燧ヶ岳(俎嵓)

ひうちがたけ・まないたぐら(2346m)


いつかいつかと思いつつ、なかなか行けずにいた燧ヶ岳へ行って来ました。
山頂はガスでしたが、熊沢田代や広沢田代はワタスゲが揺れて気持ちのいい湿原でした。


2012.7.24
(火)
 大清水一ノ瀬三平峠長蔵
小屋
沼尻ナデッ窪長英新道
分岐
燧ヶ岳
俎嵓
熊沢
田代
広沢
田代
御池民宿
かどや
曇り
山頂はガス
 04:40着
 04:55発
05:50
05:55
07:00
07:10
07:55
08:05
09:05
09:40
11:15
11:25
11:5512:20
12:50
13:45
14:10
14:40
15:00
15:50
16:40
17:00着



北岳から帰ったら、関東にも梅雨明け宣言が出されました。翌週から安定した晴天続きの予報。そこで念願の燧ヶ岳とハクサンコザクラの会津駒ヶ岳へ行こうと思い立ちました。6月の尾瀬でガイドさんをして下さったタカさんが檜枝岐村で民宿を営んでいらっしゃると聞いて、それならいつかお世話になって、燧ヶ岳と会津駒ヶ岳の両方を登ろうと欲張ったことを考えていたのです。会社も休みが取りやすくなったので、早速バスを予約。平日なので空いていました。


大清水
【大清水】

以前あった御池・沼山峠への夜行バスがなくなったので、大清水から入山。大清水で下車したのは私一人でした。早朝の静かなベンチで簡単な朝食など摂って身支度。

すぐ先の「大清水登山口」の大きな標柱から左へ、しばらくは林道歩きです。


1時間ほどで一ノ瀬に着き、しばし休憩。橋を渡ると左手に尾瀬沼への入口がありました。
「雑草の種子など持ち込まないように靴底に付着した種子を落として入山しましょう。」
の看板があり、靴を拭って沢沿いの道を少し進むと、道は右へ上がっていきました。


尾瀬沼 入口
【尾瀬沼 入口】

沢沿い
【沢沿いから右へ】

木道、階段、石畳などで整備された緩やかな道がしばらく続きます。

石畳の脇のパイプ水場を過ぎると登りになり、笹やダケカンバ、ナナカマドなどの広葉樹林が続きます。


尾瀬 ブナ林
【ブナ林】

やがてオオシラビソの林に変わってきました。奥の方は手入れされているようで、
植林帯のように随分すっきりした林になり、木道を進んで三平峠に着きました。


オオシラビソ林
【オオシラビソ林】

三平峠
【三平峠】


ウツボグサ

ケナツノタムラソウ?

ホソバノキソチドリ?

ヤマオダマキ

尾瀬沼山荘
【尾瀬沼山荘】

三平峠から緩やかな下りで尾瀬沼山荘に着きました。燧ヶ岳へはナデッ窪から登るつもりなので、この先の分岐では左へ行く方が近道ですが、大江湿原経由で行きたいので右へ進みます。

樹林帯を抜けると、燧ヶ岳が見えてきました。
湿原にはワタスゲやニッコウキスゲ、ヒオウギアヤメなどがぽつぽつと咲いていて、サワランも草に隠れるように咲いていました。

燧ヶ岳
【燧ヶ岳】

6月に来た時、霧が漂う幻想的な風景だった長蔵小屋裏の尾瀬沼のほとり。
緑が一段と濃くなって、今日は予報より曇ってしまったものの燧ヶ岳は見えています。

尾瀬沼から見る燧ヶ岳
【尾瀬沼から見る燧ヶ岳】

大江湿原
【大江湿原】

大江湿原の沼尻分岐あたりだけニッコウキスゲが咲いていました。昨年も周辺が黄色に染まるほど咲いたようですが、今年のニッコウキスゲはかなり寂しい雰囲気のようです。

三本カラマツを通り、6月に歩いた木道を進んで行くと、大きくなったミズバショウの葉が目立ちました。



サワラン

オタカラコウ

ノアザミ

クルマユリ


6月の時、のんびり歩いてしまって周辺を歩く時間がなかった沼尻に着きました。
景色や花など見ながらゆっくり散策。ここはいかにも”尾瀬沼”といった風情の素敵な場所です。
休憩所にはお土産も売っていて、またまたバンダナとミズバショウの絵の手染ポーチを買いました。

沼尻
【沼尻】

ヒツジグサが咲いているといいなあと思いましたが、みな閉じています。曇っているからかな~と思いましたが、後日調べると、この花は毎日開閉して未の刻(2時頃)に咲くのでヒツジグサというそうです。

まだ9時半。きっと夜中なのでしょう、
ぐっすり睡眠中でした。


ヒツジグサ
【ヒツジグサ】

ひよこのくちばしのような花があり、これも後日タテヤマリンドウの実と分かりました。びっくり~!
サワランは花開かず楚々とした花と思っていましたが、大喜びの童女のようなサワランもいます。
トキソウは、2年前の蓮華温泉への湿原で見て感動した花です。尾瀬沼には沢山いました。
ナガバノモウセンゴケは本当に虫を捕らえて、栄養補給している最中でした。  凄い・・・



タテヤマリンドウの実

サワラン

トキソウ

ナガバノモウセンゴケ

燧ヶ岳へ
【燧ヶ岳へ】

さて、そろそろ燧ヶ岳へ向かいます。

すっかり果穂になったチングルマの木道を歩いて、ナデッ窪へ向かいました。


最初だけ緩やかだった道は、徐々に岩ゴロゴロの滑りやすそうな急勾配になってきました。
苔むす大岩や木の根など、歩き難いけど南側なのでさほどぬかるんでいないのが救いです。


苔むす大岩
【苔むす大岩】

岩ゴロゴロの急登
【岩ゴロゴロの急登】

ずっと同じような大岩ゴロゴロ急登が続き、群生するオオバミゾホウズキやタケシマランなどを見ながら、一歩一歩登って行きました。時々振り返ると、尾瀬沼がだんだん遠く低くなっていくのが励みです。

後ろから若い二人連れが追い着いてきたので、挨拶ついでに腰を下ろして休憩。


尾瀬沼
【振り返れば 尾瀬沼】
長英新道分岐
【長英新道分岐】

岩ゴロ急登が緩むとナナカマドやハクサンシャクナゲなどの低木帯になり、右からの長英新道と合流しました。向こうに見えるはずの俎嵓はガスの中。


サンカヨウがまだ咲いていて、キヌガサソウも沢山咲いています。
俎嵓がぼんやり見えてきて、やがて露岩のハイマツ帯になりました。


キヌガサソウ
【キヌガサソウの道】

燧ヶ岳へ
【燧ヶ岳へ】


ベニサラサドウダンツツジ

オオバミゾホウズキ

オオバタケシマラン

ハクサンシャクナゲ

燧ヶ岳 俎嵓
【燧ヶ岳 俎嵓(まないたぐら)】

祠のある山頂に着きました。でもここは燧ヶ岳の最高峰ではなく東峰の俎嵓の山頂です。

ガスに覆われているので尾瀬ヶ原方面は全く見えず、柴安嵓がどこにあるのかさえ分かりません。

時々チラッと見える尾瀬沼を眺めつつ、ともかく山頂なのでお昼にしました。

食後、やはりガスは動かない。
これでは姿の見えない柴安嵓へ行っても真っ白だし、この俎嵓からも、尾瀬ヶ原はもちろん尾瀬沼さえ全体を見ることは出来ないので、最高峰はまた今度、すっきりした日に来ることにします。

尾瀬沼
【チラッと見えた尾瀬沼】

シャクナゲや低いダケカンバ帯を抜けると、笹とハイマツ帯のトラバース下りになりました。
ガスで見晴らしはないけれど、高度が下がると雲の下に湿原が二つ見えて来ました。
左が熊沢田代で、右が広沢田代のようです。 下に雪渓があるなあ~と思っていたら・・・


シャクナゲ道
【シャクナゲ道】

熊沢田代と広沢田代
【雪渓の先に熊沢田代と広沢田代】

雪渓下り
【雪渓下り】

トラバース道はやがて右へ、この雪渓下りに変わりました。アイゼンやストックが必要かな~と思いつつ出すのは面倒。雪は柔らかいので、なくても大丈夫でした。

問題は雪渓が終わってから。
雪融け水が流れ、どこも泥濘。
滑らないよう慎重に下って行きます。
早くあの気持ち良さそうな湿原に出たいな~・・・

熊沢田代へ
【熊沢田代へ泥濘下り】

ようやく木道が現れ、緑いっぱいの草原に出ました。
ワタスゲがほわほわと広がって、なんて気持ちのいい草原なんでしょう。
ここはゆっくりゆっくり、風に身を委ねながら下りたい。

ワタスゲ揺れる熊沢田代
【ワタスゲ揺れる熊沢田代】

大きく広がる草原に、右に左に気ままに伸びる木道。
二つの池塘。 青い空、白い雲を映していたなら、どんなに素敵だったでしょう。
でも!ガスで隠れることなく、遠くの山々が見えているだけでも嬉しくて感謝です。


熊沢田代
【二つの池塘がある熊沢田代】

熊沢田代 池塘
【池塘】

燧ヶ岳と熊沢田代
【振り返り見る燧ヶ岳と熊沢田代】

遠目には緑一色ですが、草の中は花も多くて、タテヤマリンドウの青、サワランのピンク、キンコウカの黄色、ワタスゲの白、ヒメシャクナゲのピンクの実など彩り豊かでした。

のんびり、ゆったり、立ち止まりつつ歩いて来た熊沢田代。振り返りながら、ここはまたいつか来ようと思います。



コイワカガミ

サンカヨウ

アカモノ

タテヤマリンドウ(青・白)

この先はまた泥濘が続きます。広沢田代は、すぐ下に見えたような気がするけど、泥濘道はなかなか終わりません。

広沢田代へ
【広沢田代へ 泥濘下り】
広沢田代
【広沢田代】

ようやく広沢田代に着きました。熊沢田代より狭いけど、ここも可愛いワタスゲが広がっています。

更に進むと池塘もあって、モウセンゴケがいっぱい住んでいました。


ほわほわのワタスゲ。そのずっと向こうには、明日登る予定の会津駒ヶ岳が・・・ぼんやり?
バスまで時間があるのでワタスゲ愛でつつ、明日の山を思いつつ、オールフリータイム。


ワタスゲ
【ワタスゲ】

オールフリー
【明日は青空が見えますように!】

さて下山。
広沢田代から御池はすぐと思い、横田代・上田代からの下りくらいに考えていたら、とんでもない。

改めて地図見て納得。広沢田代からの下りが一番大変でした。最後に怪我しないよう、慎重に下山。

往路のナデッ窪の方が急ですが、南面なのでさほど泥濘はありませんでした。こちらは北面なので、泥濘期間が長いのでしょうね。


岩ゴロゴロ
【泥濘の岩ゴロゴロ急下り】
燧裏林道と合流
【燧裏林道と合流】

緩やか道になって、やっと燧裏林道と合流しました。ここは数年前のミズバショウの頃と紅葉の頃と、2度歩いた道です。なんだか懐かしいなあ~

ちょっと御池田代へ寄ってみると、葦がいっぱい茂っていました。

広い御池駐車場。平日なので今日は空いています。

御池ロッジには、靴洗い場があるので助かります。泥だらけの靴を洗っていたら、雨が降ってきました。ギリギリセーフで、よかった~

バスは14:30の次は16:40です。衛星電話があったので、かどやさんへ到着予定時間を連絡。ゆっくりお土産など買いながら、バスを待ちました。

御池
【御池】
民宿「かどや」
【民宿「かどや」】

御池からバスで下り、「ますや旅館前」で下車。民宿「かどや」さんは斜め向かいで、すぐ分かりました。

民宿なのでお風呂は小さめですが、檜の浴槽と天然温泉掛け流しで気持ちよく、窓の下には檜枝岐川が流れています。

夕食も美味しく、山菜は勿論、岩魚の塩焼きや鹿と熊の鍋など民宿とは思えないほど。「はっとう」という餅米と蕎麦粉をこねたお餅をエゴマのたれで頂く素朴なお菓子もあって、後半には蕎麦粉のすいとんやタカさんが打った美味しい裁ち蕎麦も出ました。

食べきれないほどですが、山小屋ではゴミを出さないよう食事は残さないのがマナー。タカさんは「ここでは残してもいいですよ。」と言って下さったけど、隣の方ともおしゃべりしながら、いつも通りゆっくり美味しく全部いただきました。

「かどや」夕食
【夕食】

単独なので週末の部屋を一人利用では申し訳ないと思って平日に泊まりましたが、なんと平日宿泊は2000円の補助とお土産券(500円分)が出るとのこと。知らずに来たので、有り難いやら申し訳ないやら。折角下さったので、翌日「アルザ尾瀬の郷」で利用し、予算以上のお土産が買えました。


さて明日の天気。予報が変わってイマイチのようですが、ハクサンコザクラはどの辺で咲いているかな~


      尾瀬沼・燧ヶ岳の花々




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