越前岳・黒岳

えちぜんだけ(1504m)・くろだけ(1086m)


丹沢から見える愛鷹山塊は、いつも気になりながらまだ行ったことのない山域でした。
太陽の低い冬、順光の富士山を期待してバス便検索、何とかなりそうなので行ってみます。


2009.12.6
(日)
 十里木展望台1098m
(馬ノ背)
越前岳富士見台富士見峠黒岳富士見峠山神社愛鷹登山口
快晴 09:20着
 09:20発
09:4210:05
10:15
11:10
11:50
12:10
12:35
13:2513:45
14:00
14:1214:4014:56着
15:16発



今日は素晴らしい快晴。JR松田駅のホームからは、きれいな富士山の頭が見えていました。
御殿場駅7:54着、十里木行きのバスは8:35が始発。待ち時間がちょっと長いです。

御殿場駅は快晴でしたが、愛鷹山塊に近づくと何やら雲が・・・目の前の大きな富士山が目的の越前岳で富士山が見れなかったら残念すぎるけど、上に出れば何とかなるでしょう。

本当は愛鷹登山口で下車して東側から登り、富士山見つつ北へ下山したいのですが、十里木からのバス便が少ないので逆コースで行く事にします。


愛鷹山塊へ
【愛鷹山塊へ】
十里木高原
【十里木高原は霧の中】

バスが進むにつれ霧も迫ってきて、十里木別荘地を迂回して着いたバス停は広い霧の中。

10分ほど歩いた先にある十里木高原には30台以上停められそうな広い駐車場がありましたが、ほぼ満車。これって越前岳への登山者の車でしょうか、周辺に人影はないので、ちょっとびっくりです。 立派な公衆トイレがありました。


道標に従って登山口から入るとすぐ分岐。階段続きの近道東コースとカヤトの西コースのようです。展望があれば西コースを歩いてみたかったけど、ガスで真っ白なので早く上へ出られるよう近道の階段コースへ進みました。

10分ちょっとで着いた展望台もまだガスの中。振り返り見る雄大な富士山が楽しみだったので、ガッカリです。しばし霧の中の真っ白に目を凝らしていました。しばらくすると早々と下山してくる人がいます。マイカー登山の人は本当に早い。「上に行けばきれいな富士山が見えますよ。」と励まして下さって感謝です。

展望台からは少し緩やかになって、やがてベンチのある平坦地に出ました。「馬ノ背 1098m」と記された標柱が立っています。着いた時は相変わらずガスで真っ白でしたが、ベンチで休んでいる間にどんどん薄らいで青空が見えて来ました。

と!  なんと!  素晴らしい!
富士山の頭が見えてきた! 

青い空に、輝くばかりの白さです。
素晴らしくて、感激!
見えて、よかった~!


馬ノ背 1098m
【1098mベンチ 真っ白な富士山!】
富士山
【振り返れば、雲の上に富士山】

嬉しくて何度も振り返りつつ登って行きます。

この先からけっこうな急坂ですが気持ちのいい自然林で良く踏まれた登山道は歩きやすい。
私には初めての山域ですが、越前岳は人気の山のようです。

地図に「平坦地」と記された場所に出ました。
平坦地というほど広くはなく、階段なら踊り場といった所でしょうか。ちょっと開けて見晴しが良く、富士山がすっきりきれいに望めました。左には南アルプスも見えています。

富士山
【青空に、くっきり輝く富士山】
ブナの大木
【ブナと笹の道】

ブナの大木も現れ、日も差してきて、気持ちのいい登りです。春も良さそうなので、季節を変えてまた来てみたい。


更に進んで振り返れば、南アルプス方面が大きく広がって、こちらも素晴らしい!
前聖岳、荒川三山、そして夏に登った塩見岳、更に白根三山も隠れつつ見えます。
写真の左側には、光岳方面から先までずっと広がっていました。

南アルプス
【南アルプス一望】

上に行くほどブナも多くなり、すべすべお肌のヒメシャラの木も多くなってきました。

この頃から下山して来る人と次々すれ違うようになりました。駐車場に車が沢山あったのが納得です。


越前岳へ
【木の根が浮き出た急登】

木立からひょっこり飛び出して、越前岳の山頂に着きました。南西側は大きく開けて開放感がありますが、富士山の見える北側は木立なので、半分隠れて残念。南アルプスもやがては見えにくくなるのでしょうか。さほど広くはない山頂ですが、下山する人や東方面から到着してきた人などでけっこう賑わっています。
南アルプスなど見ながらお昼にしました。今日は日差しが強く風も弱くてとてもいい気持です。

越前岳
【越前岳 山頂】

東の尾根
【明るい自然林の尾根道】

帰りは東の尾根へ進みました。北側ほど急坂ではないけれど泥濘が多いのでそっと歩きます。

この先も自然林なので、左手にはいつも富士山が見えます。ブナの大木も多く、緑の季節やツツジ咲く頃も良さそうですが、きっと賑わうのでしょうね。

アセビも増えてきて、やがて富士見台に着きました。
「昭和13年に発行された五十銭紙幣の図案に採用された富士山は、岡田紅陽がこの富士見台から撮った富士山です。」との案内板があり、撮影用の脚立(?)がありました。

富士見台
【 「富士見台と岡田紅陽」の案内板 】
五十銭紙幣
【五十銭紙幣】

さすがに五十銭紙幣は見たことありませんが、こうして見ればほんとに同じここからの富士山。左から雲が漂って来ているのも、ちょっと似ています。

広くはないけれど静かなので、富士山見つつティータイムにしました。


富士見台からの富士山
【富士見台からの富士山】

やがて鋸岳のギザギザ稜線が見えて来ました。今は通行禁止になっているようですが、あのギザギザを通るのはただ事ではなさそうです。


鋸岳
【ギザギザの鋸岳】
溝状道
【削られた溝状道】

この先も落葉した林ですが、堀削られて溝状になった道や滑りやすい泥濘道も現れて、ちょっと歩きにくい道です。

前方にこんもりとした植林の山が見えて来ましたが、あれが黒岳でしょうか。間もなく「富士見峠」に到着。

右へ下れば1時間かからずにバス停へ着けるようですが、ここまでの地図のコースタイムがかなり多めだったので、バスの時刻までまだ2時間以上あります。時間があれば黒岳展望台だけでも寄ってみようかなと思っていたので、直進して杉林へ入りました。

富士見峠
【富士見峠と黒岳】

植林の中のけっこうな急登です。『昔は展望がよかったけど今は木々に遮られて見えない、とかだったら残念だなあ。でも時間があるので、まあいいか。』くらいの気持で登って行きました。


黒岳展望広場
【黒岳展望広場】

緩やかになった林の先で左側がやや開け、記載どおり富士山の見える場所に出ました。ベンチもあって時間調整にはいい所ですが、植林の中なのでちょっと暗い。黒岳の山頂は近そうなので、やはりちょっと行ってみることにします。

立派な杉の大木が多くなり、「黒岳の自然杉」の札が立っていました。なるほど黒岳という名前の黒木の森という意味は、この自然杉のためだったかと納得。

黒岳の自然杉
【黒岳の自然杉】
雑木林
【山頂手前の雑木林】

その先の道標から右へ曲がると、黒木の森から一転して明るい雑木林になりました。穏やかな午後の日差しが満ちて、落ち葉がいっぱいの気持ちのいい林です。

緩やかに進んで、広い草地に出ました。
ここが黒岳山頂のようです。

全然”黒岳”ではありません。 広い草地からは箱根や丹沢の山々が望め、明るく気持ちのいい山頂で嬉しくなりました。

黒岳 山頂
【黒岳 山頂】
黒岳から見る富士山
【黒岳から見る富士山】

富士山は? と、左へ行ってみれば、こちらもベンチがあって木立の向こうに大きな富士山、素晴らしい。

黒岳のことは何も知らず期待もせず時間が余ったので来てみたけれど、ここは開放感のある素敵な山頂広場でした。

少ないながらミツマタやサンショウバラもあるので、花の頃も楽しそうです。来てみて、よかった。


さて下山。さっきの富士見峠まで戻って、ここからはしばらく急下りです。

梯子やロープの箇所もあり、やがて下に愛鷹山荘の屋根が見えて来ました。無人小屋で、今はひっそりしています。水場がありましたが、水は流れていないようでした。

やがて苔むした段々道を下って行くと植林帯になりましたが、手入れされているのですっきりしています。

あしたか山荘
【あしたか山荘】

山神社
【山神社】

小さなお社と鳥居が見えてきて、車道に降り立ちました。向かいには広い駐車場があり、簡易トイレもあります。あとは林道を行くだけ。

愛鷹登山口バス停は植林帯に挟まれた何もない車道で、車がビュンビュン通る。黒岳山頂でもっとゆっくりしてくればよかったなあと思いました。


朝は素晴らしい富士山が見えていたのに十里木ではガスになってちょっと心配しましたが、越前岳の中腹からは白く輝く素晴らしい富士山や横一列に並んだ南アルプスが望めて感激でした。軽い気持で寄った黒岳は思いがけず楽しい山頂で、次回来る時もまた寄ってみたいと思います。



前回の大山・鐘ヶ岳    HOME    山域別    次回の大野山