唐松岳

からまつだけ(2696m)
平成23年7月17日~18日

花の多い八方尾根・唐松岳は人気コースで、この時期は人も多いと思われますが、
ロープウエイで簡単に涼しい稜線へ上がれるので、ちょっとお気に入りのコースです。
翌日は五竜岳で展望を楽しみ、秋に歩いて素晴らしかった遠見尾根を下ることにします。


2011.7.17
(日)
 八方池山荘八方池扇雪渓丸山ケルン唐松山荘唐松岳大黒岳五竜山荘
晴れ
雲多し
 07:20着
 07:25発
09:00
09:15
10:30
10:40
11:1012:05
12:10
12:30
13:10
14:0015:50着



大震災後、しばらく運休が続いていたムーンライト信州。7月になって連休があるのを思い出し、JR駅へ行って確認すると運行は再開したものの15日はもう満席でした。 さすが皆さん、早いですね~ びっくり。仕方なく行き先未定で16日夜行分を購入しておきました。

さて連休。白根山翌日のこむら返りの膝スジと足の薬指はまだ少し腫れたままで痛みも多少残っていましたが、歩いている時はさほど違和感も感じないので、そのうち治ると軽く考えていました。それでも何かの時は困るので、往復ともロープウエイの利用できる唐松岳~五竜岳に行く事にしました。15日の夜行が取れていたら2泊の山行にしていたと思うので、後で思えば16日の夜行でよかったのかも知れません。


白馬駅前の白馬館ではロープウエイの往復割引券が買えますが、今回は片道なので該当なし。八方尾根から登る唐松岳は3度目なのに、毎回バス乗り場でうろうろするのが情けない。

八方バスターミナルで下車。10分ほど歩けば八方アルペンライン駅で、片道切符(1400円)を購入。最後のリフト乗り場周辺はニッコウキスゲが満開でした。

7時過ぎ、八方池山荘へ上がると既に人がいっぱいで、夏の八方尾根は早朝から大賑わいです。


ニッコウキスゲ
【リフト駅周辺はニッコウキスゲ群生】

ケルン
【ケルン】


天気はイマイチ。雲が多く、白馬三山はほとんど見えません。左右の花の写真を撮りつつ登って行きましたが、花が多くてなかなか先へ進めません。

「山の花々一覧」はそろそろ終わりにしようかなと思うのですが、花を見れば撮らずにいられない習性が身についてしまったようです。ハッポウタカネセンブリやクロマメノキは初めて。青い小花は可愛い。


八方池手前はまだ残雪も多く、ミヤマアズマギクなど咲いています。
小さなサクラソウのユキワリソウもあちこち点々と咲いていて嬉しくなりました。
ハクサンコザクラより小さくはかなげで、控えめな雰囲気で咲いています。


八方池へ
【八方池へ】

ユキワリソウ
【ユキワリソウ】

八方池の周りは人がいっぱい。
山は雲に隠れているので、池に映る白馬三山の姿は見れず残念。イブキジャコウソウやミヤマムラサキなど咲いていました。


八方池
【八方池】
八方尾根
【八方尾根】

斑模様の残雪の山肌や、左右の花畑など見ながら進んで行きます。ヨツバシオガマやハクサンチドリなど咲いていました。

草むらに濃いピンク色の花がいて、近づくとサクラソウでした。オオサクラソウというそうで、群れて咲くハクサンコザクラとはちょっと雰囲気が違っています。花の色が濃く、花も葉も大きくて、華やかな雰囲気の花でした。

オオサクラソウ
【オオサクラソウ】
シラネアオイ
【シラネアオイ】


そしてダケカンバ帯になると、なんと足元にシラネアオイが咲いていました。嬉しい~

名前の由来になった日光白根山では見れなかったシラネアオイが、ここでは元気に咲いています。皆さんも立ち止まって撮影タイム。

ダケカンバ帯の斜面にはシラネアオイが群生して、オオサクラソウが一緒に咲いている所もありました。


八方尾根
【青空・残雪・新緑】

シラネアオイ
【シラネアオイ群生】

雪の重みで撓んだダケカンバも多く、サンカヨウやショウジョウバカマなど咲いていました。

唐松岳は8月と9月に来たことがありますが、7月は雪解け後なので多いのでしょう、当然ですが咲く花も違っていて楽しい道です。


ダケカンバ帯
【キヌガサソウも咲くダケカンバ帯】
扇雪渓
【涼しい扇雪渓】


やがて左に扇雪渓が見えてきました。
ちょっと寄って行きます。

涼しい風が吹き降りて来るので、いい気持。
左へ回り込むと休憩に適した岩場があります。

数年前の9月に、知らずに食べてしまった赤い実のオオヒョウタンボクは白い花を咲かせていました。毒があるそうですが、蕾も花もペアで可愛いです。



ハッポウタカネセンブリ

ユキワリソウ

オオサクラソウ

オオヒョウタンボク(蕾)

扇雪渓の上もしばらくダケカンバ帯で、やがてナナカマドからハイマツに変わります。

見晴らしのいい稜線に出ますが、相変わらずの雲。足元のムシトリスミレやミヤマリンドウなど小花を撮りつつ進んで行きました。

丸山ケルンも展望ないので通過。

丸山ケルン
【丸山ケルン  展望なし】
唐松山荘へ
【唐松山荘へ】

やがてトラバースになりました。
そろそろ唐松山荘も見えてくる頃。
足元の花もハクサンイチゲやシナノキンバイなど高山植物らしくなってきました。

信州側は雲が多かったけれど、飛騨側には青空があるようです。

唐松山荘の横に出ました。
昼食をサブザックに入れて、山頂へ。

右手はコマクサ斜面。花は咲いていましたが、全体に花数は少なめです。山頂近くにはクモマスミレが咲いていました。

唐松岳へ
【唐松岳 山頂へ】
唐松岳
【唐松岳 山頂】

唐松岳山頂に到着。
ここはいつ来ても賑わっています。

上空は青空ですが、周囲の山々の稜線は雲に隠れ、目の前の剱岳も全く見えません。
雲と空を見つつ昼食。

連休中日。唐松山荘のテント場は下の方までいっぱい張られています。一番下だと何かと不便だろうなあと眺めつつ山荘へ戻りました。

唐松山荘とテント場
【唐松山荘と下まで続くテント場】


ハクサンイチゲ

ミヤマクワガタ

コマクサ

クモマスミレ


唐松山荘から南へ向かうと赤岩のクサリ場になりました。ここが牛首と呼ばれる所でしょうか、
足場はしっかりしているけれどずっと連続しているので気の抜けない岩場で最後は急下りです。


クサリ場
【クサリ場】

牛首
【振り返り見る牛首】


一旦緩んでも、その先も急な岩稜の下りで「転落多発」の札がありました。岩角はどれも鋭く、ガキガキ(?)した雰囲気の岩稜でした。

岩場
【続く岩場】

大黒岳
【振り返る大黒岳】

ハイマツ帯
【青空が見えてきたハイマツ帯】

大黒岳が過ぎると緩やかなハイマツ帯で、やがてガレ石の広い尾根になりました。しかしガスって何も見えません。

ハイマツ帯の登りになる頃、青空が見えてきました。ハクサンシャクナゲが咲いています。

尾根を越えると前方の山が見えて来て、白岳はガスに隠れています。

稜線の登山道が見えるのは楽しいけれど、山々が見えないのはやはり残念。

白岳へ
【白岳は・・・あのガスの上】
鞍部
【鞍部の小さな池】

鞍部まで下ると、すっかり樹林帯。小さな池の先にはキヌガサソウやベニバナイチゴなど湿地の花が咲いていました。

手前ピークに上がるとしばしハイマツ水平道。
チシマギキョウやミヤマシオガマなど咲いています。

白岳は更に上です。

白岳へ
【水平道の先 白岳へ】
五竜山荘
【下に五竜山荘】

白岳山頂近くまで登ると、ようやく遠見尾根の分岐道標がありました。すぐ下に五竜山荘の屋根がありますが、ガスっていたので今まで見えませんでした。

宿泊手続きして、2階の部屋へ。
6畳に女性7人なのでゆっくり出来そうです。

五竜山荘は狭い稜線ギリギリに建っていて、小屋前の平坦なテント場は狭いので少ししか張れません。ここも段々に整地された斜面に、色とりどりのテントが張られていました。

テント場
【山荘の窓から見るテント場】
五竜岳
【見えて来た五竜岳】

日没前になって、ようやく五竜岳が見えてきました。明日はすっきり見えてくれますように!


東の空、大きな入道雲が少しずつオレンジ色に染まっていきました。
西の空、夕焼けにならなかったけれど太陽が静かに沈んでいきます。
暮色に染まった山の夕暮れ。涼しさを取り戻した空気が美味しくて深呼吸。


入道雲
【東の空】

日没
【西の空】


五竜岳の夕食は10年前と同じスコッチエッグカレーと味噌汁。今日は5回に分けての夕食で私は4回目だったので日没後で間に合いました。小屋に着いた時は足の痛みもさほど感じなかったけれど念のため湿布しておきます。明日は剱岳が見えるといいなあと思いつつ就寝しました。



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