今年は白馬三山を見ながら唐松岳へ行こうかなと思っていましたが、北アでは28日から1日未明にかけて断続的に降雪があり(50cm+15cm+15cm)、雪崩の危険が強くなり涸沢は29日午前まで入山自粛要請があったらしい。(2日午前に雪崩発生、全員無事だったが10人が流され、ルートの変更があった)。 雪の多い唐松岳とはどんなものか分からず不安があったので蝶ヶ岳へ行くことにし、2003年のGWでモルゲンロートを見そびれてしまったので、今年こそは!と期待して出かけました。
1日夜ムーンライト信州で出発。いつもはキャンセル空席のある列車ですが、さすが連日晴れの予報に、ほぼ満席です。松本で上高地までの往復乗車券(4400円)を購入。電車バスを乗り継いで上高地に着きました。3日は出来るだけ長く稜線にいたいので16:00発のバス整理券をもらい、簡単な朝食を済ませ出発。 |
【河童橋から見る穂高岳】 |
梓川沿いに出て、朝日に輝く穂高岳にご挨拶。
上高地は早朝から活気に溢れ、河童橋からの穂高吊尾根を眺めて横尾へ向かいます。 |
登山者が多いなか、今日は靴をセットしたままのスノボーを背負った人達が歩いています。この辺で滑る所と言えば涸沢でしょうか、山スキーではなく、今の時代はスノボーの人もいるのかと、びっくりしました。青空にそそり立つ明神岳や、芽吹きの木々を眺めながら明神館に到着。ちょっと休んで先へ進みました。賑やかな広場の徳沢には、色とりどりのテントが張られています。今年は横尾から登るので、更に先へ。 |
【明神】 |
【徳沢】 |
落石などの危険回避で道が付け替えられたのか、途中から道が変わり、横尾大橋の下に出てきました。
ここは相変わらず大賑わい。先日降ったという雪で広場には多くの雪が残っていました。ちょっと早いけど気持良さそうに泳ぐ鯉のぼりを見ながらベンチでお昼を済ませ出発しました。 |
【横尾】 |
【槍ヶ岳 展望地】 |
横尾からの道は最初から雪。夏道と違って直登のトレースなので早めにアイゼンを装着しました。蝶ヶ岳も通常なら6本歯で大丈夫だと思いますが、今日は降雪情報を聞いて8本歯にしてきました。途中には転げ落ちそうな急坂の直登も多く、蹴り込みながら登る箇所もあったので8本歯にしてよかったです。
夏道はジグザグ登りで槍見台を通りますが、今回は直登だったので槍見台は気付かず、その上の槍ヶ岳展望地まで来てしまいました。
|
一部、夏道にトレースのところもありましたが、概ね直登なので休み休み登って行きます。
ダケカンバが見えてきたのでそろそろかなと思っても、まだまだ樹林帯が続く。
なんだか・・・疲れた・・・ |
【直登が続く樹林帯】 |
【稜線から見る穂高岳】 |
樹林帯が終わるとすぐ稜線が見えて来ました。ここからも一歩一歩でようやく分岐道標の立つ稜線に上がり、やれやれ、やっと着いた。
後ろは、穂高岳♪と思って振り返れば・・・・ 朝は晴れていましたが、この時間は雲が多くなっていました。でも涸沢には光が降り注ぎ、白銀に輝いていて、とってもきれいです。 やっぱり穂高はいいなあ~
|
2003年に来た時この稜線には雪が全く残っていませんでしたが、今日は真っ白。素敵な雪道ですが、けっこう風が吹いています。
ケルン場を過ぎ緩やかに登り返して展望の丘に着きましたが、風が強いのでそのまま蝶ヶ岳ヒュッテへ入りました。
今日は団体さんが2組入っていましたが、別棟だったので比較的静か。今夜は150名弱とのことで食事は第二陣でしたが、布団は一人一枚です。
|
【蝶ヶ岳ヒュッテ】 |
ひと休みして外に出てみました。雲が多いし風も冷たいので、のんびりティータイムという訳にはいかないけど、時々外に出て雲の様子を見たり、ストーブの傍でおしゃべりしたりして夕食を待ちました。 |
【蝶ヶ岳山頂から】 |
【大キレットに沈む夕陽を見つめる人々】 |
6時からの夕食を済ませ、フリースの上にヤッケも着込んで夕焼けを待ちました。
大キレットに沈む夕陽は、やはり荘厳。 静かに、その瞬間を待ちます。
6:31、最後の光は沈んでいきました。 オレンジ色に輝く夕焼けを待ちましたが、山際の輝きだけできれいな夕焼けにはならず、ちょっと残念。 |
でも風がだいぶ収まったので、蝶ヶ岳山頂の道標が立つピークへ行き、 誰もいなくなった雪の上で、静かに暮れ行く穂高の峰々をずっと眺めていました。
【日没後の蝶ヶ岳山頂から】 |
|
翌朝。 今日はモルゲンロートを見過ごすことのないようにと、4:00には目覚め、布団の中で待機。
防寒のためにしっかり着込んで、4:30過ぎに外に出ました。マイナスながらも風は収まっていたので、さほど寒さはありません。
しかし雲が多く赤く染まってくれるかどうか。 |
【日の出前】 |
【モルゲンロートにならず・・・】 |
4:50頃、雲間から太陽が昇ってきました。
しかし穂高の白峰は染まることなく、うっすらと朝日を浴びるだけ。残念ですが、朝の穂高はやはり厳かで素晴らしい姿でした。 |
朝食は5時から並び順ですが、日の出の後もゆっくりしていたので第二陣の6時から。食後、ザックは外にデポし、サブザックにポット(湯500ml 100円)やコーヒーなど入れて稜線散歩に出発しました。 |
風がないので太陽が出れば寒さはなく、歩けば暖かくなってヤッケも不要になり山シャツだけで大丈夫。
数日前の積雪で、白く輝く雄大な穂高の峰々を見ながらのスノーハイクは、なんて贅沢なんでしょう。 |
【穂高の峰々を見ながら蝶槍へ】 |
【蝶ヶ岳の旧山頂から大滝山・蝶ヶ岳方面】 |
気持ちよく進んで、ケルンピークを過ぎ、横尾分岐を過ぎ、蝶ヶ岳の旧山頂に着きました。
振り返れば大滝山や現在の蝶ヶ岳山頂からの緩やかな稜線が見え、遠く南アルプスもうっすら見えています。その左手に、これまたうーっすらと富士山も見えているのですが、肉眼でやっと見える程度です。 |
すぐ先の蝶槍へ向かいます。西の空は雲ひとつない青空なので、いずれ上空の薄雲も流れて行くことでしょう。 蝶槍からは常念岳へ向かう人もいて、なんとピッケルなしの人もいます。私も行けば良かったな・・・ |
【蝶ヶ岳の旧山頂から蝶槍方面】 |
【蝶槍ピーク】 |
こちらもあちらも雪で真っ白、本当に素晴らしく美しい北アルプスです。 進んでしまうのがもったいなくて、何度も立ち止まりながら歩きました。 蝶ヶ岳の旧山頂では、目の前の雄大な景色を眺めながら、ゆっくりコーヒータイム。
【穂高岳~槍ヶ岳】 |
風が出てきました。 どんどん青空が広がってきて、 振り返れば、飛行機雲がひとすじ。 |
【飛行機雲】 |
蝶ヶ岳ヒュッテに戻り、ザックを回収。 それにしても、なんて素晴らしい青空なんでしょう。 あとは時間いっぱい穂高を眺めることにします。
【蝶ヶ岳山頂からの穂高岳と槍ヶ岳】 |
【蝶ヶ岳ヒュッテと常念岳】 |
【長塀尾根へ】 |
何度も何度も振り返りつつ、そろそろ下山。
くっきりと浮かぶ白い乗鞍岳や霞沢岳を見つめながら、長塀尾根へ向けて出発しました。 |
直前にたくさんの雪が降ってくれたおかげで、本当に素晴らしい白さ。白って、本当に美しい色です。
真冬並みのスノーハイクを、厳しい寒さなしで歩けるなんて、なんて幸せなんでしょう。 |
【美しい白い道】 |
本当に素晴らしく、ただただ美しい白い峰々。 感謝と感激で、言葉もありません。
【白く輝く美しい穂高の峰々と お別れ】 |
樹林帯に入り、冬道は妖精の池の東側を通るので、左手には大滝山が見えていました。やがて樹間の右下に見えてくる平坦地が妖精の池で、ちょっと近くまで下りてみました。夏道はこの西側を通ります。 |
【大滝山】 |
【妖精の池】 |
【乗鞍岳・霞沢岳・焼岳】 |
長塀尾根の最高点は長塀山ではなくて、2582mピークです。木々の上から見える穂高や槍を見つつ、しばし休憩。
その先は緩やかで、どこが長塀山なのかよく分かりません。更に下ると乗鞍や霞沢の眺めがいい所があるので、ここでもしばし眺望タイム。
あとはずっと樹林帯。緩やかな尾根なので、トレースを外さないように下って行きます。
|
夏の蝶ヶ岳で長塀尾根を登って来たとき徳沢から1時間くらい登ったあたりで一旦緩み、その先のここでちょっと間違えたことがあります。
この赤丸幹の右側へ引き込まれやすいけれど赤丸幹の斜め左へ登って行くのがルートです。 私は夏だけでなく残雪の時もトレース追って右へ行ってしまい、途中で消えたので戻ったものでした。
|
【振り返り見る赤丸マーク。左上がルート】 |
【徳沢 色とりどりのキャンプ場】 |
傾斜が緩んだ所で、簡単な昼食。 あとはジグザグ下りで、途中からアイゼンは不要になり雪はなくなりました。徳沢園の横に下り立ち、ストックやアイゼン・スパッツなど片付けて上高地へ。 |
多くの人と行き交いながら上高地に到着。 河童橋や梓川の畔から最後の穂高に別れを告げ振り返りつつバスターミナルへ向かいました。 |
【穂高岳と梓川を振り返りつつ】 |
|
残雪の蝶ヶ岳から望む穂高岳や槍ヶ岳は本当に美しい姿でした。直前に多くの雪が降ったので、白さも輝きを増して一段と素晴らしく、天気にも恵まれて感謝の春の雪山でした。 同じ日、メル友さんのTAKAさんも涸沢でしたが、帰宅すると、木の葉さんと金森さんも蝶ヶ岳だったことが分かって、びっくり。あちこちでニアミスしていた今年のGWでした。 |