尾瀬ヶ原・燧裏林道

おぜがはら・ひうちうらりんどう


秋の尾瀬ヶ原は黄金色の草もみじに染まるそうです。
紅葉の遅れた今年は今週が見頃とのこと。
燧裏林道も紅葉するそうなので楽しみに行って来ました。


2007.10.13
(土)
 鳩待峠山ノ鼻三叉路ヨッピ橋竜宮見晴尾瀬ヶ原
温泉休憩所
燧裏林道上田代御池
朝、曇り
のち晴れ
 05:15着
 05:40発
06:45
06:55
07:4508:30
09:20
09:45
09:50
10:2010:50
11:10
11:5013:25
14:00
14:30着
15:00発



テレビで放映される尾瀬ヶ原には、いつも木道をぞろぞろ歩くトレッキング客の姿が映し出され長い間敬遠していましたが、連休の翌週なら少しはマシかなと思い行ってみることにしました。新宿からの直行バスは戸倉でマイクロバスに乗り換え、鳩待峠で下車。夜が明けず、まだ薄暗い鳩待峠休憩所の食堂は早朝から大賑わいです。温かそうなけんちん汁を注文し、おにぎり朝食を摂って出発。天気は曇り。どんよりとした空を見上げ、ちょっとがっかりしながら山ノ鼻へ向けて下って行きました。


きれいに整備された木道や段々道の週辺は紅葉も多くきれいでしたが、日差しがないので全体はくすんでいます。前後に人はいますが、行列というほどではありません。至仏山へ向かった人も多かったようです。


鳩待峠~山ノ鼻
【川上川近く】

鳩待峠~山ノ鼻
【そろそろ山ノ鼻】

至仏山荘
【山ノ鼻・至仏山荘】

小屋が点在する山ノ鼻に到着。
至仏山荘前のベンチは人もいっぱいです。周辺をちょっと偵察、ここから至仏山へ向かう人もけっこういました。

木道を進んで、尾瀬ヶ原に出ました。
広い湿原は一面明るい草もみじ。日差しがあればもっときれいなことでしょう。振り返り見る至仏山も山頂が雲に隠れて残念。

若い頃は木道も狭く一本道だったように思いますが、今は幅も広い二本道で右側通行。これならすれ違いも楽です。

尾瀬ヶ原
【上田代と至仏山】
マユミ
【マユミの紅葉と赤い実】

途中の小橋には真っ赤にはじけたマユミの実。
染まるように赤く紅葉していく葉が、とてもいい色合いです。

少し青空が見えて来ました。薄日でも光があれば草もみじもきれい。微妙に違う色合いがなんともすてきな秋色です。ダケカンバの白い幹もくっきりと映えています。

草もみじ
【草もみじに映えるダケカンバの白い幹】

燧ケ岳にかかっていた雲も少しずつ動いているようです。予報では晴れだったので、早く晴れてくれないかな。随所に見られる池塘には、ヒツジグサの色とりどりの紅葉もきれいでした。


池塘
【池塘と燧ケ岳】

ヒツジグサ
【ヒツジグサの紅葉】

中田代三叉路には立派なベンチがいっぱいあって、各グループごとに休憩していました。私は三条の滝へも行こうと思っていたのでここで左折。この時、木道の中央に小さな立て札があり、その前で5,6人が何やら相談中。その時は、この尾瀬ヶ原全体のルートタイムか何かが記された略図かな、くらいにしか思いませんでした。観光客も多い尾瀬、地図など持たない人の為の略図だろう、私はエアリアがあるから大丈夫などとのんきに見過ごして先へ進みました。この先は人も少なく、こちらを歩く人はあまりいないのかなと、あくまでものんきです。


ヨッピ橋
【ヨッピ橋】

周りの草紅葉や池塘のイモリなど覗き込んだり、ダケカンバの白く輝く幹など見ながら進んで行くと、やがてヨッピ橋が見えて来ました。

後で写真を見れば、この時もあの立て札が中央に立っていたのに、ヨッピ橋に気を取られ気づかず通り過ぎていました。


ヨッピ橋から更に人の少なくなった木道を気持ちよく歩いて東電小屋に到着。しばし休憩して、さて三条の滝へ出発、と道を探してもよく分からない。しばらくうろうろして仕方なく小屋の人に聞けば、なんと現在は工事中で通行できないとのこと。「えーっ、そうなんですか・・・・  ありがとうございました。」と言って引き返しつつも、『そんな・・・  それなら分岐にでもきちんと表示してくれなきゃ・・・・』などと思いながら急いでヨッピ橋まで戻りました。


東電小屋へ
【東電小屋へ】

東電小屋からみる至仏山
【東電小屋からみる至仏山】


ヨッピ橋の分岐でよく見れば、なんとあの見過ごした立て札にちゃんと掲示されています。私が無視しただけ。まったく参ったなあ。最近は一つのことに気を取られると他が見えなくなる。これって脳の○化?何やら悲しい。

うろうろしている間に空は晴れて来ました。
嬉しい♪  至仏山もすっかりきれいに見えてきて、ダケカンバの下の紅葉もきれいです。池塘に映る空も明るい。


至仏山
【晴れてきた至仏山】

竜宮十字路
【竜宮十字路と中田代】

当初は通る予定ではなかった竜宮十字路。
でも尾瀬ヶ原はこの中央通りがやっぱりメインのようで、人が多くてもこの中央通りを歩いたほうが広い湿原のよさを感じられそうでした。

きれいに晴れてきた空を見上げ、うっかり間違いの遠回りをしたからこんなすっきりした至仏山も燧ケ岳も見える訳で、あのまま赤田代へ向かっていたらこの景色は見れなかったなあと思いました。


竜宮小屋周辺には木立があり、沼尻川を渡って振り返ると至仏山は木立の向こうに見えるようになります。尾瀬ヶ原は区切りのない一面の広い湿原と思っていましたが、中央には沼尻川に沿って関所のように木立が細長く並び、至仏山側と燧ケ岳側を分けていました。後日地図で見ればここが群馬県と福島県の県境のようです。

真っ青な空を映した池塘と木立の向こうの至仏山などゆっくり眺めながら歩きました。

尾瀬ヶ原
【すっきり青空 至仏山】

燧ケ岳
【燧ケ岳と下田代】

六兵衛堀を渡ると、今まで木立の向こうに見えていた燧ケ岳も近づいてきます。広い下田代、すーっと伸びる木道の先に緩やかな裾野を広げて気持ちよさそうな燧ケ岳。正面は小屋が集まる下田代十字路(見晴)。

至仏山と燧ケ岳は姿形が似ていて、違いがイマイチ分からなかったけど、これからはたぶん分かります。


見晴にも、その先の東電小屋分岐にも「東電尾瀬橋通行止め」の札はちゃんと立っていました。通行止めは、平成20年5月までのようです。
相変わらず一面草紅葉の中、赤田代を通って温泉小屋まで来ました。少し先には尾瀬ヶ原温泉休憩所があります。聞けばこの先は樹林帯でベンチもあまりない様子。まだお腹は空いていないけど、おにぎり一個を食べてしばし休憩。どうせならもっと手前の下田代のベンチで食べればよかったなあと思いました。

すぐ先が三条の滝と段吉新道の分岐です。三条の滝はどう考えても時間的に無理なので、右の段吉新道へ向かいました。


段吉新道分岐
【三条の滝・段吉新道 分岐】

でも進んで行くとこちらは素晴らしい紅葉の道です。すっかり晴れて日差しいっぱいの道は色とりどりの紅葉が次々現れ、緩やかな上下を繰り返すこの道は楽しい道でした。


段吉新道の紅葉
【段吉新道の紅葉】

段吉新道の紅葉
【段吉新道の紅葉】

やがて三条の滝や渋沢温泉との分岐 。ここからが燧裏林道というのでしょうか。ここからは通る人も少し多くなります。ブナの大木や苔むした石などあって、木陰になってもしっとり紅葉で、この燧裏林道も色とりどりの楽しい道でした。


燧裏林道の紅葉
【燧裏林道の紅葉】

燧裏林道の紅葉
【燧裏林道の紅葉】

林道というので”林道”かと思っていましたが、れっきとした登山道です。木道が敷かれていますが、あまり違和感はありませんでした。途中何度か苔むした沢を渡ります。シッポ沢は鉄製の吊り橋の裏燧橋で渡ります。この先にも鮮やかな紅葉が待っていました。渋沢温泉の分岐の天神田代を過ぎると小さな田代がいくつか現れます。


横田代へ
【横田代へ】

明るい草紅葉の西田代を過ぎて、次は横田代。
この横田代は紅葉もきれいなところでした。


緑の針葉樹を取り巻くように黄緑や黄色、橙色や紅色、
色とりどりの紅葉が草もみじの縁取りのように輝いています。
ここは自然の庭園のように素敵なところでした。

横田代の紅葉
【素晴らしい紅葉の横田代】

その先が上田代。ここは緩やかな傾斜の広い草原で、左手に遠くの山々が眺められベンチもあります。後は御池に下りるだけ。時間があるので、ここでゆっくりお昼にしました。

優しい日差しもふりそそいで、この上田代はとても気持ちのいいところでした。


上田代
【傾斜草原の上田代】

正面の山を見ていたら、近くの人達が「あれが平ヶ岳だろう。右奥は越後駒ケ岳かな」と同定。
平ヶ岳。名前は聞いた事があるけれど、見たのは初めて。なだらかで気持ちよさそうな山です。

平ヶ岳方面
【上田代から見る平ヶ岳(左の平らな山)】


行動範囲の狭い私はこの辺の山はさっぱり分かりません。夜行バスで来るとワープして来たようなもの。改めて地図を裏返して、尾瀬ヶ原の位置を確認。今回どちらにしようか迷った谷川岳は至仏山から近い所にあってびっくりしました。栃木県や群馬県の山にも興味が出てきましたが、一旦都心に出なくてはいけないのが難点。でも来年は電車などちょっと研究してみようかしら。

この先はやや急下りで、小さな田代をいくつか過ぎて御池に着きました。尾瀬御池ロッジ前のバス停の一角に帰路のバスが待機していました。帰りのバスから見る道路沿いも鮮やかな紅葉が多く、窓を過ぎ去っていく景色も楽しいものでした。


35年ぶりの尾瀬ヶ原は変わらず大きな空が広がって、癒しの空間でした。心配したほど人も多くなく、木道を歩くグループの姿も草もみじの大きな景色に溶け込んでいました。燧裏林道は静かなブナの森で紅葉も美しく、新緑の頃も歩いてみたいと思います。歩いた距離は長かったけど、ほぼ平坦な道。次回はゆっくり泊りがけで、至仏山や燧ケ岳にも登ってみたいと思います。
注意:東電尾瀬橋の工事は延長して、20年7月まで通行止めになっています。



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