色を見てから下山したいと思っていましたが、夜中はかなりの強風と大雨だったらしく、今朝は昨日の晴天がうそのような荒れ模様です。

今日は急降下があるし風もあるので傘は無理。雨具を身につけストックを取り出して、ガスに包まれた小屋を後にしました。

大日小屋
【霧雨の大日小屋】

小屋を回りこんで下り始めるとすぐ潅木帯になりました。ナナカマドなど多いので、紅葉の頃もきれいそうです。と、どこからかゴロゴロ。朝から雷鳴が聞こえ始めました。稜線上じゃなくてよかった。緩やかに山肌を下った後は折れながらの急下り。途中、何度か小さな沢を横切ります。標高の高い場所の小沢なので、普段は水量も少ないと思われる沢ですが今日は元気です。


木道
【雨が流れる木道】

急ぐわけではないけれど、視界は悪く景色もないので、ひたすら下るだけ。時々雨足も強くなります。

急下りが終わり緩やかな道になると、木道が現れてきました。ほっとしたのも束の間。踏むと沈んでしまう箇所もあります。明け方からの雨で水量の増した山はどこも沢状態。木道の上も水が流れびっくりです。

注意しながらひたすら下る。普通の登山道が沢のようになっている箇所がいくつも現れ、ザーザーと勢いよく流れています。途中からはもう、「景気がよくて、上等じゃあないの。」と、笑うしかない心境。岩の出ていない道では靴もずぶ濡れです。

その先には本当の立派な沢もあってゴーゴー流れ、岩を探して渡渉。こういう時はダブルストックは安心です。

登山道
【沢になった登山道】
大日平山荘
【大日平山荘】

やがて木道の向こうに山小屋が見えて、大日平小屋に着きました。しばし休憩。周辺は広い笹原で晴れていれば気持ちよさそうな所です。


右下に滝があるのか、ゴーゴーと勢いのいい音がするので覗いて見ると切り立った谷底が滑滝のようです。すぐ先の足元には「牛首」の道標がありました。

雨は小雨になりました。この下りはかなりの勾配。夏は暑そうで、とても登れないなあと思いながら下って行きました。でも道はよく整備されていて、段差の大きい箇所はステップが削られていたり梯子が設置されていたりで、道そのものは結構歩かれているようでした。

牛首
【牛首】

どちら?
【どちらが称名滝?】

樹林の中、少し明るくなって来て顔を上げると霧の中に滝が二本見えています。どちらかが称名滝かなと思いましたが、後日二本とも違うと分かりました。左は雪解けから夏まで現れる滝で、右は今日だけの滝のようです。

途中に狭いながらも平坦な場所に出て、「猿ヶ馬場」の札がありました。登りの時はちょっと一息というような場所です。


ようやく車道に下り立ちました。やれやれ、ほっと一安心。ベンチがあって、大日岳登山口の大きな看板があります。


大日岳登山口
【大日岳登山口】
どれが称名滝
【中央、山に隠れているのが称名滝】

振り返れば、あっちもこっちも滝。どれが称名ノ滝?日本一の落差というので、あれかなと思いつつ時計を見ると9:30。思いのほか早く下りてしまいました。

雨じゃなければ、今日は大日岳で朝の景色を眺め、緩やかな大日平でコーヒータイム、称名滝展望台で時間調整し、12:05のバスで立山駅へ向かう予定でした。でも、この分だと10:05のバスに間に合いそう。もう滝はいっぱい見たし、早く温泉に入りたいので、展望台へは寄らずにバス停へ向かいました。


バス停には大日平小屋から下りて来たという単独女性がいて、お互い「凄い下りでしたね~」と笑い合っているとライトバンが来ました。

「称名ルートは大雨で通行止めになり、バスは来ない。登山者が困っているだろうから様子を見に行けと社長から言われて来た。」という方たちでした。その後10人グループも到着し、ライトバンは10:05のバスの代わりにバスが通っている桂台まで無料で運んでくれました。

なんて親切な会社なんでしょう。車体には「丸新志鷹建設(株)」と書かれています。皆、感激してお礼を言いました。「丸新志鷹建設(株)」の社長さん、本当に助かりました。ありがとうございました。


称名滝 バス停
【称名滝 バス停】

桂台から立山駅まではバスで12,3分くらいで、雨は止んでいました。まず帰りの14:40立山発の直行バスを予約。当日乗車は現金扱いが出来ず、クレジットカードのナンバーが必要です。さて時間はたっぷり。乗り場指定の酒屋さんを確認し、近くの温泉を尋ねると「グリーンビュー・立山(日帰り湯600円)」を教えてくれました。お茶とお菓子を買い、古新聞をもらって温泉へ。

グリーンビュー・立山は駅の向こうにあり、外観は地味ですが中は絨毯敷きで豪華。恐縮して思わず登山靴を見ると、なんと素晴らしくきれい。内側は水田状態ですが外側はきれいに洗われて底の溝もすっきり。家で洗うより思い切った洗いっぷりです。靴の中に小さく丸めた新聞紙を目一杯詰め込んでから温泉へ。雨の月曜日の午前。温泉には一人しかいなくて広々ゆったり、汗と雨を流せてさっぱりしました。新聞紙を抜いた靴は水分が吸い取られてさっぱり。

お昼を食べたりお土産を買ったりしてバスに乗り、ほっと安心。あとは景色を眺めていればいいだけ。途中、親不知では日本海がすぐそば。久し振りに見る日本海でちょっと感激です。この辺は晴れていましたが、黒姫辺りは雷雨で墨絵のようでした。新宿には30分遅れの9時に着き、長い一日が終わりました。



大日三山は剱岳や日本海を見ながらの静かな稜線、花も咲いて楽しい道でした。下山時の沢道はびっくりでしたが、思い出に残る雨の山道となりました。薬師岳へ行けなかったのは残念ですが、またいつか行こうと思います。不安定な天気が多かったこの夏ですが、幸い三日間は概ね晴天に恵まれ、遺言も役に立たず感謝の夏山でした。


 立山・剱岳・大日岳の花々



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