大室山

おおむろやま(1587m)


西丹沢の北部に位置する、ひときわ大きな山容の大室山。
今回はまだ歩いたことのない道志側の茅ノ尾根から登ってみました。


2010.12.11
(土)
 久保小入口久保分岐休憩大室山分岐
ベンチ
犬越路用木沢出合西丹沢自然教室
晴れ  08:05着
 08:05発
09:00
09:05
09:50
10:00
11:05
11:35
11:45
11:55
13:00
13:10
14:0014:25着
14:40発



12月に入り、いよいよ近郊の山にも雪が降ったようです。今まで大室山は西丹沢側からしか入ったことがなく、いつか道志側から登りたいと思っていました。本格的な雪になれば、あまりトレースの期待出来ない道志側からの登山は私には難しい。バス利用の場合、土曜日しか行けないので、風が強いとの予報だけれど思い切って行ってみることにしました。

道志の山へ行く場合は、橋本6:20発~三ヶ木6:55発~月夜野7:50発(休日運休)の3路線を乗り継いで行きます。今回、月夜野からは私と単独男性だけでした。予め運転手さんに降りるバス停を聞かれ「久保小入口」と言うと料金(330円)を教えてくれてバス停手前の吊橋前で降ろしてくれました。同乗の男性は「御正橋」と言っていたので御正体山へ行かれるのでしょうか。

久保の吊橋には小さなトイレがありました。長い吊橋なので、ちょっと揺れます。下の道志川は水量が少なめでした。

渡り終わって少し進めば登山口で、道標があり右へ折れます。


吊り橋
【吊り橋】
植林
【植林】

最初は潅木帯でしたが、植林になりました。
緩急交互に、ただひたすら登って行きます。


久保分岐に出ました。地図には破線もありませんが大渡へのはっきりした道が見えています。

予報では今日は暖かくなるとのことでしたが、この尾根は北東尾根で冷たい北風が通り抜け、寒い。気温は3度。体感温度はマイナスかも知れません。

そろそろ自然林かな~と期待しましたが、まだ植林が続くみたいです。

久保分岐
【久保分岐】

落ち葉道
【落ち葉道】

久保分岐から15分ほどして、ようやく自然林になりました。日差しも降り注いで明るくなり、南側の巻き道になると少し暖かです。

落ち葉いっぱいの気持ちいい尾根で、全く人の気配のない静かな道です。青い空、風に震える梢を見上げながら進んで行きました。

中腹あたりからは、雪うっすら。
落ち葉・・・カサカサ
雪・・・サクサク
光・・・ユラユラ

茅ノ尾根
【うっすら雪の茅ノ尾根】
カラマツ林
【カラマツ林】

この上はずっと自然林かと喜んでいましたが、また植林になりました。カラマツ林なので明るいけれどちょっと雑然としたカラマツ林です。

尾根が広がり、雪も5cmくらいになってきました。一人分のちょっと緩んだトレースがあります。今まで落ち葉のめくれなどなかったので、降雪後まもなく登って来た人でしょうか、足の長い人みたいです。

気づくとトレースもいつの間にかどこかへ消えて、小さくて細長い足跡があります。シカの足跡でしょうか、付いたり離れたりしながら登って行きました。

大室山へ
【大室山へ】
茅ノ尾根
【茅ノ尾根のブナ林】

やがて全体がブナ林になり西丹沢らしい雰囲気になってきました。苔むした大木も多い。

光キラキラ、雪面も輝いて、いい気持ち。

傾斜が緩んで、大室山の山頂に着きました。
まだ誰もいません。
以前、朽ちたベンチがありましたが、すっかり崩れて残骸だけが残っていました。

山頂から5分ほどの西側にはベンチがあるけど、風が抜けて寒そう。今日はなだらかな山頂の風当たりの弱そうな場所に腰掛けて昼食タイムにしました。

大室山
【大室山】

今日は加入道山まで行く予定でしたが、晴れていても雲が多く風も冷たい。富士山は隠れているだろうから、もう帰ろうかなと弱気になってきました。トボトボ歩いていたら、前方に人影。そろそろ西丹沢からの登山者が到着する時刻でしょうか。

スーと静かな雰囲気の単独男性。足元と服装を見て、『もしかして、木の葉さん?』と思いました。3年前の書策新道では声をかけそびれたので今回は思い切って声をかけました。すると、しばし躊躇のあと、小さくコックリ。私は『木の葉さんだ~!!』と嬉しくなって、早速「はじめまして」のご挨拶。非常に物静かな方で、終始優しい微笑みを湛え、じっと見つめておられる。今日は畦ヶ丸まで行かれるとのこと。お時間取らせては申し訳ないので少ししかお話できませんでしたが、お若いのに高僧のような雰囲気の方でした。


加入道山分岐
【加入道山分岐のベンチ】

『お会い出来て、よかった、よかった。』と思いつつ山頂から5分ほど西の加入道山分岐に着きました。ブナに囲まれたベンチがあって暑い季節なら風通しも良く、お昼にいい場所です。


富士山を見れば、思いのほかすっきりきれいな富士山で嬉しくなりました。でも雲がかかり始めているので、加入道山へ行く途中の笹下りに着く頃は隠れているかも。雲は多いし、風は冷たいし、『・・・やっぱり今日は寒いから、下りようかな・・・』とベンチに戻りかけると、木の葉さんが大室山の山頂から引き返し、加入道山へ向かって行くところでした。あの方は速い。私はまた富士山の見える位置へ戻り、待っていると、来ました、来ました、木の葉さん。下の木道を駆ける姿は、丹沢のバンビさんのようにしなやかでした。


富士山
【雲がかかり始めた富士山】

木の葉さん
【丹沢を駆けるバンビさん】

寒いのでそろそろ下山。
左に袖平山~蛭ヶ岳~檜洞丸が見えています。


蛭ヶ岳~檜洞丸
【蛭ヶ岳~檜洞丸】
犬越路へ
【山 見つつ】

上は寒かったけど、こちらは南斜面。雪は全くなく、暖かい。寒さを忘れると、
『やっぱり加入道山へ行けばよかったかな~』

右に権現山~畦ヶ丸が見えていますが、富士山はもう雲に隠れてしまったようです。
『富士山隠れたし、雲の流れが速いから上は風もあるだろうし、やっぱり下山でいいか』と諦めもついて、下って行きました。

権現山~畦ヶ丸
【権現山~畦ヶ丸】
犬越路
【犬越路】

ベンチのある四辻の犬越路に到着。見晴しがいいのもここまでなので、しばしティータイム。

犬越路から僅かに笹竹を潜れば、岩ゴロゴロの涸れ沢沿いを下って行きます。

左岸から右岸へ移る場所の道標が右岸にあるので、このルートが初めてで下りに使う場合、ちょっと分かりにくいかも知れません。移行点に気づかず、そのまま左岸を下ってしまい迷ったという方に下で会いました。

右岸へ
【右岸へ】
用木沢
【用木沢】

河原に出たり桟橋を渡ったりしながら、下りて来ました。以前流されてなくなったこの桟橋。古いままでしたが、今日はかかっていました。

水色の鉄橋を渡れば、用木沢出合もすぐです。


振り返りつつ、青い空を眺めながら西丹沢バス停へ向かいました。12月はバスもガラガラ。4,5名が乗り込んだだけでした。谷峨駅では接続もよかったので、今日も御殿場線で帰りました。


大室山は、静けさでいうなら人の気配のない茅ノ尾根。変化でいうなら、植林が少なく沢沿いや展望などある犬越路経由の方が楽しいように思いました。 北東に伸びる茅ノ尾根は、太陽の低い冬は日陰部分が多くなるので、季節としては光の入る新緑の頃の方がいいのではと思いました。



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