礼文島 花巡り


平成25年6月21日~24日

今日は礼文島に渡り、レンタカーで主な岬を回ったり、固有種の花巡りをすることになりました。
曇って展望は残念でしたが、どこもそれぞれ素晴らしく、再訪したい所ばかりになりました。


2013.6.23(日)
 曇り
 利尻島
 沓形岬
礼文島
香深港
スコトン岬レブンアツモリソウ
群生地
澄海岬礼文林道桃岩
展望台
香深港桃岩荘




・・・・・・・・・  利尻島:沓形岬  ・・・・・・・・・


沓形港10:10発の礼文島行きフェリーに乗船予定なので、それまで少し時間があります。朝食後、ホテル近くにある沓形岬公園を散策することにしました。灯台周辺の草地にはエゾカンゾウやチシマフウロが群生し、海を見ればこれから向かう礼文島が浮かぶように見えています。


沓形岬 灯台
【沓形岬 灯台】

沓形岬から見る礼文島
【沓形岬から見る礼文島】

海辺にはピンクのハマナスが花盛り。白い大花、オオヤマウドも大群生しています。
高山植物のチシマフウロもオオハナウドも、北端の島では海辺でも生育するんですね。

ハマナスとオオハナウド
【ハマナスとオオハナウドの向こうに礼文島】

振り返れば、昨日登った利尻山が見えるはずですが、今日は雲の中。
ドンと大きなオオハナウド。とっても小さな白花の集まりで、一見地味な雰囲気ですが、
これだけ群生していると華のある花に見えて、素晴らしいです。

オオハナウド群生
【振り返る利尻山は雲の中】


エゾカンゾウ

チシマフウロ

オオハナウド

ハマナス


・・・・・・・・・  礼文島:スコトン岬  ・・・・・・・・・


フェリーに乗り、40分で礼文島・香深港に着きました。今夜の宿の桃岩荘YHが幌付きトラックで迎えに来ていたので大きなザックを預け、今日はナップザックで回ります。近くの香深漁協直営店「海鮮処かふか」で昼食後、レンタカー2台に分乗して島の花巡りです。


南北に細長い礼文島の東側海岸線を一気に北上し、まずは北西端のスコトン岬へ向かいました。
「最北限の地 スコトン岬」の標柱が立ち、無人島のトド島が目の前です。
晴れていればサハリンも望めるのでしょうね。青空の日にまた来たい岬です。
花はさほど多くなくて、レブンシオガマやオオハナウドが咲いていました。


スコトン岬
【最北限の地 スコトン岬】

トド島
【向こうにトド島】


・・・・・・・・・  レブンアツモリソウ群生地  ・・・・・・・・・


レブンアツモリソウ群生地
【レブンアツモリソウ群生地】

次は少し戻ってレブンアツモリソウ群生地。
ウィキペディアによれば「袋状の唇弁を持つ花の姿を平家物語など軍記物語に描写された平敦盛の背負った母衣(ほろ-後方からの矢を防ぐ武具)に見立ててつけられている」とのこと。

花は終盤だそうですが、きれいな花が一つでも見れればいいなあと思って歩き出すと・・・

いました、いました。ふっくら、まんまる。
淡色の和紙で作った紙ふうせんみたい。
両手でそっと包みたいような花です。

レブンアツモリソウ
【レブンアツモリソウ】

ちょっとお年を召した各年代(?)のレブンアツモリソウ婦人たちもいて楽しい。



【若者たち?】


【高齢者たち?】

レブンアツモリソウ
【レブンアツモリソウ】

礼文島にだけ咲く固有種でランの仲間だそうですが、見れば見るほど不思議な花。一つ一つ表情が違うので、どれもみんな見てみたい。


絶滅危惧種なので園内には監視員の方が見回っていました。大事にされて、もっともっと増えるといいですね。



・・・・・・・・・  澄海岬  ・・・・・・・・・

群生地の先を真っ直ぐ車で走ると、澄海岬。
海辺には、オオハナウドやエゾカンゾウだけでなく、チシマフウロやミヤマオダマキが咲いていました。


西上泊漁港
【西上泊漁港】

地図に「海水の透明度が高く、海底まで見ることができる」と記されている入り江ですが、
今日は曇ってどんより暗く残念。  向こうに見えるのはゴロタ岬でしょうか。
今回は時間がなく寄れなかったので、また晴れた日に来て、青い海を見たいと思いました。


澄海岬
【澄海岬】

入り江
【澄海岬 入り江】


・・・・・・・・・  礼文林道・レブンウスユキソウ群生地 ・・・・・・・・・


礼文林道
【礼文林道】

海岸線をまた更に南下し、香深港に戻って右へ上がると礼文林道の入口です。

次は礼文林道を歩きます。草原の山肌に付けられた林道にはセンダイハギやレブンシオガマ、チシマフウロなど咲き乱れていました。

幅広の林道から左の細道へ上がって、「月の丘」と呼ばれる尾根に上がると、ここは素晴らしい花畑の散歩コースでした。

月の丘
【月の丘】

前方になだらかな草原の丘陵が広がり、ガスっているのがなんとも残念。
うっすら小屋(トイレ)が見えていますが、あの辺りがレブンウスユキソウ群生地のようです。

礼文林道コース
【礼文林道コース】

レブンハナシノブ
【レブンハナシノブ】

ここで初めてレブンハナシノブを見ました。
青紫に黄色のオシベがアクセントで、とてもおしゃれな花です。北岳で見たミヤマハナシノブより花数が多い固有種らしい。

この月の丘は本当に気持ちよくて、時間があれば行ったり来たり、何度も往復したいような小径でした。ここも晴れた日にまた歩きたい。

月の丘
【月の丘】

左下に見える浜はメノウ浜。ここから青い海を眺めながら歩けたら、ほんと!素敵でしょうね。
白いオオハナウド、青いチシマフウロ、ピンクのレブンシオガマ、黄色のイワベンケイなど。
葉の枚数も花の段数も多いレブンシオガマの横には、4枚葉のヨツバシオガマも咲いていました。


メノウ浜
【メノウ浜眺めつつ】

花の丘を行く
【花の丘を行く】


レブンシオガマ

イワベンケイ

ミヤマオダマキ

ハクサンチドリ

林道に近づくと、同じく固有種のレブンウスユキソウがちらほら見えて来ました。

どれも真っ白な毛に覆われ、暖かそうにして花開く時を待っています。まだちょっと早かったみたい。

レブンウスユキソウ群生地
【レブンウスユキソウ群生地】

咲き始め
【咲き始めのレブンウスユキソウ】

レブンウスユキソウ
【初々しいレブンウスユキソウ】

群生地から先も歩きたいけど、引き返します。
帰りは林道を通ると、シラゲキクバクワガタが点々と咲いていました。

白馬で見たミヤマクワガタより花が密に咲いている雰囲気で、名前どおり葉が白い毛に覆われています。いかにも北方の花という雰囲気で、青色がきれいでした。


シラゲキクバクワガタ
【シラゲキクバクワガタ】


・・・・・・・・・  桃岩展望台コース  ・・・・・・・・・


桃岩展望台
【桃岩展望台】

車に戻り、次は桃岩展望台です。ここも元地灯台を経て知床への散策コースがあります。

が、霧がどんどん深くなり、すっかり展望はなくなってしまいました。

周辺は緑の花のバイケイソウ花畑。
今年はコバイケイソウも当たり年とのことで、夏の北アルプスも楽しみです。

バイケイソウ群生
【バイケイソウ群生】

その先は花も増え、咲き始めのイブキトラノオが多いのでピンクが広がればきれいでしょうね。
固有種のレブンキンバイソウやレブンソウなどもまだ咲き始めなので、ここも未練が残ります。
ずっと続く道。元地灯台まで歩きたいけど、またいつか晴れた日に再訪したいと思いました。


イブキトラノオ
【イブキトラノオ】

桃岩コース
【桃岩コース】


レブンハナシノブ

レブンキンバイソウ

ネムロシオガマ

レブンソウ

レブンウスユキソウ
【レブンウスユキソウ】

そして群生地ではまだ早かったレブンウスユキソウが、ここで3輪だけ咲き始めていました。

エーデルワイスを思わせるちょっと大人な雰囲気の花で、見れて良かった。感謝です。

”花の浮島”とも呼ばれる礼文島。
レブンアツモリソウならもっと早い時期が良くレブンウスユキソウならもっと後の方がいい。

遠い遠い北の島ですが、ここは是非再訪したいと思いました。

ガスの桃岩コース
【未練の残るガスガスの桃岩コース】


・・・・・・・・・  桃岩荘YH  ・・・・・・・・・


香深に戻り、レンタカー返却。18:10着のフェリーで到着人たちと一緒に桃岩荘の車で宿へ向かいました。Aさんが一度泊まってみたかったという人気のYHだそうで、宿へ着くまでの間に元気いっぱいのヘルパーさんから、ここでは標準時間より30分早い桃岩時間というものがあることや、「知性・教養・羞恥」を捨てることなど、宿での過ごし方が伝えられます。


建物は海辺で、名前どおり猫の後ろ姿のような大岩「猫岩」が目の前です。
玄関に入ると一斉に「おかえりなさ~い!!」と、鳴り物入りで大歓迎。
以降、何から書いたらいいのか分からないほど。


桃岩荘
【桃岩荘YH】

猫岩
【猫岩】


建物は明治の頃のニシン番屋を改造したそうで、梁など古い丈夫な木材が使われています。
最初にパフォーマンス入りで建物内が案内され、見ているだけで息切れしてしまいました。
桃岩は西側海岸なので、晴れていれば「ぎんぎん ぎらぎら 夕陽が沈む」を歌いながら、
沈みゆく夕陽を眺める儀式があるらしいのですがこの日は曇って残念。いつか体験したいです。


囲炉裏
【囲炉裏のある桃岩荘】

鰊番屋の名残
【鰊番屋の名残】

夕食後は7時から囲炉裏を囲んでコース案内や歓送迎のための歌や踊りの練習があります。「愛とロマンの8時間コース」は当初の桃岩荘の人たちが開拓したコースだそうで、スコトン岬から桃岩まで。実際に歩けば10時間くらいかかるコースだそうです。歌は代々引き継がれて来た歌なので、「ひょっこりひょうたん島」「月光仮面」など懐かしい昭和の歌が多く、この子達(ヘルパーさんたち)は一生懸命練習したんだろうな~と思いながら聞いていました。踊りも非常にユニークで、見ているだけで楽しくなってしまいます。

ちなみ、Aさんは参加されていましたが、殆どが男性なので私は後ろの廊下でニヤニヤしながら見学していました。9時まで続くので、途中でお風呂に行ったりして、また続きを眺めていましたが、今思えば私も参加すればよかったなぁ~・・・

翌日は、帰りのフェリーが出るまで、ずっと歌と踊りで見送ってくれます。出航した後もずっと手を振ってくれて、その律儀さ、一生懸命さは本当に感動もの。ここは是非また連泊で来たいと思いました。

ウニ大好きな方たちは礼文でも稚内でも心ゆくまで堪能したようで、稚内から一路羽田へ。短くも、とても充実した楽しい旅でした。


桃岩荘、歌と踊りの見送り
【歌と踊りで見送るヘルパーさんと宿泊者】


今回の旅程は全てAさんが手配し、私たちは後について歩くだけ。とても安楽な島旅で、ひたすらAさんに感謝でした。 利尻山では晴れて、素晴らしい利尻富士の姿や青い海が望めました。礼文島も花いっぱいの、いい所ばかり凝縮して歩けたのでとても有り難かったです。が、やはり未練たっぷり。またいつか再訪し、今度は隅々まで歩き回りたいと思いました。



 礼文島の花々




前回:利尻山    HOME    山域別    次回:牛ノ寝通り