三俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳

みつまたれんげだけ(2841m)・わしばだけ(2924m)・すいしょうだけ(2986m)
2006年8月1日(火)~5日(土)



2006.8.3(木) 黒部五郎
小舎
小ピーク黒部
乗越
三俣
蓮華岳
三俣
山荘
鷲羽岳ワリモ北
分岐
水晶
小屋
水晶岳水晶
小屋
快晴
のち晴れ
 05:10発06:05
06:20
06:5507:35
08:10
08:55
09:20
10:30
11:30
12:30
12:40
13:15
13:35
14:10
14:35
15:20




笠ヶ岳
【早朝の笠ヶ岳】

朝食は4:30から並んだ順ということだったので、4時起床。身支度して並び、ぼーっとしながらも食事を済ませ、外に出ると笠ヶ岳方面がうっすら赤くなっていました。

キャンプ場の先まで行って、まずは笠ヶ岳へご挨拶。今日は快晴、反対側の薬師岳方面もくっきり見えています。

小舎の裏に回って樹林帯に入るといきなりの急登。岩ゴロゴロを少し行くと昨日の話の「ゆっくりコース」の案内版がありました。アドバイス通り左へ進むとこちらは普通の土の道で、低木帯なので見晴しもいい。後ろには、きのうガスだった黒部五郎岳のカールが朝日を受け、くっきり浮かんでいました。

黒部五郎岳
【朝日に輝く黒部五郎岳】
コバイケイソウ
【唯一のコバイケイソウ】

今日の展望は期待出来そうで嬉しい。しばらく行くとなんとコバイケイソウが一本だけ咲いていました。
太郎平でも黒部五郎岳でも若い葉ばかりで、皆エネルギー充填期なのに一人だけタイミングがずれている。何やら親近感を覚えながらも、今年初めて見るコバイケイソウに感激。

ゆっくりコース分岐は3ケ所くらいあり、稜線に上がると右手に笠ヶ岳の稜線がくっきりと見えました。この山は、どこから見ても本当に笠ヶ岳で端正です。

笠ヶ岳
【抜戸岳から笠ヶ岳の稜線】

小ピークに上がるとここからは素晴らしい展望が広がっていました。
すっかり明るくなった黒部五郎岳と昨日歩いた太郎平からの稜線。

黒部五郎岳
【黒部五郎岳~太郎兵衛平】

目の前には懐かしい雲ノ平が広がり、祖母(ばあ)岳(アルプス庭園)の横に雲ノ平山荘。
薬師岳から遠くの立山へ続く稜線もくっきり見えて、なんて素晴らしい天気なんでしょう!
今日は祖父(じい)岳の奥の水晶岳まで行く予定で、鷲羽岳もあの登りの道もよく見えます。
黒部源流も真っ直ぐ上まで見え、あまりの素晴らしさにしばし時を忘れ見入っていました。

薬師岳~水晶岳~鷲羽岳
【薬師岳~立山方面~水晶岳~鷲羽岳   手前に雲ノ平】


右へ折れ、ゆるく登って行くと黒部乗越で、この辺りは花も多くヨツバシオガマ、ウサギギク、ハクサンイチゲなどが咲いていました。

振り返りつつ登り、平坦な稜線に出た所が三俣蓮華岳で、山頂にはもう大勢の人が集まっていました。目の前の鷲羽岳も槍ヶ岳も逆光ながらくっきり。今日は本当に素晴らしい天気です。感謝、感謝。

360°の清々しい山の姿に今日はもうここに一日中いてもいいかなという気持ちになりました。


三俣蓮華岳
【三俣蓮華岳】

三俣山荘へ
【三俣山荘へ】

なだらかな山頂を何度もゆっくり周りながら、ずい分時を過ごしましたが、そろそろ次へ向かいます。

三俣山荘へ向かうと正面は槍ヶ岳で、両側は白や黄色の花畑でした。

双六分岐から左へ下って行くと、やがて下には色とりどりのテント。赤い屋根の三俣山荘も見え、正面には鷲羽岳が大きく翼を広げたように聳えています。

鷲羽岳
【鷲羽岳と三俣山荘】
三俣山荘から
【三俣山荘からの眺め】

キャンプ場を抜け、三俣山荘前の広場に出ると槍ヶ岳と北鎌尾根が目の前。

4年前、この山荘でアイスクリームを買ったので、2階の喫茶室へ上がってみましたが今はありませんでした。下のテーブルで槍ヶ岳や大天井岳を見ながらコーヒータイム。


こちら側から鷲羽岳に登るのは2度目。かなりの急登でガレ岩ジグザグなので、次回来る時はワリモ岳の方から登るようにしようと思っていたのに、また登ることになってしまいました。ここは上を見上げるとガックリくるので、ただひたすら黙々と歩を進めるほうがいい。

途中でしばし息を整え立ち止まると、黒部五郎岳には早くも雲が迫ってきていました。下は黒部源流で、祖父(じい)岳に隠れて見えない雲ノ平の日本庭園からの道が下りています。


黒部五郎岳と黒部源流
【黒部五郎岳と黒部源流】

右下に鷲羽池が見えてきました。青い空を映した小さな池と槍ヶ岳の頂き。
左にはギザギザの北鎌尾根や立派な大天井岳、奥に三角の常念岳。
右は双六岳から三俣蓮華岳のなだらかな山並。

鷲羽池と槍ヶ岳
【振り返り見る 鷲羽池 槍ヶ岳~三俣蓮華岳】

鷲羽岳の山頂は360度の展望。
岩ゴツゴツながらもそれほど狭くなく、ここで昼食。
これから向かう水晶岳や野口五郎岳もよく見えていました。

水晶岳~野口五郎岳
【水晶岳~野口五郎岳】

鷲羽岳には花はないけれど、一旦下り登り返すと、とたんに花が多くなりました。ワリモ岳はすぐ下を巻くように進み、山頂標柱の立つ辺りはただの通過点のような感じですが、岩場に多い高山植物が増え、ミヤマシオガマやイワツメクサ、チシマギギョウ、シコタンソウなど咲いています。


ワリモ岳
【ワリモ岳】


タカネツメクサとタカネシオガマ

タカネツメクサとミヤマダイコンソウ

チシマギキョウとタカネシオガマ

色とりどり


雲ノ平と水晶岳に分かれるワリモ北分岐で、しばし休憩。この頃になると雲ノ平方面はもうガスっぽくなってしまいました。水晶岳方面へ進み、ハイマツと岩の道を緩やかに登って行くと、この辺りも花畑です。


野口五郎岳
【野口五郎岳 すぐ下が水晶小屋】

僅かな登りで小ピークに上がると、水晶小屋のすぐ横に出ました。向こう側は雲が多いながらも晴れていて、野口五郎岳の稜線が白く延びています。


すぐ下の水晶小屋に到着。小さな小屋なので混むと大変らしいのですが、今日はそれほどでもないようです。予約が必要かなとHPで調べましたが、今年から10名以上の団体は受け入れないとのこと。個人は予約不要と記されているものの、ちょっと心配しましたが大丈夫でした。入口横の棚にザックを置き、必要な物だけナップザックに入れて、水晶岳へ向かいました。

前半はなだらかな道で花も多い。群落はないけれど、色とりどりの花が思い思いの場所で咲いています。振り返ると鷲羽岳はもう雲に隠れそうになっていました。やがて岩稜帯になり、小ピークの先に山頂が見えて来ました。


鷲羽岳
【鷲羽岳を振り返る】

右の野口五郎岳は白くなだらかな大きな山容なのですぐ分かりますが、烏帽子岳は・・・? 
写真でよく見るのはとんがり山ですが、水晶岳から見るとなるほど烏帽子の形に似ています。
かなり小さな山で、雲に隠れそうなので肉眼でやっと見える程度です。

赤牛岳と野口五郎岳
【左は赤牛岳の稜線     右は野口五郎岳の稜線】

水晶岳
【水晶岳】

水晶岳の狭い山頂には先客が4,5人いて、交代で写真撮影。雲ノ平や薬師岳方面はガスですが、野口五郎岳方面にはまだ青空もあり白い稜線が見えていました。


しばらくいてもガスはだんだん濃くなるだけなので、小屋へ戻ります。短い岩稜帯を過ぎれば、あとはのんびりとした散策道。「四周すべて山」という北アルプスのド真ん中は、雲が多く展望がイマイチで残念でしたが、時々立ち止まり景色を眺めながらゆっくり戻りました。

水晶小屋は一部屋だけの小さな小屋なので、夕食の配膳中、宿泊客は全員外で待ちます。ベンチに腰掛け、山並を眺めながら隣の人達とおしゃべり。夕食はカレー、サラダ、味噌汁といかにも懐かしい山小屋の食事ですが、和気藹々とした雰囲気でした。 夕食後は布団を敷く間、また外で待機。今日は36人とのことで、布団4枚に7人でした。このくらいなら普通です。

日没が近づいてきたのですぐ上の岩に上がってみると、向こうの野口五郎岳も暮色に染まり、今日はすっきりとした夕暮れ。他にも7,8人いて皆静かに沈み行く夕日を眺めていました。


水晶小屋
【暮色に沈む水晶小屋】

私は日没後の風景が好きです。
残照を受けた立山、白馬方面の山々が最後の煌めきを放ったあと、
上空をほんのり染めながら静かに暗くなっていきます。

立山・剱岳~後立山
【雲海の向こうに立山・剱岳~白馬・鹿島槍ヶ岳~針ノ木岳・蓮華岳】

雲海の中に、すっとした姿をみせている槍ヶ岳の上には
アクセサリーのようなオレンジ色の雲がひとつ。
日本画のように美しく、今回一番心に残った夕暮れでした。
やがて誰もいなくなり、上空には月が輝き始めました。

槍ヶ岳
【雲海と槍ヶ岳】



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