太郎兵衛平~黒部五郎岳

くろべごろうだけ(2839m)
2006年8月1日(火)~5日(土)

この夏は、ダイヤモンドコースと言われる太郎兵衛平から黒部五郎岳、三俣蓮華岳と、
鷲羽岳から水晶岳、野口五郎岳、烏帽子岳の裏銀座の一部のルートで、
以前雲ノ平から見て、グルッと歩いてみたいと思っていた稜線を歩くことにしました。


2006.8.1-2 折立三角点五光岩
ベンチ
太郎平
小屋
北ノ俣岳中俣乗越
横ピーク
黒部五郎岳山頂
分岐
カール端
樹林帯へ
黒部五郎
小舎
1日 うす晴れ
2日 晴/ガス
 06:30着
 07:05発
08:35
09:00
10:35
10:55
11:55泊
05:50発
08:00
08:10
09:30
09:40
11:20
11:30
11:40
12:15
13:20
13:25
14:15着



富山行きの夜行バスは電話がなかなか繋がらないので、毎日アルペン号を利用。今回は大型観光バスで、空いていたので隣の座席も使うことができました。有峰口(10000円)で下車すると、辺りは草地で予想していた駅前ではないけれど、先に降りていた単独男性二人が「バスと同料金(2400円)で行ってくれるそうですが、いかがですか」と声を掛けてくれたので、タクシーの相乗りで折立へ向かいました。


折立
【誰もいなくなった折立】

折立には駐車場や立派な休憩舎があり、既に10数人がそれぞれ準備をしています。ここで朝食、トイレなど身支度している間に殆どの人が出発して行きました。

しばらくは樹林帯の登りですが、ダケカンバが目立つようになると、やがて見晴らしのいいベンチに出ました。ここが三角点で、薬師岳方面が見えるけど、晴れていても雲が多く眺めはイマイチです。とりあえずベンチで休憩。

三角点
【三角点】
石畳の道
【振り返っても有峰湖は見えない】

この先は明るく開け、石が敷き詰められた幅広の道で所々にベンチが設置されています。

ニッコウキスゲやキンコウカなど咲き、振り返れば有峰湖が見えそうな景色ですが、全体に靄がかかりボーッとしています。

五光岩ベンチから見る正面の山は気持ちよさそうな草原で、向こうに薬師岳が見えています。
ガスも少し晴れてきたようです。

五光岩ベンチ
【五光岩ベンチから薬師岳方面】
木道
【木道】

ゆったりとした広い尾根になると木道になり、遠くまでずーっと続いています。

やがて太郎平小屋が見えてきて、だんだん花も多くなり、チングルマやイワイチョウ、ウサギギクなどが咲いていました。

太郎平小屋に到着。
まだお昼だけど受付を済ませ、指定された場所へ行くと一人一枚のスペースで、もう寝ている人もいます。とりあえず昼食など持って、外へ出ました。

太郎平小屋
【太郎平小屋】
太郎兵衛平
【太郎兵衛平・右に黒部五郎岳】

小屋の前は広場になっていてベンチもあります。薬師岳や水晶岳から鷲羽岳、黒部五郎岳など見ながら昼食タイム。

午後は近くを散策しようと思っていたけど、何やら雲も多く、太郎山はガスが迫ってきていたので小屋へ戻りました。お隣さんとおしゃべりしたりウトウトしていたら、いつの間にか夕食の時間になっていました。


夕食後、外へ出てみると晴れている。薬師岳方面へは木道が延び、誰もいません。日没にはまだ早いので、ちょっと散策。

ヨツバシオガマやエゾシオガマなど咲き木道は曲がりながらもずっと続いています。コバイケイソウは葉だけで花は咲いていませんでした。

やがて沢の音が聞こえてきて、下の方にキャンプ場が見えてきました。赤、黄、ブルー、グリーンと色とりどりで楽しそう。沢の音に惹かれますが、キャンプ場まで降りると後が大変。引き返します。

薬師岳方面
【雲が流れる薬師岳方面】

太郎兵衛平と太郎山
【太郎兵衛平と太郎山】

広い太郎兵衛平には長い木道がくねくねと延び、小屋の向こうの丘のような山が太郎山のようです。

小屋前の広場に戻るとそろそろ日没。
巨大な生き物のようだった雲が宇宙戦艦ヤマトのように変化して、太陽が沈むときれいな夕焼け空になりました。

明日はすっきり晴れてくれそうです。

夕焼け
【太郎平の夕焼け】


キンコウカ

ミヤマリンドウ

ハクサンイチゲ

コイワカガミ



太郎平小屋
【太郎平小屋を振り返る】

朝、日の出は薬師岳の向こうからです。
今日は快晴、薬師岳もすっきりしています。

5時からの朝食を済ませて出発。薬師沢への分岐を過ぎ、太郎山へ向けゆるやかな登りの途中で振り返ると、朝はきれいだった薬師岳に、もうガスがかかっていました。


太郎山には小さなケルンがありました。この先の道は花も多く、イワイチョウやコイワカガミ、ハクサンイチゲなど咲いています。右手には霞みのような雲海の向こうに白山がうっすら見えていました。

北ノ俣岳へ向けて、なだらかな丘陵のような道を景色を眺めながら進んで行きます。

道標がなければ気付かないような神岡新道の分岐を過ぎて、間もなく北ノ俣岳に着きました。

北ノ俣岳へ
【北ノ俣岳へ】
北ノ俣岳
【北ノ俣岳】

北ノ俣岳の山頂は小広く、やや逆光ながらも雲ノ平や水晶岳、鷲羽岳が見えています。


赤木岳は山頂を通らず、山腹のケルンに「赤木岳」の表示がなければ気付かず過ぎてしまいそうです。ここからも花が多くミヤマダイコンソウやハクサンイチゲ、コイワカガミがいっぱい咲いていました。緩やかに下って中俣乗越の先の小ピークで休憩。
2578地点近くに来ると薬師岳の雲も上がり、読売新道の赤牛岳や水晶岳が正面によく見えます。雲ノ平は上空の雲の陰でちょっと暗い。

薬師岳~鷲羽岳
【薬師岳・奥は赤牛岳~水晶岳~鷲羽岳】

一旦下り、黒部五郎岳へ向けて登りになり振り返ると、今朝から歩いてきた北ノ俣岳や赤木岳の登山道が雲に隠れそうになりながら、うっすら見えていました。

黒部五郎岳直下の登りはかなりの急登で、岩ゴロゴロ斜面をジグザグに登って行きます。

30分ほどで、ようやく山頂分岐に上がりました。ここにザックを置いて山頂へ。


黒部五郎岳へ
【黒部五郎岳への急登】
黒部五郎岳
【黒部五郎岳  山頂】

黒部五郎岳はゴロウ岳の名前の由来通り、岩ゴロゴロ。狭い山頂はすっかりガスに覆われていました。何も見えず、がっかり・・・

でも小さな祠に無事を感謝して手を合わせ、真っ白な景色を見て、しばし休憩。


山頂分岐に戻ればいくらか見通しもよく、カールの中の登山道が見えるので、目で追っていくと奥に黒部五郎小舎が小さく見えていました。

とりあえず昼食。今日のお昼は太郎平小屋のチマキ弁当です。と言ってもチマキ3個と小さな紙パックのウーロン茶だけ。黒部五郎岳からの展望も楽しみの一つだったので拍子抜け。時々ガスでぼんやりするカールの底を見ながら、私も何やらぼんやり寂しいお昼でした。
ふと気づくとチマキが全部なくなっている。
私が食べたんだろうか、どんな味だったっけ。


カール
【ガスが迫るカール 中央少し上に五郎小舎】

さて、気を取り直して、出発。分岐から左へ稜線を辿り7,8分のペンキ丸印がある岩の所から右へカールへの道が下りていました。ジグザグの道を下って行くとハクサンイチゲやミヤマダイコンソウ、ウサギギク、ツガザクラなど咲いていました。

そして左の斜面にはコバイケイソウの葉がいっぱい。でも、まったく、見事に、全然、一本も咲いていません。去年は数年に一度と言われるコバイケイソウの当たり年だったので、今年は全員、成長し直しという感じです。全体的に幼稚園か小学生の集団という雰囲気で、花咲く乙女にはまだ早い。コバイケイソウは一度咲くと数年は咲かないらしいので、しばらくは寂しい年が続くのでしょうか。


小舎マデ二時間
【岩の上に、小舎マデ二時間の表示】

花を撮りながらも山頂分岐から40分ほどした時、ふと見ると、すぐ下の大岩の上に「小舎マデ二時間」と白ペンキで書かれていました。「えっ! 二時間? そんなはずは・・・」とその時は思ったのですが。

大きな岩の羊岩群やそそり立つカールの壁を見上げつつ下って行き、小さな沢を何度も渡り、左に見える雷岩を過ぎ、やがてカール端まで来ました。
小岩の上で振り返り見ながら、しばし休憩。

五郎カール
【五郎カールを振り返る】

この少し先からは、ダケカンバの緑も瑞々しい樹林帯になりました。足元にはツマトリソウ、ショウジョウバカマ、木立の中には赤いベニバナイチゴなどが咲いています。ここまで来れば小舎はすぐだと思っていましたが、まもなく向こうから来た女性に聞いてみると小屋を出てから50分とのこと。思わず「えーっ!そんなにかかったんですか?」と言ってしまいました。その女性は「歩くのが遅い」と言われたように感じたのか「登りの部分が多かったから」と弁明。「いえ、そうではなくて・・・アレコレ」 と謝りつつお礼を言って別れました。が、それからが本当に長かった。上から見た時は樹林帯は少しに見えましたが、歩けばカール地帯と同じくらいかちょっと短いかで、予想以上に長く感じられました。


黒部五郎小舎
【黒部五郎小舎が見えてきた】

樹林帯を抜けると草原になり、木道の先にようやく黒部五郎小舎が見えてきました。


黒部五郎小舎に着き、指定された部屋は布団が敷き詰めたままの大部屋タイプ。初めは2枚に3人ということでしたが、その後増えず結局1人1枚でした。が、ここの布団はかなり湿っぽく閉口。北アルプスの山小屋でこんなに湿っぽい布団は初めてで、腰を下ろすのも躊躇します。周りを見ると皆、毛布をシーツ代わりにしていたので、私も縦半分にしてシーツ兼掛毛布にしました。樹林帯に挟まれた位置に建っているからかも知れません。

外はガスなので、周りの女性と情報交換。三俣蓮華岳から下りて来た人が「明日登る人はゆっくりコースを行った方が歩き易い。直登コースは岩ゴロゴロで歩き難い」と教えてくれました。夕食は第2陣で6時から。テーブルの隣の人は、樹林帯で出会った女性に私と同じ事を聞き、同じように驚いたとのこと。お互い「ほんと、あんなに長いとは思わなかったわね。」と笑い合いました。ゆっくり歩いていたので、「小屋マデ二時間」から1時間20分かかりましたが、早い人なら1時間で行けそうです。でも、樹林帯はやはり長く感じるのではないかと思いました。



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