笠ヶ岳



春から夏、尾瀬の山々には大勢の人たちが訪れるようです。
でもちょっと離れた笠ヶ岳は、静かで花も多いそうなので行ってみました。


2005.7.9(土) 鳩待峠_オヤマ
沢田代
_小笠下_湯の小屋分岐_笠ヶ岳_片藤沼_オヤマ
沢田代
_鳩待峠
曇り 05:30着
 05:50発
07:3008:4009:4510:00
10:50
11:25
11:45
13:20
13:30
14:40着
15:00発



山で出会う花は心を和ませてくれますが、私は大抵 ”まあ、きれい! うれしい” で終わってしまいます。珍しい花はたまに後で名前を調べますが、忘れてしまう事が多いのです。今回はもう少し真面目に覚えようかなと、花が多い至仏山を思いつきました。

今は尾瀬も夜行バスで行けるようになりましたが、上高地のようにあちこちの山に散らばる訳ではないので、目的地は皆、ほぼ同じ。いつも混雑しているようで敬遠していましたが、ミズバショウとニッコウキスゲの間の梅雨のシーズンは比較的空いているのではと、行ってみる事にしました。雨上がりの新宿には、それでも尾瀬行きのバスが5台。尾瀬の人気は、梅雨も関係なさそうです。

戸倉でマイクロバスに乗り換え、着いた鳩待峠は濃いガスの中。今回の目的は花なので、至仏山と同じような花が見られるという隣の笠ケ岳へ行きます。ここなら途中で雨が降ってもラクそうだし、何より人が少なく静かそうなのがいい。
朝食後、準備。今日はスパッツは必須です。至仏山への登山口から、登山者計測中という脇を通り抜け歩き始めます。笠ケ岳往復だけなら時間は十分。今日は花に徹底しようと、見かける花は全てカメラに収めるつもりなので、何人もの人が後ろを通り抜けます。

ブナなどの樹林帯の道はマイヅルソウがいっぱい。ヒロハユキザサ、エンレイソウ、ウラジロナナカマド、コミヤマカタバミなど目立たない花が続きます。やがて木道や階段で1866Pを巻く辺りからダケカンバやシラビソの樹林。霧の中のシラビソは本当にいい匂いがして、まさに森林浴といった感じです。このあたりからは左に笠ヶ岳が見えるのでしょうが、今日は本当に霧が深く何も見えません。自然に目は足下ばかり。

やがて右に尾瀬ケ原が見えるであろうと思われる、岩のある開けた場所に出ました。ガスで何も見えませんが、このあたりからハクサンイチゲ、シナノキンバイ、コバイケイソウなどの高山植物が目立ってきます。イワカガミも随分多くなってきました。足下にはツマトリソウが見え、オオカメノキの隣にはムラサキヤシオツツジが咲いています。

登山口からここまでに、他に咲いていた花は


ズダヤクシュ

クモイイカリソウ

シラネアオイ

サンカヨウ

やがてオヤマ沢に出ました。左からきれいな水がサラサラと流れて来ます。

木道が続き、この先にオヤマ沢田代があり、今日のお目当てのひとつユキワリソウが咲いていました。が、ロープで保護され、ちょっと遠い。今どき売っていない200万画素の私のカメラではかなり厳しいけれど、画素数を最大にし画質をスーパーにしてズームで撮って、後で切り取る事にしました。

オヤマ沢田代
【オヤマ沢田代】

湿った場所に咲いていたのは


ミツバオウレン

イワイチョウ

イワナシ

ユキワリソウ

オヤマ沢田代の少し先に、笠ヶ岳分岐の道標があります。前後の人達は皆、真っ直ぐ進むので、左へ折れてからは私ひとりになりました。木道は全くなくなり、道はとたんに泥濘になります。道はしっかりついていますが、樹林の中の泥濘を右に左に避けながらノロノロ歩きになります。イワカガミの群落の先に、まだショウジョウバカマが咲き残っていて、ゴゼンタチバナも見えてきました。


笠ヶ岳への道
【笠ヶ岳への道】

笹原の開けたような所に出ましたが、相変わらずのガスで前方の景色は全くわかりません。晴れていれば笠ケ岳を遠くに見ながらの気持ちよさそうな道ですが、今日は本当に残念です。

コバイケイソウが多くなり、ハクサンチドリやタテヤマリンドウも見掛けます。ひたすら足下の花の写真を撮りながら進みますが、だんだん花も増えて来て立ち止まる回数も多くなりました。


やがて小さな雪渓を過ぎ、小笠の手前あたりに来ました。右の斜面はチングルマやイワカガミが群生し、ヨツバシオガマ、タテヤマリンドウ、イワイチョウなどが咲いています。この小笠の山腹はお花畑になっていて、小さな花がいっぱい咲いています。

小笠が過ぎ、しばらくして笠ヶ岳の山腹にさしかかると雰囲気も少し変わって、上には露岩が多くなってきました。

笠ヶ岳下
【笠ヶ岳下】
トラバース
【トラバース】

ときおり雲の上から薄日が差すようで少し明るくなり、視界が広けてようやく前方の低く垂れ込めた雲の上に片藤沼が見えるようになって来ました。

このあたりにはハクサンイチゲ、ニッコウキスゲ、クモマニガナ、ベニサラサドウダン、ミネウスユキソウなどが咲いています。


他に咲いていた花は

ウラジロヨウラク

ジョウシュウアズマギク

ヒメシャクナゲ

タカネバラ

岩が多くなり、キバナノコマノツメ、コメツツジ、イワシモツケが見られるようになってきました。下の斜面にハクサンシャクナゲが一株だけ咲いています。

湯の小屋方面への分岐を過ぎると、いよいよ笠ヶ岳への登り。振り返るとガスに隠れそうになりながら片藤沼が見えます。

ここからはホソバツメクサや、至仏山や谷川岳と同じ蛇紋岩地に咲くホソバヒナウスユキソウが多く見られるようになりました。キンロバイも蛇紋岩地や石灰岩地に限定されるそうです。ほかに、ネバリノギラン、ミヤマムラサキ、ミヤマダイモンジソウ、タカネシュロウソウなどがありました。

片藤沼
【山頂近くで片藤沼を振り返る】


笠ヶ岳
【笠ヶ岳】

笠ヶ岳の山頂には三脚持参の単独男性と下山仕度のご夫婦がいて、「これはイブキジャコウソウといってとてもいい匂いがするのよ。」と教えてくれました。

笠ケ岳の山頂は狭く岩ゴツゴツ。7,8人座ればいっぱいといった感じで標識も朽ちたままでした。周囲は相変わらず雲に覆われ展望はありませんが、たまに薄日で明るくなります。すっきり晴れていれば、至仏山と燧ヶ岳が並んで見えるはずなので残念です。

後から来たご夫婦とおしゃべりしながら昼食。
帰りは、下に見えた片藤沼へ寄ります。



ホソバヒナウスユキソウ

キンロバイ

タカネシオガマ

イブキジャコウソウ

さっきの分岐で湯の小屋方面へ進みます。
しばらくはまた泥濘の道ですが、やがて小さな湿地に出ました。

すぐ左が片藤沼です。梅雨の今は水が多く、青空が映ればすてきだろうなあと眺めました。

片藤沼
【片藤沼】
蛍池
【蛍池】

更に進むと、今度は右にワタスゲの湿地が見えて来ました。ここが蛍池。

水が多いはずの今でもこのくらいなので、夏はもっと小さな池になり、夜は月を映して蛍の光のようになるのかな、などと思いながら眺めました。


帰りは来た道を戻ります。朝より少しはガスも取れて周りの景色も見えますが、やはり全体が見渡せる訳ではありません。森の中の霧は雰囲気があっていいものですが、木もない稜線でのガスはやはり残念。

オヤマ沢田代を過ぎると、また深い霧の中です。


鳩待峠には沢山のマイクロバス。初めてだったので、どのバスかちょっと迷ってしまいました。


下山
【樹林帯はまだ霧の中】


今回は雨が降らなかっただけでも感謝でしたが、やはり遠くの山々を見ながら歩きたかった。笠ヶ岳は人も少なく展望もよさそうだったので、また来たい山のひとつになりました。泥濘は多いけれど木道など要らないので、いつまでもこのまま静かな山でいてほしいなと思います。

花の写真は、気合いを入れた割りにはボケているものがけっこうありました。花畑の中で奥まっているものを、遠くから花モード(接写モード)のままズームにしたり、逆にすぐ近くの小さな花に近づけすぎたりと、カメラ技術はメチャメチャでした。その時は画像の中に写っていればいいと思っていましたが、家に帰ってパソコンで見てがっかりしたものも多かったです。いずれにせよ、花の写真は難しい。 ”あら、この景色、すてき” と、ただシャッターを押していた今までのような訳にはいきませんでした。

さて、今回名前を調べた花のうち、いくつ覚えていられるでしょう。せめて ”まあ、きれい。この花、初めて!” なんて事にならないようにしたいと思います。



 笠ヶ岳の花々



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