黒川鶏冠山・三窪高原

くろかわけいかんざん(1716m)・みくぼこうげん


奥秩父縦走路と大菩薩嶺の間に位置する黒川鶏冠山と三窪高原へ行って来ました。
雨上がりの森はしっとり緑のいい匂いと山の気が漂い、生き生きとした花たちに出会えました。


2011.6.11
(土)
 新横手山
黒川山黒川山
見晴台
鶏冠山新横手山
/三窪高原
入口
三窪
高原
ハンゼ
の頭
藤谷の頭板橋峠三窪高原
入口
小雨
のち曇り
 09:50発10:4010:45
11:00
11:20
11:25
12:50
昼食
14:10・・・14:40
14:45
15:4516:00
16:05
16:45



傘差して
【小雨のなかへ】

「奥多摩おしかけ隊」第2弾は柳沢峠を挟んで対峙する黒川鶏冠山と三窪高原。 
今回は新隊員cyu2さんを迎え、5名でスタートしました。

急な大雨に備えて一応雨具は身に着けたものの、森の中なので全員傘差して出発です。

横手山峠から黒川山へ向かう頃には雨も上がり、潤った木立の中の緩やかな道を進んで行くと分岐の道標があり、すぐ上が黒川山の山頂でした。

傍らに咲くトウゴクミツバツツジはすでに散り始めていて、緑いっぱいに囲まれた山頂です。

黒川山
【花びら散る黒川山】
見晴台へ
【トトロ・・・】

ここから見晴台へはピストン。所々に咲くトウゴクミツバツツジなど見ながら、なおも平坦な道を進んで行きました。

ふと見ると、大きな岩がぼそっと立っています。何だかトトロみたい・・・・


黒川山の見晴台は露岩の高み。周辺の山々にはガスがかかっていますが、晴れていれば本当に展望の良さそうな所です。Hgさんがヤマグルマの木を教えて下さったのですが、緑に埋もれた緑の花で、ちょっと遠くて分かり難いでした。よく見ると周りにはツツジの木も多く、ヤマツツジの朱色の蕾、トウゴクミツバのピンクの花、サラサドウダンツツジなど沢山咲いています。サラサドウダンは花付きもよく、可愛い小花を鈴なりに下げていました。


黒川山 見晴台
【黒川山 見晴台】

サラサドウダンツツジ
【優しいピンクのサラサドウダンツツジ】

霧の漂うなかトウゴクミツバツツジの咲く道を引き返して、また見晴台分岐まで戻ります。


トウゴクミツバツツジ
【トウゴクミツバツツジ咲く道】

黒川山周辺にはダケカンバも多く、瑞々しい緑いっぱいの雰囲気のいい森です。
苔むしたカエデの老木には曾孫のような可愛い葉がまとわりつくように顔を出していました。


ダケカンバ
【ダケカンバ】

カエデ大木
【苔むすカエデ大木】

緑滴る森
【緑滴る静かな森を行く】

しっとり緑に包まれた、静かな森を進んで行きます。
雨上がり特有のいい匂い。
清々しい山の気が漂っていました。

鮮やかに咲くトウゴクミツバツツジを見上げつつ、 鶏冠山山頂と北面巻き道との分岐に来ました。
ここから山頂へピストンです。

鶏冠山山頂分岐
【鶏冠山 山頂分岐】

しばらくすると根が浮き出た岩ゴツゴツの急登になりました。周りの岩には、アカバナヒメイワカガミがびっしり張り付くように咲いていて、びっくり。大喜びの我らの気配を感じて、Hgさんすかさず「この先にも沢山咲いて所があるので写真は帰りに撮ります。ここは見るだけ~!」と指示。私達は「は~い!」と、お返事だけはいい生徒。


鈴なりに花を下げているサラサドウダンの下を抜けると鶏冠山の山頂でした。
狭い岩の露頭には小さなお社が祀られています。 手を合わせて岩の上へ。


鶏冠山 鶏冠神社
【鶏冠山 鶏冠神社】

サラサドウダンツツジ
【鈴なりのサラサドウダンツツジ】

鶏冠山からの谷
【山頂から見おろす深い谷】

山頂から見下ろすと切り立った断崖の下は深い谷。晴れていれば展望も良さそうな露岩の山頂ですが、今はガスに見え隠れした稜線が広がっていました。

サラサドウダンツツジの写真撮りつつ下って、さっきのイワカガミ群生地に戻りました。
早速撮影タイム。


僅かながらアズマシャクナゲの木もあり、見頃は過ぎているとはいえまだまだきれいです。

アカバナヒメイワカガミ
【アカバナヒメイワカガミ群生】

「アカバナヒメイワカガミ」というそうで、全体が薄紅色に染まった可憐なイワカガミです。
あちこちいっぱい群生して人間がいなくなれば花たちのおしゃべりで賑やかになりそうでした。


アカバナヒメイワカガミ
【アカバナヒメイワカガミ】

アズマシャクナゲ
【アズマシャクナゲ】

霧にけぶる
【霧にけぶる緑の道】

さっきの山頂分岐に戻り北面巻き道に入ると、後はずっと平坦な道が続いていました。

すーっと霧が出てきて、いっとき幻想的な雰囲気に包まれて、素晴らしく素敵な道です。

くねくねと曲りながらもずっと緩やかな道。
緑いっぱいで、雨上がりにぴったりの道です。

ここは紅葉の頃も素敵でしょうね。
季節を変えて、また歩きたい道でした。

北側巻き道
【しっとり深い緑の北側巻き道】

苔むした倒木や岩、シダなど見ながら進んで行きます。
コメツガでしょうか、あの針葉樹独特のいい匂いがして、そっと深呼吸。
一時ブームになったフィトンチッドと呼ばれる森の癒しの香りが満ちていました。


シダと苔
【シダと苔の道】

北側巻き道
【苔むすコメツガ(?)林】

分類学的には壷形・釣鐘形というらしい小花もたくさん教えていただきました。
ウスギヨウラクはおちょぼ口のように咲いた姿も可愛いけれど、
先端が薄紫色に染まった蕾もとても素敵な雰囲気でした。

 

コヨウラクツツジ

ウスギヨウラク

ウスギヨウラク(蕾)

コミヤマカタバミ




柳沢峠のレンゲツツジ
【柳沢峠のレンゲツツジ】

新横手山峠に戻って楽しいランチタイムの後は柳沢峠へ向かいました。

柳沢峠の駐車場に咲くレンゲツツジは植栽のようですが、ちょうど咲き始めできれいに咲いていました。

三窪高原入口からハンゼの頭へ向かいます。

草原に咲くサクラスミレやミヤマザクラなど見ながら進んで行きました。

三窪高原 ハンゼの頭へ
【三窪高原 ハンゼの頭へ】
ハンゼの頭
【ハンゼの頭】


ハンゼの頭は大きく開けた展望のよさそうな広場で、晴れていれば南アルプスや富士山も見えるそうですが今日は真っ白。

以前は一面のレンゲツツジで有名だった三窪高原。「自然記念物 三窪のレンゲツツジ及び生育地」の案内板が寂しく立っています。

鹿の食害ですっかり姿を消してしまったようですが、今は華やかなピンクのトウゴクミツバツツジや蕾をつけたヤマツツジがあちこち点在していました。

ハンゼの頭から少し下ると大きなズミの木。
桃色の蕾を枝先までたくさんつけて、まさに満開。白い花をいっぱい咲かせていました。


ズミ
【満開のズミ】


ミヤマザクラ

サクラスミレ

フデリンドウ

フイリフモトスミレ


ハンゼの頭からは西側をぐるっと回って板橋峠へ向かいます。
また霧が出てきました。 見上げるミズナラの若葉は柔らかく瑞々しい。


板橋峠へ
【霧けぶる道】

ミズナラ
【水彩画のようなミズナラの若葉】

シラカバ
【緑に映えるシラカバの白い幹】

ダケカンバ大木やらミズナラやらモミノキやらカラマツやらシラカバやら。クマザサやらヤマツツジやら、気持ちのいい落葉樹林帯の緩やかな道がずっと続きました。


防火帯の広い道に出て、藤谷の頭への尾根にはミヤマザクラの白い花があちこちに見られます。
足元にはマルバダケブキの大きな葉。いずれ石尾根のように広がってしまうのでしょうか・・・


藤谷の頭へ
【藤谷の頭へ】

ミヤマザクラ
【ミヤマザクラ】

藤谷の頭からは防火帯の急斜面。
振り返れば、

ソロソロ下りる人。
ニコニコ下りる人。
直滑降で下りたいと言う人。
「イエーイ!」とVサインポーズしている人。

表情いろいろ、楽しい急斜面下りでした。


板橋峠  林道へ
【藤谷の頭から板橋峠へ】

満開のズミ
【満開のズミ】

板橋峠の近くには満開のズミの木があり、草地の上で記念写真を撮ったりしながら、休憩。

そのあとは林道歩きで、山側の木々を見上げたり、水溜りの逆さ木立を撮ったりと、わいわい楽しく歩いて行きました。

今日、Hgさんが何度か見つけて下さったシロバナフウリンツツジは、この林道で見た花が一番きれいに咲いていました。楚々とした可憐な白花ですが、木が高すぎてよく見えないのが心残り。いつかまた近くで見たい花でした。

シロバナフウリンツツジ
【シロバナフウリンツツジ】

三窪高原入口に戻り、後はHgさんの車に乗せて頂くだけ。今日もまた何から何までお世話になりっぱなしの一日でした。山の途中から雨というのは何度か経験がありますが、朝から雨の日にザック背負って家を出たなどというのは初めて。ほどほどの小雨で緑のきれいな季節なら、こんな山歩きもなかなかいいものだなあと思いました。(単独だと気力が出ないけれど)
Hgさん、みなさん、今回も楽しい一日ありがとうございました。



苔むす樹林の奥にひっそり聳える岩ピークの黒川鶏冠山と、以前はレンゲツツジの名所だった明るい草原の三窪高原。変化に富んだコースは山の良さを凝縮した楽しいコースで、高低差も少なく今後何度も歩いてみたくなる山でした。塩山駅発の大菩薩登山口行きバスは、5月から一部週末限定で「落合」まで運行するようになったそうです。歩ける山域が増えて、嬉しいながらまた迷いの多い日々になりそうです。


 黒川鶏冠山・三窪高原の花々


------皆さんの黒川鶏冠山・三窪高原レポはこちら------

● Hgさん   :「奥多摩の山と自然」
● palletさん  :「そらいろのパレット」
● はなねこさん :「はなねこ山」
● cyu2さん   :「カラダよろこぶろぐ」



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