霧ヶ峰・鷲ヶ峰

きりがみね(車山1925m)・わしがみね(1797m)


八ヶ岳の北西に広がる緩やかな草原の、絵本のような霧ヶ峰と青い空。
登山というより高原歩きですが、花を愛でながらゆったり楽しんできました。


2007.8.11
(土)
 [車山高原]車山蝶々深山物見岩奥霧小屋八島ヶ原
湿原
鷲ヶ峰八島ヶ原
湿原
[八島湿原]
晴れ
雲多し
 10:25着
 10:35発
10:55
11:05
11:55
12:35
12:55
13:05
13:4014:05
14:20
15:00
15:15
15:50
16:10
16:15着
16:23発



 

ニッコウキスゲで有名な霧ヶ峰高原は、観光客も多そうなのでちょっと敬遠していましたが、いつかは行きたいと思っていました。お盆に近い週末ですが、キスゲの時期は終わっているので少しはマシかなと、行ってみることにしました。

茅野駅3番乗り場から9:30発のバスに乗って、車山高原で下車(1300円)。当初は車山の山頂まで歩く予定でしたが、鷲ヶ峰へも行ってみたいので一気に山頂まで上がってしまう事にしました(1000円)。


リフトから
【リフトからは花がいっぱい】

高原の爽やかな風を受けながら、スーッと進むリフトの足下は花がいっぱい。アザミやギボウシ、シモツケソウなど次々見送りながら上がって行きます。

着いた車山の上は人がいっぱいで、気象レーダーの向こう側に山頂の道標がありました。天気がよければアルプスの山々も見えるようですが、今日は雲が多く見えませんでした。

車山 山頂
【車山山頂は人も多い】

右下に白樺湖を見ながら、遊歩道のように整備された道を下って車山乗越へ向かいました。両側には花も多くツリガネニンジンやヤナギラン、コオニユリ、ヨツバヒヨドリなどが多く咲いています。


蝶々深山へ
【ゆるやかな草原の蝶々深山へ】

分岐のある車山乗越で左の道へ進み、蝶々深山へ向かうと、とたんに人が少なくなりました。車山から下へ戻る人がほとんどで、こちらへ進むのはごくわずかな人だけです。

草原が広がり、丘のような蝶々深山を目指して歩くこの道は、とてもいい気持ち。ところどころにマツムシソウや咲き残りのニッコウキスゲがありました。


左手に車山湿原が見えてくると木道になり、遠くに赤い絨毯を敷き詰めたような一角が見えてきました。近づくと、シモツケソウのようです。色がひときわ濃くて、アカバナシモツケソウというらしく一面に群生しています。ワレモコウやチダケサシも混じって、とってもきれい。沢渡分岐まで続き、左の沢渡へ進む木道の両側はまだまだ群生が続いているようでした。


アカバナシモツケソウ
【群生するアカバナシモツケソウ】

アカバナシモツケソウとチダケサシ
【チダケサシやワレモコウ 優しい色合い】

短い登りで、蝶々深山の山頂に着きました。
ここには数人いましたが、あとからグループも到着。石の多い広場ですが、周りはハクサンフウロなど咲く草地。私もここで八島湿原や鷲ヶ峰を眺めながら昼食タイムにしました。


蝶々深山
【蝶々深山 山頂】

ゆっくり休んで、お昼のあとは目の前に広がる広い草原の中を歩きます。
最後に登る鷲ヶ峰が正面に見え、山頂はあの中央の小さな高みのようです。
八島湿原や遠くの山々を見ながら、物見岩を目指してそぞろ歩いて行きました。

草原の海
【ひろーい草原の海のなか、鷲ヶ峰を見ながら物見岩へ】


カワラナデシコ

ヨツバヒヨドリ

ヤナギラン

マツムシソウ

ハクサンフウロ

物見岩へ
【左下に八島湿原】

イブキトラノオやクガイソウなど見ながら進むと、左下に広がる八島湿原がだんだん近づいて来ます。

物見岩には、湿原の方から上がってきた人達や休んでいる人がいました。石ごろごろの小さな広場は、展望を楽しみながらちょっと休憩するのにいいところです。湿原の隅には奥霧小屋が小さく見えていました。

八島湿原と鷲ヶ峰
【物見岩から見る八島湿原と鷲ヶ峰】

物見岩からヨツバヒヨドリやシシウド、メタカラコウ、アザミなど咲く草花の斜面をジグザグに下って行きます。コオニユリやシモツケソウが増えてきて、小さな沢を小橋で渡ると、まもなく公衆トイレと廃屋の建つ分岐に出ました。セブラ山へ細い道が伸びています。左へ進むと、まもなく広い砂利道になり色の濃いフウロの花があちこちに咲いていました。アサマフウロという名のようで、濃いピンクはとてもよく目立ちます。


奥霧小屋
【新旧?の奥霧小屋】

やがて奥霧小屋が見えてきました。
周りの景色にそぐわない建物の左には、古い山小屋も見えています。道の脇には「山小舎の灯」の歌詞が石碑に刻まれていました。

小屋の前まで行くと、左へ伸びる沢渡方面への道が車道になっています。湿原はすぐ横なのに、ここまで車を入れてしまうということなのでしょうか。もう使われなくなったような古い木造の山小屋と、新しいモダンな小屋が並んで建っているのが、なんとも切ない思いでした。

まっすぐ進む八島湿原への道は保護のため木道で、足元にはアサマフウロやハクサンフウロがたくさん咲いています。左手には、小さな池の鎌ヶ池が青い空を映していました。

鎌ヶ池
【かわいい鎌ヶ池】

正面には鷲ヶ峰が緩やかに広がっています。中央あたりにチラッと見えているのが山頂のようなので、登山口から半分過ぎればは、後はなだらかなようです。木道脇には、所々花名のプレートが立てられていました。


八島ヶ原湿原の木道
【八島ヶ原湿原の木道    正面に鷲ヶ峰】

鎌ヶ池を回り込み、左へ向きが変わってくると花も多くなってきました。
白いシシウド、黄色のマルバダケブキ、ピンクのアカバナシモツケソウ。
紫のノアザミも咲いて、その向こうには一面緑の八島ヶ原湿原。
その湿原を守るように、おおらかにうねる霧ヶ峰の山々は
時の流れが止まったように、ゆったりしていました。

八島ヶ原湿原
【八島ヶ原湿原と霧ヶ峰の山々】

八島ヶ池
【八島ヶ池】

八島ヶ池は、名前の通り小さな島(?)が幾つか浮かぶ可愛い池。
八島湿原は12000年前は沼だったそうで、ミズゴケなどの植物が腐葉土とならず堆積、泥炭化して、植物が上へ上へと成長してできた高層湿原で、この小さな池は太古の沼の名残りのようです。

参照:八島高原


行き交う人も多くなって来て、八島湿原入り口に着きました。駐車場があるので、車で来て湿原をぐるっと一周して来た人達も多いようでした。傍らのベンチで休憩。帰りのバス停がどこか確認してから、鷲ヶ峰へ向かいました。


八島ヶ原湿原
【八島ヶ原湿原   入り口】

左にある道標から登って行きます。見えているてっぺんは山頂ではないけれど、とりあえずあそこまで行けば、あとはなだらかなはずです。

でも歩き出したら、しんどい。ほんのわずかな登りでしたが、午後の太陽に照らされて、この登りは暑くて汗ふきふき。 今日は”高原のお嬢さん(?)”になった気分でぼっ~としていたので、この登りはちょっとキツかったです。


鷲ヶ峰へ
【鷲ヶ峰へ】

やれやれ、やっと一息。上から振り返ると湖のような八島ヶ原湿原の向こうに、霧ヶ峰の山々が一望。さっき歩いてきた車山から蝶々深山の優しい草原が、丘のようにゆったりおおらかに広がっています。
しかし、すぐ下にある駐車場と車道がなんとも目障り。このビーナスラインがあるのでバスも利用できる訳だけど、どう考えても痛々しい。ビーナスラインはもっと麓の方を走らせるべきだったのではと、今更どうにもならない事を考えてしまいました。


霧ヶ峰高原
【八島ヶ原湿原と大きく広がる霧ヶ峰高原】

奥のピークへ
【鷲ヶ峰山頂は奥のピーク】

この先は緩やかで、ハクサンフウロやノハナショウブ、カワラナデシコ、ウツボグサなどが咲いて楽しい散歩道です。左手には諏訪湖がぼんやり霞んで、鈍い光を放っていました。


鷲ヶ峰の山頂に着きました。
誰もいませんでしたが、立派な道標とベンチがあります。振り返ると霧ヶ峰の奥に、やや霞みながらも蓼科山や八ヶ岳の山々、赤岳や阿弥陀岳が見えています。

北側には美ヶ原が見えていますが、北アルプス方面は雲で霞んで見えませんでした。
景色をゆっくり眺めながら休憩。

鷲ヶ峰
【鷲ヶ峰 山頂】
ヤナギラン
【ヤナギランはこれから】

湿原入り口広場に戻り、バスの時間までちょっと散歩。木道を右へ進むと、5分ほど先からヤナギランがちらほら見えてきました。まだこれからのようですが、ここでもしなやかで優雅な姿を見ることが出来たので、満足して引き返しました。


湿原入り口広場から小さなトンネルでビーナスラインをくぐると、トイレとビジターセンター「あざみ館」があります。この「あざみ館」を回り込むように上がって行くと、バス停があります。八島湿原16:23発のバスは茅野駅行き(17:45着 2050円)ですが白樺湖経由なので長い。途中の霧ヶ峰インター(16:36着)で降り、上諏訪駅行き(16:51発)に乗り換えたほうが安くて早い(上諏訪駅17:25着 計1340円)です。



お盆の霧ヶ峰はやはり混むかなとちょっと心配でしたが、それほどでもなくバスも全員座れました。車山は花の多い山でしたが、まったくの観光地でした。都心から近くてアクセスのいい高原は観光地になりやすく、ちょっと気の毒。霧ヶ峰一帯がこれ以上開発されないことを願うばかりです。


 霧ヶ峰高原の花々



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