天狗岳

てんぐだけ(2646m)


北八ツ随一の展望の山、天狗岳へ夜行日帰りで行ってきました。
帰りは麦草峠へ下りましたが、白駒池周辺も色づいてきれいでした。


2006.9.30(土) 渋ノ湯八方台
分岐
黒百合
ヒュッテ
東天狗岳中山峠中山
展望台
高見石
小屋
白駒池麦草峠
晴れ 07:30着
 07:35発
08:25
08:30
09:30
09:40
10:55
11:40
12:3013:00
13:10
13:55
14:05
14:30
14:40
15:10着
15:15発



眠る時間を少しでも多くするために、今回は八王子ではなく新宿から乗る事にしました。新宿駅23:54発のムーンライト信州号は茅野駅に3:39に到着。改札口のベンチに座って目を閉じ、うつらうつらと時を過ごしました。夜中に途中下車する夜行は一昨年の甲斐駒ヶ岳で懲りたはずだけど、あとでよく考えると前の晩からバタバタと慌しく殆ど水分を摂っていなかったので、あれは睡眠不足というより水分不足による血液ドロドロが原因だったのではないかと思いました。そこで今年は7月の八ヶ岳でも8月の折立でも、まず水分をと意識して飲み順調だったので今朝も6時を過ぎた頃、自動販売機の温かいミルクティーを飲んでから下のバス乗り場へ向かいました。

2番乗り場から出る6:35発の渋ノ湯行きには4,5人が乗り込みました。途中、ポットの白湯とおにぎりで朝食を済ませ、7:30渋ノ湯に到着。バス停から少し戻った所にある駐車場横のトイレに寄ってから出発です。


天狗岳登山口
【天狗岳登山口】

渋ノ湯ホテルの前を川に沿って少し奥まで進むと登山口が見えてきます。

小さな橋を渡ると、もう原生林。すぐに高見石への道を左に分け、右へ樹林の中をジグザグに登って行きます。足元にはしっとりとした苔がいっぱい。

朝の清々しいシラビソの林を登って行くと、途中に2度目の高見石への分岐があり、ここから右へまた急登が続きます。

やがて緩やかになって、尾根に上がりました。八方台分岐の道標があり、小広い平坦地なので休憩にいい所。樹林帯なので展望はないけれど、小岩に腰掛け、しばし休憩です。

八方台分岐
【八方台分岐】

ここからは道も緩やかになって、相変わらず樹林の中を進んで行くとちょっと沢っぽい窪みに出ました。ここが唐沢鉱泉との分岐で、黒百合平へは道標の横から左へ登って行きます。


原生林
【苔むす原生林】

相変わらず深い原生林ですが、更に岩ゴロゴロになり、苔むす大岩の周りを根が這うように絡みながら下に伸びています。網目の鉄板や梯子、丸太などで整備された登りが続き、やがて緩やかになって来ると黒百合ヒュッテも近い。


色づいた木々の間から抜け出て、黒百合ヒュッテに着きました。今までの道は殆ど人に会わなかったけど、ここは賑やか。団体さんが休憩していましたが、やがて中山峠方面へ出発して行きました。私は今回も天狗の奥庭経由で天狗岳へ向かいます。

小屋前の小さな池に架かる橋を渡ると急な登りになります。途中で振り返ると黒百合ヒュッテの周りの色づいた木々や縞枯れ模様の森が見えていました。


黒百合ヒュッテ
【黒百合ヒュッテ】
天狗の奥庭から見る天狗岳
【天狗の奥庭から見る天狗岳】

この上の岩ゴロゴロの高台に上がると、とたんに展望が開けます。ここは天狗の奥庭と呼ばれ、これから目指す東天狗岳と西天狗岳の吊り尾根が正面に見え、天狗の鼻と呼ばれる岩の突起もよく見えます。


そして西側の展望が素晴らしい。
八ヶ岳の上空は晴れていても薄雲が広がっていますが、北アルプスの上空は真っ青!たなびく雲の上から肉眼でもはっきりと分かるほどに前穂、奥穂、涸沢岳、北穂そして大キレットから槍ヶ岳への峰々が浮かび上がっています。燕から雲に隠れた右は鹿島槍あたりでしょうか。

今日の北アルプスは快晴です。

北アルプス
【北アルプスの上空は快晴!】
天狗の奥庭
【振り返り見る天狗の奥庭、遠くは蓼科山】

天狗の奥庭の縁を廻り込むように大岩ゴロゴロを緩やかに登って行きます。

やがて急な登りになり、中山峠からの稜線の道と合流しました。振り返ると、天狗の奥庭の右上に黒百合ヒュッテが小さく見え、向こうに北横岳、蓼科山が見えています。

東側は切れ落ち、稲子岳の切り立った南壁の下には原生林が広がっています。しらびそ小屋が小さく見え、森の中にはうっすら道が伸びています。

この稜線上の道は人気コース。まあまあの晴天に人も多く、登る人下る人で大賑わいです。

稲子岳南壁
【稲子岳南壁と森の中のしらびそ小屋】
天狗岳山頂
【天狗岳山頂】

天狗岳山頂に着きました。
こちらの東天狗岳は狭い岩ピークですが、向こうに見えている西天狗岳は平坦でやや広めの山頂です。往復30分で行けますが、今日はあまり時間もなく西天狗岳は以前行ったことがあるので今回はパス。こちらでゆっくり昼食タイムにします。雲が多いながらも中央アルプスも見えています。

南には硫黄岳の爆裂火口や赤岳から阿弥陀岳の稜線、編笠山が見え、その先遠く雲の中には甲斐駒あたりが見えています。

行き交う人たちで賑やかな山頂を出発。帰りは中山峠へ向けて、稜線上の道を下ります。

赤岳と阿弥陀岳
【硫黄岳の奥に赤岳と阿弥陀岳】
北八ツの森
【色づいた北八ツの森】

天狗の奥庭の分岐を過ぎるとこれから向かう中山方面が大きく広がってきます。ハイマツ、黄葉になったダケカンバ林、岩ゴロゴロ地帯、シラビソ林、黒百合ヒュッテ。その先に縞枯れが見える緩やかな山が中山のようです。

樹林帯の中の中山峠に着きました。ここは十字路。東はみどり池から稲子湯へ、西は黒百合ヒュッテから渋ノ湯へ、そして中山は北へ真っ直ぐです。

中山峠
【中山峠】
ニュウ分岐
【ニュウ分岐】

ダケカンバやシャクナゲの道を進んで行くと縞枯れ現象の立ち枯れが現れ、その先の樹林の中にニュウへの分岐があります。ニュウは静かな岩ピークで伸びやかな北八ツを展望出来るけど、2度行っているので今日はまだ行った事のない中山展望台経由で白駒池へ向かう事にしました。


緩やかな樹林帯を進んで行くと、わずかな登りで「中山山頂」と記された白い標柱が立つ所に出ました。樹林の中のただの通過点といった感じで、山頂という風情ではありません。

その少し先に中山展望台がありました。
岩ゴロゴロ地帯ですが、思いのほか広い。
アルプス方面はもう雲で霞んでいますが、蓼科山や茶臼山がすぐ近くです。後ろを振り向くと、今下りてきた天狗岳も大きく見えていました。しばし眺めて休憩。


中山展望台
【中山展望台】

この先はまた展望のない樹林帯で、しばらくはなだらかですが、やがて急な下りになり、苔むす原生林になってきました。気温が上がりシラビソのいい匂いがしています。緩やかになってくると高見石小屋も近い。


高見石小屋
【高見石小屋】

高見石小屋に着きました。すぐ横の高見石からは眺めがいいので、上がってみます。


大岩の上を渡り歩くように登って行くと展望が開け、シラビソ、コメツガなどの原生林の中にポツポツと紅葉した木が見えました。

下に見える白駒池は、ここから見れば今でも森の中の神秘の湖という風情で、池の縁には赤く紅葉した木が点々と見えています。湖面が青空を映すと素敵だけれど、今日はすぐ傍まで雲が迫ってきていました。

白駒池
【高見石から見る白駒池】

下り始めると下から次々と人が登って来ます。どうやらバスツアーの人達のようで、一旦途切れても更に下から続いて登ってきます。聞けばなんとバス5台でやってきて、時間をずらして登って来ているとの事。昔の神秘の湖は、すっかり観光地になってしまいました。


白駒池
【白駒池】

苔むす樹林の急坂を下り、白駒池に着いた時はツアーの人達はもう皆出発したあとでした。池の周りには一般の観光客もいるけどわりと静かです。

池のボートに腹を立てた若い頃でしたが、今は向こうに青苔荘とやらも増え、あちらにもボート乗り場がある。白駒池には似合わないけど、幸い今は湖面は静か。赤く紅葉した木々が揺らいでいるだけです。


今日はちょっと慌ただしい山行なので、池を一周する時間はありません。しばし眺めて麦草峠へ向かいました。ベンチのある白駒荘の前を通り、林の中の広い道を進んで行くと、駐車場の少し手前に麦草峠への分岐があります。「なんで車道なんか造ってるの!」と、皆でワイワイ怒った昔ですが、今日はその車道を通るバスを利用するので、私も同罪。今は文句も言えません。

左へ原生林の中を進んで行くと、やがて笹原の斜面に飛び出し向こうに茶臼山。上にはすっきりとした青空が広がっていました。下に麦草ヒュッテの赤い屋根が見え、茅野駅行きのバスが待っていました。トイレはバス停から左へ1,2分歩いた先の駐車場横にあります。


麦草峠
【麦草峠と茶臼山】

渋ノ湯からの登りは早朝だったので静かでしたが、天狗岳周辺は相変わらず凄い人気で稜線上は行き交う人々で大賑わいでした。バスのお陰で、夜行日帰りが出来るのはとても助かります。そして朝はやはり、充分に水分を摂ることが重要な事なのだと思いました。



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