三ツドッケ・滝入ノ峰

みつどっけ(1576m)・たきいりのみね(1310m)


シロヤシオの季節となり、今年は奥多摩の三ツドッケへ行ってみることにしました。
新緑の頃にと思っていたカロー大滝からハンギョウ尾根経由で登ることにします。


2009.5.23
(土)
 東日原カロー橋小屋跡カロー
大滝
ハンギョウ
尾根
板形ノ峰三ツドッケ一杯水
避難小屋
滝入ノ峰東日原
うす晴れ
のち曇り
 07:47着
 07:50発
08:3509:2010:05
10:30
11:10
11:20
12:0512:20
13:05
13:30
13:35
14:22
14:37
15:37着
16:17発



今日は晴れの予報。朝は曇っていましたが、青空も広がって来ました。奥多摩駅7:25発の東日原行きは増発も出るほどの盛況です。まずは東日原から小川谷林道へ。燕岩や梵天岩を見上げながら進み、一石山神社からなおも新緑の林道を進んで行きます。昨年秋に初めて歩いた小川谷林道。広葉樹林の中の沢沿い道なので、新緑のこの季節も気持ちよく歩けます。

これがカロー橋のようです。橋を渡って、すぐ右へ。分かりにくそうなカロー大滝へは、松浦本コピー片手でスタートです。

清々しい渓流沿いの道は朝日が差し込み新緑いっぱいで、涼やかな沢音を聞きながらの道はとてもいい気持ち。

すぐの左手に赤テープがあり、ハンギョウ尾根への急登に踏み跡が付いていました。


カロー橋
【賀郎(カロー)橋】
カロー谷
【新緑とガクウツギのカロー谷】

甘いような爽やかな匂いが漂っています。
ガクウツギのようで、いい香りに包まれた谷は、朝の清々しい空気がいっぱい。
時々立ち止まり、深呼吸。

朝日に透ける緑の光を浴びつつながら進み、途中から少しのジグザグで高度を上げ、更に谷の奥へと進んで行きます。


と、谷が狭まって道がなくなってしまいました。目の前は崩れた斜面、左岸は大岩で道などなさそう。仕方ないので沢の水際を進むと、右へカーブした先に小さな滝が見えて来ました。
これがF2の滝のようで、左側の滑りやすい急斜面を登り、木橋で左岸へ渡ります。すぐ先にも滝が見えてきました。これがF3の滝でしょうか、小鳥が明るく囀っていて本当にいい気持ち。


F2(7m)
【 F2 (7m) 】

F3(6m)
【 F3 (6m) 】

滝を見ながら回り込んで行くと、小さな沢が下りて来ました。これが横篶窪(賀郎谷小谷)のようで、木橋で渡ります。この横篶窪沿いに上がって行ってもカロー大滝へ行けるようですが、今日は基本ルートで向かいます。


横篶窪
【横篶窪】
小屋跡
【小屋跡】

横篶窪を渡るとすぐ小屋跡があり、トタン板や木材が残されていました。どんな小屋が建っていたのでしょう。新緑や紅葉の頃に森の空気に浸りながら、音楽聴いたり、読書したり・・・
廃屋が残っていると不気味だけれど、土台だけだとちょっと楽しい。

この先に三連木橋がありました。渡ればハンギョウ尾根へ行けるようですが、今日はカロー大滝へ寄って行きます。

しばらく左岸を進んで行くと、木橋が見えて来ました。一旦、右岸に渡ってから、その先の木橋でまた左岸に渡り返します。右岸をそのまま沢沿いに行く道もあるようなので、またいつか行ってみたい。

カロー谷
【カロー谷を木橋で渡り返す】
カロー大滝への高巻き道
【カロー大滝への高巻き道を下る】


右後方への高巻き道へ進みますが、これが思いのほか長かった。途中からジグザグ急登で、さっきの横篶窪からの水平道に合流して左へ。

けっこう下って行きます。確かに高巻き道ではあるけれど、かなり遠回りな高巻きです。

落ち葉がいっぱいの狭い道を進み、木橋を渡ると向こうから今日初めて出会う登山者一人。立派なカメラを抱え、「今日は水量が少なくて、残念。」とのことでした。

狭い谷の奥まった場所に、そのカロー大滝はありました。落差30mで、しなやかな姿です。

今日は水量が少ないそうですが、流れ落ちる滝の近くは水しぶきでマイナスイオンがたっぷり。
見上げる新緑の中に、白いウツギや朱色のヤマツツジが咲いていました。

空気まで緑色に染まっているような、ひんやりしっとりした水際。静かな森の癒しの空間。
流れ落ちる水の音だけが響いています。


カロー大滝
【カロー大滝】


清浄な空気をいっぱい吸って、さて出発。「滝の下に木橋がある。」と書かれていますが、流されたのか、ちょっと見当たりません。向かいの山肌に道が延びているようなので、狭い沢を渡って右岸に移りました。

僅かなトラバースで小さな支尾根に乗ると急登になりました。左の尾根へ行きたいのに、このまま支尾根の急登が続いたらハンギョウ尾根が減ってしまう(?)と心配しましたが、やがて左の尾根へ向けて山腹道になりました。さっきの高巻きの時とは違い出来るだけハンギョウ尾根の端から歩きたいので、長いトラバース戻り道はむしろ嬉しい。何度か木橋を渡り、立派な石垣道もあります。仮小屋を過ぎても、また木橋。クワガタソウがまとまって咲いていますが、丹沢で見る白い花ではなく、ここではピンク色をしていました。

水平道と右へ上がる道との分岐に着きました。赤黄テープがあり、真っ直ぐはカロー橋、今来た方向はカロー大滝とペン書きされています。右上のハンギョウ尾根へ。


仮小屋
【仮小屋】

カロー橋とハンギョウ尾根の分岐
【カロー橋とハンギョウ尾根の分岐】

ジグザグ急登を過ぎると枯れ葉いっぱいの明るい新緑になり、やがて尾根上の空が近くなって来ました。落ち葉に埋もれてギンリョウソウが顔を出しています。別名「ユウレイダケ」。私にはインパクトの強い名前。一人歩いていて、時々この白に出会うと、ドキッっとします。


明るい新緑
【落ち葉いっぱい 明るい新緑】

ギンリョウソウ
【ギンリョウソウ】


ハンギョウ尾根に上がりました。
『ほんとだ! ながいモノレール!』 悲しむべきか、楽しむべきか。下まで延びる森も新緑、上に延びている森も新緑で、素晴らしい広葉樹林の尾根です。

モノレール設置以前の道を知っている人には、悲しいモノレールだろうなあと思いました。

枯れ葉いっぱいの倒木ベンチで、しばし休憩。見上げるミズナラの葉が明るい緑に輝いて、とてもきれいです。


ハンギョウ尾根
【ハンギョウ尾根】

尾根に沿って登って行くけれど、まあ感心するほど忠実にモノレールは尾根の真上に乗って延びています。出来てしまったものはしょうがない。これってどのくらいの重さに耐えられるんだろう。私がおばあさんになって山歩きが出来なくなったら、これに乗って新緑や紅葉の森の中、上がったり下がったり出来たら、楽しそう~


トウゴクミツバツツジ
【トウゴクミツバツツジ】

西側には所々トウゴクミツバツツジが鮮やかなピンクの花を咲かせています。

きれいな新緑を何度も見上げながら歩いて行きますが、時々かなりの勾配になるのでびっくり。休み休み登って行きました。

終点が見えて来て、モノレールは終わり。
すぐ上の樹林帯を抜けると長沢背稜縦走路に出て、板形ノ峰のピークに着きました。

左へ行けばハナド岩も近い。久し振りに寄ってみようかなと思ったけれど、すっかり曇ってしまったので、また今度にしよう。

板形ノ峰
【板形ノ峰】
三ツドッケ分岐
【三ツドッケ分岐】

右へ進んで行くと、北の秩父側斜面にシロヤシオが咲いています。覗いてみると、たくさん花をつけている木もあって嬉しくなりました。

三ツドッケ分岐から上へ行くとトウゴクミツバのピンクも混じり、秋や冬とは違って楽しい道でした。

北峰を越え、三ツドッケの山頂に着きました。手前のシロヤシオは満開やや散り始めですが、まだまだきれい。瑞々しい黄緑の葉に映える白い花は、本当に清楚できれいです。

シロヤシオ
【山頂のシロヤシオ】
三ツドッケ
【三ツドッケ 山頂】

三ツドッケは数年前に伐採されて、すっかり展望のいい山になりました。山頂で、何やら大声で話していた男性二人が下って行くと、その後に到着した人が、「今、下って行った一人がここの木を切った人で、罰金も払ったそうです。」と教えてくれました。私は景色やシロヤシオに気を取られていたので、どんな方だったのか全く思い出せませんでした。


この時はシロヤシオやトウゴクミツバに喜んでいたので、あまり気にならなかったけど、帰宅して数日後、『ひょっとしてシロヤシオの木も切られていたのかしら』と急に心配になってきました。いくら「展望良くした、罰金は払った。」と言っても、ちょっと切り過ぎなのでは。(一昨年の冬に来た時は、展望が広がった事を単純に喜んでいたけれど・・・)


三ツドッケからの下りもシロヤシオやミツバツツジが多く、南面なのでもう散ってしまっている木もありますが、ツツジ類の木の密度の高さにびっくりしました。こんなに沢山あるなんて、感激!嬉しくて、何度も立ち止まりながら下って行きました。


シロヤシオの咲く道
【シロヤシオの咲く道】

シロヤシオとトウゴクミツバツツジ
【シロヤシオとトウゴクミツバツツジ】

サラサドウダンツツジも見て一杯水避難小屋に到着。横のトウゴクミツバがとてもきれいに咲いています。この先は何度も歩いたヨコスズ尾根。新緑紅葉がきれいな広葉樹林の尾根で、お気に入りの尾根です。


一杯水避難小屋
【一杯水避難小屋】

ヨコスズ尾根
【ヨコスズ尾根】

東日原16:17のバスまでには随分時間があるので滝入ノ峰経由で下ることにしました。ヤセた区間先、山腹道に移行する所から急登します。

右側は急斜面で落ち込んでいるので要注意。狭いヤセ長ピークにはコヨウラクツツジやアブラツツジが咲いていました。


ヤセ長ピーク
【ヤセ長ピーク】
滝入ノ峰
【滝入ノ峰】

滝入ノ峰の山頂は狭く、すっかり新緑になったこの時期は展望もありません。静かな佇まいのまま、相変わらずひっそりとしていました。

コーヒータイムにしましたが、コバエが付きまとって、まさに五月蝿い(うるさい)。あまり寛げない時間調整でした。

次のピークを越え、ブナの大木など見ながら下ると広い尾根になります。日差しがあれば新緑も輝くはずの素晴らしいミズナラの林で、ヤマツツジの朱色が見え隠れしていました。

最後の急斜面を下って、左へ行けば一般道に合流。あとはバス停へ向かうだけです。

ミズナラ林
【ミズナラ林】

クワガタソウ

サラサドウダンツツジ

アブラツツジ

コヨウラクツツジ

カロー大滝は狭い谷間の奥まった場所にあり、秘境に分け入るようで、とても素敵な谷間の道でした。細いながらもしっかりした作業道がついていて、しかもあちこちいっぱい枝分かれしています。ここはまた、季節を変えてルートも変えて歩きたいお気に入りの場所になりました。ハンギョウ尾根も素晴らしい広葉樹林だったので、紅葉の頃にも訪れたいと思います。


そして三ツドッケのシロヤシオ。今年でもけっこうきれいでしたが、当たり年なら素晴らしい紅白の競演が見れそうで、西丹沢同様これからはこの辺りも気になる山域になりそうです。新緑いっぱいの中、変化に富んだ山旅で、感謝の一日でした。



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