大菩薩峠

だいぼさつとうげ(1897m)


雪がある程度降ったら大菩薩峠へ行って、新しくなった介山荘に泊まりたいと思っていました。
トレースがあれば、石丸峠から牛ノ寝通りか小金沢山稜を歩きたいと思っていたのですが・・・


20010.2.6-7
(土-日)
 大菩薩峠
 登山口BS
千石
茶屋
上日川峠雷岩大菩薩峠
介山荘
石丸峠天狗
棚山
熊沢山
山腹道
上日川峠千石
茶屋
大菩薩峠
登山口BS
6日:曇り
7日:快晴
08:00着
08:05発
08:30
08:40
10:10
10:30
12:35
12:55
13:35泊
08:15発
08:5509:20
09:30
09:55
10:15
11:50
12:20
13:20
13:30
13:50着
14:52発



2日は関東周辺の山もいくらか積もったようです。週間予報では週末は晴れだったので、早速予約。
雪を降らせた低気圧が東へ抜ければ高気圧が緩やかに張り出すと思っていましたが、天気図を見ていると樺太付近にいた低気圧が東を阻まれ、少しずつ南下してきました。こうなると強い冬型になり、風が強くなる。『寒いだけならいいけど、風はイヤだなあ、どうしよう・・・』


しかし風があっても日差しがあれば何とかなりそうだし、翌日は風も穏やかになるようだし、少しくらいなら冬山の風を経験するのもいいかなとあれこれ考え、とにかく防寒対策だけはしっかり(したつもり・・・)で家を出ました。


甲斐大和駅を過ぎ、勝沼ぶどう郷に近づいて車窓の南アルプスを期待したのですが、稜線は雲に隠れて残念。塩山駅7:28発のバスには登山者10数人が乗車しました。丸山峠分岐のゲートには、10台近い車が駐車していました。ここから雪道。その先の千石茶屋を回りこめば、間もなく大菩薩峠への登山道です。


大菩薩峠登山道 入口
【大菩薩峠登山道 入口】

積雪はさほど多くなく10cmくらいでしょうか。比較的乾燥した雪ですが、よく踏まれてスベスベなので念のため私もアイゼンを着けました。

第一展望台に着いても、南アルプスの稜線は相変わらず雲の中。麓の町は晴れていますが、上空には雲がだんだん増えて来ました。

第一展望台
【第一展望台】
上日川峠へ
【上日川峠への道】

緩やかに登って行く上日川峠への道。
この頃はまだ日差しもあったのですが・・・

ミズナラ大木を過ぎれば、間もなく峠です。

上日川峠に着きました。ロッジ長兵衛の上は雲に覆われ、ここは風も吹いて、かなり寒くなっていました。ネックウオーマーで頬を隠し、毛糸の帽子に変えて耳も隠し、手袋も二枚にして出発です。

ロッジ長兵衛
【上日川峠】

風当たりの少なそうな林道を進んで、福ちゃん荘に着きました。さて、ここで思案。今日はもう雲が多く展望もない。雷岩からは季節風をまともに受けるので相当寒いだろうから、今日は介山荘へ直行しようかな。が、空を見上げれば、時々青空も見え、そうなると迷う。唐松尾根へ向かいかけては戻り、大菩薩峠へ直行しかけては戻りして、しばしウロウロ。しかし、まあ、とにかく一度は冬の稜線の強風というものを経験してみよう、八ヶ岳じゃないので大したことはないだろうと思い、唐松尾根へ進みました。


唐松尾根
【雷岩を見つつの唐松尾根】

風はあるけど、葉を落としたとはいえ林の中。
さほど寒さは感じず、風が止まると汗ばみそうになるくらい。フリースを脱ごうかな、と思うほどでした。

露岩が出てきて北方向に変わり、前方に雷岩を見ながら進んで行きます。


直下の斜面に取りつく辺りからまともに風を受けるようになり、ハンパじゃない風が吹き付けて来ました。雲はどんどん増えてきて日差しもなくなり、とにかく寒い。先行していたグループは登頂を断念し、途中でお昼にする様子でした。一歩一歩登って、振り返る。富士山がよく見えるようになってきましたが、雲が次々流れて来て上は隠れています。

やっとの思いで雷岩に着きましたが本当に凄い風。先着の数人は写真を撮ると、ピストンして下って行きました。

時々日が差してくると明るくホッとするので、私はここでお昼にしようと大菩薩嶺の方の木立の中へ少し入って、立ったまま海苔巻きを食べました。

が、なんて冷たいんでしょう、三つ食べて終わり。加藤文太郎さんではないけれど、なるほど強風雪山の食事はポケットから出し入れできる食べ物の方がいいのを納得しました。インスタントスープを作るのももどかしく、熱い白湯を飲んで出発です。


雷岩
【冷たい風が吹きすさぶ雷岩】
富士山
【富士山側は晴れている・・・】

冷たい空気を直接吸えば体内部が冷えるのでネックウオーマーの下に更にマスクをつけました。

ダブルストックで体を支えながら雷岩から介山荘へ向かいます。富士山側は晴れているのに、私の上は暗い雲が覆っている・・・


夏道なら30分かからない大菩薩峠までの気持ちのいい稜線。しかし今日は凄まじい風に、軽い(?)私は雪の上に投げ倒されてしまいました。そして体より何より、手が冷たくなってきました。マイナス15〜20度にもなる八ヶ岳じゃないのだからと、今日持ってきたのはグローブではなく厚手の手袋。アンダー手袋もしているので2枚はしているのに、指先の感覚がなくなってきました。凍傷になったら大変!と、指先を交互に揉みながら進んで行きました。


すっかり曇って気温は下がる一方で手元の温度計は、−12度! この強風で体感温度はかなり低いはず。マスクとネックウオーマーをしているためか体自体の寒さは我慢できるけれど、息で曇ったサングラスは水滴が凍って視界が悪い。風は凄まじいし、手は冷たいし、写真を撮ろうという気分ではありません。

誰もいなくて心細かったけど、避難小屋が見えてきた辺りで、二人連れがこちらへ向かって来たのでホッとしました。避難小屋は扉がないのか、中から話し声が聞こえていました。

親不知ノ頭に着きました。ここまで来ればあと僅か。
ホッとして振り返り、写真を撮りましたがサングラスはまだらに凍っていたので良く見えずに撮影。
当然だけど、あの強風は写っていない。

サラサラ雪はとっくに飛ばされていて、親不知ノ頭は地面むき出しの箇所も多くなっていました。


雷岩〜賽ノ河原
【凄まじい風だった雷岩〜賽ノ河原】
奥多摩
【奥多摩側も晴れている・・・】

介山荘が見えてきて、もう安心。東側も開けてきて、見れば奥多摩方面は晴れているみたい。

私の上は、相変わらずドーンと大きい雲。
今朝カレンダーを見た時『今日は仏滅だー』と思ったけど、ほんとに私の上だけ仏滅みたい・・・


小屋を見ながら下って行き、ようやく介山荘に到着。新しい小屋は勿論きれいですが、嬉しいのはストーブがいくつも焚かれていて感激してしまいました。 小屋のご主人も「外はマイナス12度ですよ〜」とか、夕方には「マイナス14度になった。こんなに冷える年も珍しい。昔の気温だ。」とちょっと興奮していました。まだ若い二代目ご主人ですが、今年のように冷えるのは本当に久し振りの様子です。


談話室兼食堂に行き、先客さんのお話に入れていただきました。さほど広くはないけど、ここもストーブが2台焚かれていて、小屋の心配りに感激しました。 今日の宿泊者は14,5人のようです。
日没や夕焼けを見たかったけど、外は日差しが出てきたもののゴーゴーと風が鳴っているので出る気はせず、部屋の窓に張り付いて眺めていました。太陽はあっさり雲の下に隠れ、期待した夕焼けもありませんでした。


夕食は副菜やサラダいっぱいのカレーでお替りも出来ます。夜は夜景を見に、思い切って外に出てみました。強風は収まったものの風はまだあるので寒い。西も東も夜景はきれいで上空には星も輝いていましたが、長居は出来ずに小屋へ戻りました。明日はきれいに晴れてくれそうです。 風が収まりますように!!




夜中に目覚めてしまい、明け方ウトウトしたのか寝坊してしまいました。朝食は6時からでしたが、今から食事していたのでは日の出に間に合わないので、先に外に出ました。昨日のような強風ではないけれど、やはり風があり厳しい寒さに親不知ノ頭まで行く気力なく、小屋のちょっと上の岩場で朝日を拝みました。
今日は快晴。雲ひとつなく昨日のような寒さにはならないようで嬉しい。

薄紅色に焼けた富士山がとてもきれいです。

大菩薩峠で望む朝の富士山は3度目ですが、ここは相性が良くて毎回素晴らしい富士山に出会えて感謝です。上日川ダムは凍っているように見えます。


薄紅色に染まる富士山
【薄紅色に染まる富士山】

遅れて食堂に行くと、同じように遅い食事の人もいて助かりました。今日は牛ノ寝通りか小金沢連嶺、どちらかトレースのある方へ行こうと思いましたが、ご主人は「どちらもまだない様子で、あったとしても昨日の強風で吹き消されているだろう。」とのこと。ただ、今朝は小金沢へ行くといって出発した人が一人いたけど、というお話でした。昨日は冷たい強風に逃げるように通り過ぎてしまい、雷岩斜面もよく見えなかった。石丸峠へ向かう前に、やはり親不知ノ頭だけは行っておきたいので、ちょっと寄って行くことにします。


今日は日差しもあるので、風は冷たくても軽快に進んで親不知ノ頭に着きました。
足元の雪は吹き飛ばされて地表が現れ、昨日の強風を物語っています。
富士山はきれいですが、南アルプス稜線には寒そうな薄雲が纏わり付いていました。

親不知ノ頭から
【親不知ノ頭から】

相模湾
【遠くに光る相模湾】

雷岩方面はきょうはすっきり。避難小屋の屋根の雪は吹き飛ばされてほとんどなくなっていました。温度計を見ればマイナス14度だったので、早朝はそれ以下だったと思われます。

遠くに光る相模湾を見ながら介山荘へ戻りました。

大菩薩峠に着いて、写真を撮ります。風で吹き飛ばされたとはいえ、期待したほどの積雪でなく、2005年1月に来たときとさほど変わらない感じです。

介山荘のご主人に挨拶して出発しようと思いましたが、もう人の気配はなく、ご主人も麓に下りられた後のようです。 第二子が誕生されたとのことなので、ルンルンで下山されたことでしょう。

大菩薩峠
【大菩薩峠】

熊沢山へのトレースは二人分。上に出ると小金沢山の横に再び富士山が姿を現します。
やがて東側に出て、ここから見る狼平や小金沢のなだらかな山稜を見るのも楽しみの一つ。
朝は日陰になるので、やはりここは午後の方が大らかな雰囲気を味わえるような気がします。
中央には雁ヶ腹摺山が大きく、丹沢の山々や、遠くには相模湾も光って見えていました。

天狗棚山〜狼平〜小金沢山
【天狗棚山〜狼平〜小金沢山】

石丸峠への急斜面は吹き溜まりが多く、ふかふか雪で歩きにくい。転がって行くかシリセードの方が早そうです。時々深みにはまりながら、一歩一歩降りて行きました。

石丸峠から、一人は上日川へ向かった様子。一人は東へ進んで行ったようで、私も先へ進みました。


石丸峠
【石丸峠】
牛ノ寝通り分岐
【牛ノ寝通り分岐】

牛ノ寝通りの分岐に上がりました。しかし牛ノ寝通りへの道は吹き溜まりになっていて、雪も相当深そう。この寒風の中、捻挫でもして身動きできなくなったら凍え死しそうなので即刻却下。

では小金沢方面はと見れば、ここからはスノーシューのトレースに変わっていました。どんなものかと思いましたが、とにかく1957m点の天狗棚山へはどうしても行きたいので先へ進みました。


が、スノーシュー跡を追ったのが間違い。スノーシューの人はふかふか道が好きなのを忘れていました。最初から沈みがちでしたが、とうとうズボッと左足全部埋もれてしまいました。右手を突けば肩まで潜り、顔を出すのもやっとです。膝を曲げて持ち上げてと、雪の上で悪戦苦闘。何やら可笑しくて一人で笑いながらスッタモンダしていました。今は風が冷たいものの太陽燦々な明るい午前。これが昨日のように暗く凄まじい強風だったら、雪に溺れて笑っている余裕などなかったでしょう。


スノーシュー跡とは分かれて、歩きやすそうな雪斜面を行くけど、見た目に深さは分らないので、結局同じように所々深みにはまりながら、ようやくピークに上がりました。夏道なら5分もかからないのに15分もかかってしまいました。たったこれだけの距離に苦労しているようじゃあ話になりません。山から山へ、ラッセルしながら登っていく雪山登山者をつくづく尊敬してしまいました。


こじんまりとした天狗棚山から見る狼平は、気持ちいい〜
南アルプスもどーんと大きく、熊沢山の笹斜面もいい感じ 。
ここからの眺めは素晴らしいので、やはり立ち寄りたいピークです。

天狗棚山からの眺め
【小金沢山〜上日川ダム〜熊沢山】

雲取山から鷹ノ巣山への白い登山道もくっきり見えて、あちらも気持ちよさそう〜
目の前にはなだらかな牛ノ寝通りと、奥に奥多摩三山がすっきり見えていました。

奥多摩方面
【雲取山〜鷹ノ巣山〜奥多摩三山】

風が冷たいのでそうそう長くは展望も楽しめず、小金沢連嶺も諦めて石丸峠まで戻って来ました。
あとは上日川峠へ向かうだけです・・・


熊沢山
【熊沢山の笹斜面を左へ】

熊沢山の山腹道へ進むと、こちらは風も当たらず素晴らしく穏やかな道になりました。
富士山も南アルプスも横一列に大きく広がって、なんて気持ちいいんでしょう。
休む場所などない細い道ですが、誰もいないので雪笹に座って展望を楽しむことができそう。
どちらへも行けずガッカリしていたので、ここでゆっくりティータイムにしました。

富士山と南アルプス
【富士山と南アルプス眺めつつ】

その後、明るい唐松林を下って行くと、途中にダケカンバの木立がありました。紺碧の空に白い幹が映えて、とても素敵です。


ダケカンバ
【青空に白く輝くダケカンバ】

やがて林道を横断して、また登山道を下り、更にその下の林道に出ました。ここが新しい「小屋平」バス停。利用しようと思いつつ、去年も時期を逸したけれど、今年こそは利用したい。小さな沢を何度か渡ると大菩薩館の跡地。10年ほど前は残っていた気がする小屋は今はなく、廃材のみ放置されていました。


上日川峠へ
【上日川峠へ】

風が当たらないので、稜線の寒さがウソのように暖かい。暑くなって、フリースを脱いでしまいました。

ロッジ長兵衛に戻って来ました。
まだまだ早い時間。
貧乏性なので、こんな素晴らしい晴天で帰ってしまうのはもったいない。誰もいないベンチで日向ぼっこしつつ、青い空を眺めていました。

ロッジ長兵衛
【ロッジ長兵衛】
裂石へ
【太陽燦々】

さて、そろそろ下山。
裂石へ続く登山道は、太陽の光いっぱい。
木々に透ける南アルプスの白い峰々を見ながら、気持ちよく下って行きました。

昨日は雲に隠れていた南アルプス。
今日は終日、きれいに見えそうです。
時間調整も兼ねて、休憩タイム。

第一展望台
【第一展望台】

登山口に下り、バス停前の番屋茶屋で、ほうとうを食べることにしました。自家製味噌仕立てで美味しく、明るく素敵な女将さんは話をしながら青海苔・ピーナツ入りのお餅も焼いてくれたので、こちらもお土産に買ってしまいました。



積雪は前回の冬の大菩薩峠とあまり変わりなく、石丸峠からどちらへも行けなかったのは残念でしたが、7日は素晴らしい青空だったので気持ちのいい雪道でした。今回は季節風をまともに受けた初めての経験。手の防寒も大事なこと、曇った息は水滴になってサングラスに凍りつくことなど、色々勉強になり無事だったことに感謝でした。サラサラ雪は殆ど飛ばされていて地吹雪はなかったけれど、やはり冬の強風は寒すぎ。等圧線が混み合う日は、家で熱いお汁粉を食べているのが私には合っていると思いました。



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