燕岳

つばくろだけ(2762m)


燕岳は、春の雪山入門の山としても紹介されている奇岩の多い山です。
展望も素晴らしいので、一度この時期に行ってみたいと思っていました。


2008.5.4-5
(GW)
 中房温泉第一ベンチ第二ベンチ第三ベンチ合戦小屋合戦ノ頭燕山荘燕岳
快晴
翌日は曇り
 06:00着
 06:30発
07:05
07:10
07:3508:10
08:25
09:40
10:10
10:30
10:40
11:35
13:00
13:45
15:15



今年のGWは、久し振りに残雪の北アルプスを眺めたいと思いました。ただ、ピッケルを持っていない私は天候が重要。「高気圧が張り出し、風弱く、気温が高いでしょう。」という天気でないと行けません。トレースもついてないと登れないので連休後半限定です。

燕山荘のHPを見ると「今年は残雪が多く、山荘周辺もまだ3~5mの積雪。普段は雪のつかない西側斜面を中心に残雪量が非常に多く、山頂までの道も滑りやすく危険。」と書かれています。
が、北アルプスを見たいだけなので燕山荘まで行ければいいし、後半ならトレースもついているだろうと思い、行ってみることにしました。

後半2日目とはいえ連休なので混んでいるかと思いましたが、乗車率は6割くらい。隣の席も使えたので横になることが出来ました。以前はタクシーの相乗りでしたが、今は「乗合いバス」があり、穂高駅5:0のバスで中房温泉へ向かいます。

中房温泉で朝食など摂り、準備。合戦小屋までは樹林帯なのでアイゼンやストックはなくても大丈夫です。第一ベンチまでは雪もほとんどないけれど、その先からはけっこう雪も出てきました。第二ベンチは全面雪ですが、ベンチは出ています。段差のある合戦尾根も雪に埋もれてむしろ歩きやすいくらいです。


第一ベンチ
【第一ベンチは雪わずか】

第二ベンチ
【第二ベンチは全面雪】

第三ベンチを過ぎると所々滑りやすくなってきましたが、ステップはしっかりついているのでアイゼンを着けるほどではありません。下る場合はあったほうが安心で早いけど、登る場合は重くなるのでなるべく着けたくない。富士見ベンチは雪に埋もれていたようで、気付かずに過ぎました。樹林帯を抜け、ダケカンバが見えてくると合戦小屋も近い。大きく開けてくると雪面が眩しく、ここからはサングラスが必要です。それにしても空が青くて、本当に嬉しい。ウキウキ、ルンルン、にっこり。


合戦小屋
【合戦小屋】


合戦小屋に到着。
屋根までの雪ですが、ベンチは雪の上に並べてあるので皆さん休憩中。スイカは無理ですが、飲み物など売っています。

ここでアイゼン装着。10本12本の人もいますが、私は最小限の8本爪。

そして必須なのが日焼け止め。恐ろしいほどの紫外線なので念入りに塗っておきます。サングラスも二つ持って来ました。今日は濃い色でないと、後日雪目で痛くなりそうです。ストックを出して出発。

夏はジグザグの登りですが、この時期は冬ルートの直登。下りて来る人もいて、賑やかです。

白い雪面を反射したダケカンバの幹が青空に映えて、とっても素敵です。


合戦ノ頭へ
【合戦ノ頭への直登】

休み休みの急登で合戦ノ頭に出ると、一気に視野が広がりました。
左に槍ヶ岳が見え、右には餓鬼岳が見えています。


槍ヶ岳
【槍ヶ岳】

餓鬼岳
【餓鬼岳~東沢岳~東餓鬼岳】

合戦尾根
【合戦尾根】

正面には、紺碧の空に続く白い雪道。
ここからは、ほんとに、ただただ素晴らしい道です。


燕岳を見ながら
【右上に燕岳を見ながらダケカンバの雪道   右端に見えるのは針ノ木岳?】

燕山荘
【あの空の下に燕山荘】

有明山
【振り返れば有明山】

槍ヶ岳・・・西鎌尾根
【そして、燕山荘の横から回り込むと・・・・・!!】


槍ヶ岳・西鎌尾根・樅沢岳・双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳・野口五郎岳
なんて素晴らしいんでしょう!!  ほんとに、登ってきて、よかった!!

槍ヶ岳~裏銀座
【槍ヶ岳~裏銀座の白銀の峰々】

燕山荘に到着。
4月22日のスタッフ入山日には1階の屋根まで雪だったそうで、除雪作業も本当に大変だったと思います。今はきれいに整地(雪)されて、テントもいくつか並んでいました。


燕山荘
【燕山荘】

燕山荘から見る大パノラマ
【 燕山荘から見る大パノラマ  素晴らしい晴天にほんとうに感謝! 】

槍ヶ岳
【槍ヶ岳・西鎌尾根・蓮華岳】

受付を済ませ、ベンチで昼食。
今日は本当にいい天気。
青い空に白銀の峰々。
ゆっくりゆっくり眺めながらお昼にしました。

山頂までの道も、連休後半はトレースもしっかりついて問題ないとのこと。ナップザックにお茶とお菓子とヤッケを持って山頂へ。

燕岳は奇岩の山。イルカ岩は有名です。
もっと右横から撮るとイルカがジャンプしている姿だけれど、これは槍ヶ岳を中央に空を仰ぎ見るイルカです。

槍ヶ岳とイルカ岩
【イルカ岩】

メガネ岩
【左に燕山荘 右に槍ヶ岳の大きなメガネ岩】

雷鳥
【雷鳥も、お散歩♪】


ふと見ると、なんと、ハイマツの中から雷鳥が散歩に出て来ました。かわいい~ 

ちょっと、ヨロヨロ。雪の上を横切って、あちらの岩陰に消えて行きました。

下がまだ白く冬色、上が夏色になりかけの斑の姿。夏の雷鳥は何度も見ているけれど、この時期見られるのは珍しいと思う。
今日は暖かいので、久し振りのお散歩かな。
雷鳥さん、ありがとう~~~♪ 


燕岳山頂に着きました。5,6人いて展望を楽しんでいます。お互いに写真を撮りあって、今日の素晴らしい青空を喜び合いました。いつまで見ても見飽きない白い峰々。ずっと眺めていました。


燕岳から
【燕岳から見る大天井岳~穂高岳~槍ヶ岳】

針ノ木岳方面
【奥北燕の向こうには不動岳~針ノ木岳~蓮華岳~鹿島槍ヶ岳】

しばらくして数人の男性グループが到着、一人がこの先の奥北燕方面へ下りて行きました。しかし吹き溜まりにはまったのか、途中で足が腰まで埋もれたようで抜け出ることが出来ずにもがいています。仲間の人たちも初めは笑って見ていましたが、なかなか出られない様子で助けに行きました。が、行った一人も足を取られ男性を引き上げる事が出来ません。もう一人が行ってようやく脱出しました。山頂に戻って、「一人だったら、あのままの姿で夜に凍っていたよ。」との会話。明るい晴天、みんながいてよかった。でも本当は怖い話で、私も油断しないようにしなければと思いました。


燕山荘へ
【そろそろ燕山荘へ】

3時も過ぎて、少し寒くなって来ました。
そろそろ山荘へ戻ることにします。


山荘前のベンチで、同じ単独女性とおしゃべりしながらティータイム。その方は以前、GWにお友達と常念へ縦走しようと大天井岳を通過。そのとき直登せずにトラバース道を行ってしまい、お友達が滑落して亡くなったとのこと。以来、毎年GWはお墓参りの気持ちでここへ来てお祈りするそうです。つらい経験だったろうなあと、言葉もありません。

そのためかどうか夕食の時の注意事項では、常念への縦走で大天井岳を通る際はくれぐれも冬ルートの直登で通過するように、仮にトラバースにトレースがあったとしても直登をと、再三注意していました。

今日はずっと青空でしたが、夕方になるとどんどんガスってきて、夕焼けも星空も期待できなくなりました。目の前の燕岳もガスの中。

予報は下り坂に変わったので、明日は早めに下山しよう。


ガス・・・
【夕方はガス・・・】



振り返りつつ
【振り返りつつ下山】

そして朝。    
昨日の快晴が信じられないような曇り空です。
5時からの食事を済ませ、霞んだ景色にお別れをして6時出発。

きのうの素晴らしい展望に感謝して、振り返りつつ下山しました。

中房温泉から朝一番の9:40発のバスに乗車。穂高駅でも松本駅でも接続がよかったので、3時前に帰宅できました。


気温が高ければピッケルがなくてもダブルストックで大丈夫ですが冷たい雨が降れば斜面は固く凍るらしいので、北から寒気などの影響がありそうな日はやはりピッケルが必要だと思います。
また高気圧に覆われた素晴らしい晴天は日焼け注意です。真っ赤に日焼けした男性を数人見かけましたが、多分ヒリヒリ大変な事になっているのではと思いました。

実は念入りに日焼け止めを塗ったはずの私も、一箇所塗り忘れがありました。3日くらいして、鼻の先から鼻柱にかけてポロポロと皮が剥けてきたのです。鏡を見て、びっくり。ここは常に雪面に正対している部分なのに、うっかり塗り忘れていました。


GWの燕岳は真っ青な空、真っ白な雪道、素晴らしい展望に恵まれ、雷鳥も会いに来てくれました。夕焼け、日の出はなかったけれど、北アルプスの雪景色を堪能することができて本当に感謝。やっぱり白い山はいいなあと思いました。



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