丸山・日向山

まるやま(960m)・ひなたやま(633m)


奥武蔵第二弾は、まだ見たことのないセツブンソウに会いに日向山へ行きました。
そろそろ花期も終わり頃のようですが、まだきれいに咲いていてくれました。


2008.3.22
(土)
 正丸駅正丸峠旧正丸峠虚空蔵峠刈場坂峠大野峠丸山車道雪割草
の里
日向山
と花道
芦ヶ久保駅
快晴 07:55着
 08:00発
09:00
09:10
09:4010:4011:10
11:45
12:40
12:45
13:10
13:30
14:15ヒッチ
ハイク
14:35
15:00
ヒッチ
ハイク
15:10
16:05
16:35着
16:40発



春になると花の便りが続々登場する「山の写真集」の掲示板で、数年前からセツブンソウという花を知るようになり、不思議な印象の花を一度見てみたいなあと思っていました。秩父や栃木には自生地があって早くから咲いているようですが、なにぶん遠すぎ。調べてみると芦ヶ久保の日向山でも咲くらしい。秩父の自生地より標高の高い位置のようなので、そろそろ見頃かも知れないと思い、行ってみることにしました。早朝は花がまだ開かないかも知れないので午後にゆっくり見ようと、正丸峠から周ることにします。

東飯能から西武線に乗り換え。車窓から見る景色はだんだん植林が続くようになってきました。どの山肌も植林ばかりで、ちょっと『・・・・・』といった気分ですが、ともかく一度は行ってみないと。


正丸駅の階段
【正丸駅の階段】


正丸駅で下車。身支度して、さて階段。
『わあー梅がきれい。』と階段を見たら・・・見ただけで眩暈がしました。この階段、斜めに歪んだように延びていて、平衡感覚がヘンになりそう。

昔、子供と行った科学博物館のトリック部屋を思い出しました。手摺りをしっかり握らないと下りれません。朝からびっくり。ちなみに後ろ向きで下りたら水平な階段だったので、上りなら大丈夫そうです。


階段の先で右へ曲がり、西武線の下を通って坂道を上がって行きます。山側に咲くダンコウバイや、足元のふきのとう、道端に咲いているミツマタなど見ながら車道を進んで行きました。伊豆ヶ岳分岐では、同じ電車で下りた人達が皆、伊豆ヶ岳方面へ曲がって行きます。

車道をもう少し先まで行くと、やがて石畳の道になり、「関東ふれあいの道」の石柱のある登山道になりました。ここからはずっと植林で、木橋を渡ると涸れ沢の中を行くようになります。最後は急な段々で、上に建つ茶店の裏側から車道へ出ると、ここが正丸峠でした。休憩をと思っても広い車道の正丸峠ではイマイチ。地図にはすぐ上に展望地があるようなので横の階段を上りました。

ここからは気持ちのいい自然林。コンクリートのベンチや東屋があって、木々の間から向こうの山々が見えます。

よく見ると、白い縞々の壁がほとんど垂直でピラミッドとマッターホルンを合わせたような山が見えました。ひょっとしてあれが武甲山?写真では見たことがあるけれど実際に見るのは初めて。しばし感激(?)しながら休憩ました。


正丸峠
【正丸峠の東屋  武甲山の頭が見える】
武甲山
【武甲山】


先に進んで行くと、木々の間から見える武甲山の姿がだんだん大きくはっきりしてきました。よく見えるようになると、本当に大きく削り取られて、ひどい事になっています。

上半分はもうなくなっていて、下は台座のようになっています。本来はあの縁まであったはずで、堂々とした山容だったのでしょう。何かの時には山頂が崩れ落ちてきそうで、石灰岩が採れるばかりにまったく気の毒な山だなあと思いました。

正丸山や川越山など、ピークは樹林に囲まれ展望はありませんが、道は自然林が多く気持ちのいい尾根です。


川越山
【川越山】
旧正丸峠
【旧正丸峠】

766m点からは急な段々を下って、旧正丸峠に着きました。ここは十字路になっていて、右は正丸駅へ、左は初花へ下るようです。初花・・・素敵な名前だけれど、どんなところでしょう。

旧正丸峠の段々を登って、北向きの道になると少し雰囲気が変わって尾根が細くなり、わずかながら露岩や笹の道もあります。芽吹き前の木々の中に、黄色が目立つダンコウバイが咲いていました。

ダンコウバイ
【ダンコウバイ】
ベンチ
【ベンチで休憩】

短いながらもけっこう急な登り下りが多く、植林を巻いた先にベンチがありました。虚空蔵峠ももうすぐのようだけど、車道沿いのようなのでこのベンチで休憩タイム。この道は誰も通らず静かです。

この先の急坂を下り、少し行くと車道に出ました。ここが虚空蔵峠で東屋があります。虚空蔵峠から車道を4,5分歩いて行くと、カーブする手前に道標がありました。

刈場坂峠への道標はそのまま車道のルートを指していますが、登山道は後ろの細い道を行くようです。

虚空蔵峠
【虚空蔵峠】
浅間山?
【浅間山?】

西側には木々の間から遠くに白い山が見えています。浅間山でしょうか。


台形とギザギザがセットになった山も見え、あれがきっと両神山でしょう。アカヤシオで有名な山なので、一度は行ってみたいと思っていたけれど見るのは初めてです。右のギザギザはかなり急で危険そうですが、左は細かなギザギザの水平で、面白そうです。

やがて緩やかな斜面の草地と低木帯になりました。牛立久保というのはこの辺でしょうか。名前と一致してゆったりした雰囲気で、もう少し経てば新緑に埋もれそうな所です。


牛立久保
【牛立久保】


その先で刈場坂峠と丸山方面との分岐に出ました。気持ちのいい自然林の尾根です。刈場坂峠は見晴らしがいいらしいので、今日はそこでお昼の予定。右へ進んで行くと家が何軒か見えてきました。どうやら別荘地のようです。


刈場坂峠
【刈場坂峠】

車道に出た所が刈場坂峠です。
茶店やトイレがあり、西や北の遠くには白い山々が見えています。正面に見えるのが堂平山でしょうか。写真では見えませんが、肉眼ではその右奥にうっすら白い山が見えていて、日光方面の山のようです。

りんどう茶屋は休業中ですが、ベンチがいっぱいなのでここで昼食タイム。今日は素晴らしい快晴。どこも初めて見る山々ばかりで珍しい。

さて次は丸山へ向かいます。さっきの牛立久保の分岐まで戻り西へ進みました。この辺りは素晴らしい自然林で気持ちのいい道です。左に武甲山や両神山を見ながら歩いて行きました。

自然林
【分岐周辺は自然林】

やがて下に車道が見えてきて一時合流したところに七曲り峠の道標。すぐまた山道になり、しばらくは植林で今日は伐採作業中でした。短いながらもちょっとした露岩帯があって、その先のピークがカバ岳。樹林の中で展望はありません。その先でまた一旦車道に出ますが、50m先でまた車道に沿うように登山道がついています。


大野峠
【大野峠】

車道に平行する登山道を進み、やがて車道に合流。ここが大野峠で、赤谷・芦ヶ久保方面への分岐にもなっていました。丸山へは向かいの植林と自然林の境道を行くようですが、東屋があるのでしばし休憩。

東屋の少し先から段々になり、上がると見晴らしのいい草地に出ました。標柱には「首都圏自然歩道休憩地」と記され、振り返ると今来た刈場坂峠がけっこう遠くに見えています。

ここはパラグライダー基地のようで、四角いシートが敷いてあり幟が泳いでいました。

広場
【首都圏自然歩道休憩地】
丸山へ
【丸山へ】

その先の白石峠分岐からは道幅が広くなって、落ち葉がいっぱいの緩やかな道になりました。

アンテナ塔の横に出て左折。

緩やかな登りで、ちょっと場違いな建物が見えて来ました。ここが丸山山頂のようです。

展望台を上がって見ると、なんと素晴らしい展望です。案内版を見ると、朝見た山はやはり浅間山のようで、さっきより霞みながらも白く見えていました。

丸山
【丸山  展望台】


北面は妙義山や谷川岳や男体山が見え、南面はなんと丹沢山系や大室山も見えるようです。大岳山や蕎麦粒山も見えるようですが、霞んでいてよく分かりません。しかし、富士山が見えないのは、やはり残念。帰宅して地図を確認すると蕎麦粒山と重なっているようでした。


両神山方面
【八ヶ岳と両神山が見える】

両神山の左には白い山々がうっすら見えています。どうやら八ヶ岳のよう。ここから見えるとは思っていなかったので感激してしまいました。(写真では見えませんが)


山頂からは広い段々を下り、また登り返して森林館の分岐がある三叉路に出ました。東屋もあり、逆ルートの場合は休憩に良さそうなところです。ここからは防火帯の道。防火帯というと奥多摩のイメージがあって、もっと広い道かと思っていましたが意外と狭く、片側が植林なのでちょっと期待外れでした。滑り易い急坂もあって、ひたすら下って行くと途中から西方向になって、両神山を見ながら下りました。

やがてあしがくぼ果樹公園村方面の分岐。日向山へは右のちょっと薄暗い植林を下ります。
下の方に 小さな鳥居があったので山の神様にご挨拶。そのすぐ先が車道です。


日向山 分岐
【芦ヶ久保・日向山 分岐】

車道に出ると、なんと目の前に「雪割草の里 ここから2キロ」の看板があり、「雪割草群生地」の幟が立っていました。そういえば秩父の花で検索していた時、どこかの車道沿いにあるというのを見たような・・・  雪割草というのは簡単には行けそうもない地域の花で、まだ見たことがない。『2キロって、30分くらい?往復1時間ってこと?今2時過ぎ、どうしよう・・・』と思いながらも、足はもう歩き出していました。

15分くらいは緩やかな道でしたが、だんだん上り坂になって、前方を見ると何度かカーブしながらけっこうな勾配。車が時々通る。せっかくここまで来たのに、引き返すのはもったいない。でも遅くなるとアズマイチゲは花が閉じてしまう。どうしよう、どうしよう・・・・と思いながらも歩きつつ、後ろを見るとまた車が来る。『そうだ!この際!』と、思い切って手を挙げてみました。

止まってくれた車は男性二人連れですが、人の良さそうな雰囲気。「すみません。この先1キロくらいの所に雪割草の群生地があるらしいのですが、乗せていただけませんか。」とお願いしてみました。すると「あ~ 僕たちもちょうどそこへ行くところなので、いいですよ。」と気持ちよく乗せてくれました。飯能にお住まいだそうですが、雪割草が咲くなんて最近知ったので行ってみようと思って来たとのことでした。

車は早い。ちょっとお話している間にもう着いてしまいました。駐車場もあり、入口で係りの人が何やらお金を徴収しています。内心、いくらなの?と心配しましたが、「協賛金、一人100円です」とのこと。ほっとして、お礼にお二人の分も出させていただいて、中に入りました。お蔭様で体力も使わず、早く着いて本当に助かりました。お礼を言って、一足先に急いで群生地へ向かいました。

植栽で規模はこれからという雰囲気ですが、落ち葉から顔を出して可憐に咲いています。山に咲く自生の花とは違うのかも知れませんが、花ひとつひとつは可愛いし色も様々ありました。







手前の群生地だけを一通り見て入口に戻ると、車の中から善良そうな年配のご夫婦が係りの人に「じゃあまた来るから」と挨拶しています。私はまたも図々しく、「すみません、これから下へ下りられるんですか。」と聞くと、まだ乗せて欲しいとも言わないうちに「下に行くの?いいですよ。乗ってって下さい。ついでだから」とのこと。なんて親切なんでしょう! 地元の方のようで、ちょっとお話しているうちに、さっき下山してきた地点に着いてしまいました。お礼に僅かだけでもと思いましたが受け取ってもらえず、何度もお礼を言って車を見送りました。本当に親切なご夫婦。ありがとうございました。

車道を少し下った先に日向山の登り口がありました。大きな案内板を見ると「山の花道」にはいろいろな花が次々に咲くようです。

案内板の地図には日向山が書かれていないのでちょっと分かりにくく、山頂の北面にあるのかと思い登ってみました。左手には小さなロウバイ園があって、まだ少し咲き残りの花が咲いていました。朝は白かった武甲山も、もう逆光に陰っています。


ロウバイ園
【日向山東面のロウバイ園から武甲山】
日向山
【日向山】

すぐで日向山の山頂に着きました。
自然林に囲まれ、夕陽が差し込む木の下で男性が一人昼寝中です。花の咲く場所はどこかなと周りを捜しましたが、ちょっと違うみたいなので引き返しました。


途中で左に東屋が見えるので下りみると「山の花道」の案内板があり階段や柵で遊歩道のようになっていました。カタクリの葉が少し見えますがまだまだで、蕾がちらほら見えるだけです。

やがてアズマイチゲが沢山見えてきました。
光が弱いと開かないので、朝より午後の方がいいかなと思っていましたが、午後過ぎ! 寄り道なんかしていたので、もう殆ど閉じていました。残念・・・

さて、肝心なセツブンソウはどうでしょう。


アズマイチゲ
【閉じてしまったアズマイチゲ・・・】
セツブンソウ
【セツブンソウ】

沢を渡って進むと、いました♪いました♪
まだきれいに咲いています。

小さな花と聞いていましたが、確かに小さい。
しかし、とても不思議な雰囲気を持っている花です。さほど多くはないけれど、日差しの弱い斜面で健気に可愛い花を咲かせて待っていてくれました。

早春に花を咲かせ夏には葉も姿を消してしまう花は、”スプリング・エフェメラル”(春のかげろう・儚い命)と言われるそうですが、芯のある強さを感じさせて気品さえ漂う。一度見たら忘れられない個性的な花でした。

セツブンソウ
【セツブンソウ】

花は色々。姿も香りも色も雰囲気も実に様々。私はクリスチャンではないけれど、花は見れば見るほど神が創ったとしか考えられない。この土の中から芽が出ることも不思議だし太陽に向かって伸びるのも不思議。それぞれ個性のある花を咲かせるのも不思議。そして、こんなに種類が多いのも不思議です。


カタクリとセツブンソウ
【カタクリとセツブンソウ】

隣のカタクリは何だか足が長い。枯葉がエプロンのようについていて、そっと触っても外れない。よく見ると、なんと枯葉を貫いて伸びていました。


入り口に戻り、あとは駅へ向かうだけ。近道や車道を下って行くと、道端に腰掛けたおばあさんから声を掛けられました。どれでも100円だからと言われ、見れば小さなビニール袋に菜っ葉がいっぱい詰め込まれています。隣には萎びたような小さなふきのとうが3個くらい入った袋。
朝に採ったものでしょうか。もう夕方なので、どちらもやや萎れた感じ。でも何だか気の毒になって菜っ葉の袋をもらいました。駅へ向かいつつ、あのおばあさん家族がいるのかなあ、ふきのとうも買ってあげればよかったなあと、ちょっと後悔してしまいました。

帰宅して取り出すと、どうやら小松菜。柄の部分がなく葉先の部分だけをちぎって入れたようで、お味噌汁にしたらとても柔らかくて美味しい小松菜でした。あのおばあさんもこうして食べているのでしょうか。それとも、柄の部分・・・? 小松菜を見るたびに、あのおばあさんを思い出しそうです。


初めてのセツブンソウ、初めての雪割草、初めて見る武甲山や両神山、予想以上の丸山の展望、そしてミニヒッチハイクや小松菜のおばあさん。あれこれ思い返しながらの帰路は電車の乗り継ぎもよく、往路より30分も短い時間で帰宅出来ました。今回は、奥武蔵の山も歩きたいし花もあれこれ見たいしと欲張ってしまいました。丸山の展望もよかったので、次回はもっと早い時間に着くようにしたいと思います。


 日向山周辺の花々



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