奥多摩駅7:50発の峰谷行きに乗ります。今年は春もあまり雨が降らなかったような気がしますが、奥多摩湖は水位が低く、峰谷橋を過ぎて小学校前あたりから先は湖底が見え、水がほとんどない状態です。
峰谷のバス停には、新しく水洗トイレが出来ていました。ここで降りたのは10数名でしたが、浅間尾根方面へ歩き出したのは女性の単独3名だけで、他の人達は赤指尾根方面へ行ったようです。ちょっと年輩の女性は足が速く先頭、次は若い女性、最後は中高年の私です。
林道を道なりに進むと右カーブの先に道標があり左の近道へ行きます。この先で車道に出ますが民家を抜け山に入るとまた左に近道があります。その後もう一度車道に出て大きくカーブしながら進み、バス停から約1時間、奥集落の上部「熊に注意」の白い看板のある所が登山口です。 |
【浅間神社 二つ目の鳥居】 |
初めは植林の真直ぐな山腹道ですが、やがてカラマツ林になり、右に鳥居が見えると、ここから浅間尾根の登りになります。
明るい雑木の道を登って行くと二つ目の鳥居、その先に古い社があります。
ここを過ぎてしばらくはまたカラマツ林で、やがて檜林との境道になり、この辺りがこの尾根で一番キツイ登りです。 |
雑木林に出ると気持ちのいい新緑の散歩道。 ブナやミズナラの明るい林の中は小鳥がいっぱい。ハルゼミも鳴いて、カエルのような声も聞こえて大賑わいです。
一時、霧が出て全体が白くなりましたが、しばらくすると日が差して来ました。霧の漂う明るい空間は、ちょっと不思議な雰囲気でいい感じです。
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【霧の漂う明るい浅間尾根】 |
やがて両側にスズタケが見えてくると、緩急交互の道になります。昨日の雨で、ブナの幹の紋様がくっきり浮かび上がってとてもきれいでした。所々、山の中にヤマツツジが見えてきました。 左へトラバースの道になると、水場ももうすぐです。水場からは富士山も見えるのですが、今日は曇り空で見えません。水場の上にはウツギの白い花がきれいに咲いていました。 |
【鷹ノ巣山避難小屋】 |
水場の少し先で鷹ノ巣山避難小屋に着きました。周りのヤマツツジはもう咲き終わりのものもありますが、まだきれいです。
ベンチで休憩。時々、ひとりふたりと通りますが今日は静かです。 |
ここからは左へ進み、日陰名栗峰の巻道へ入ります。しばらくすると山の両側、あちこちにヤマツツジの朱色が目立って来ました。ミツバツツジも随分咲いていたようで、花を落とした木がいっぱいあります。この道は行き交う人も少なく、たまに出会うのは単独行ばかりです。 |
日陰名栗峰を巻き終わるあたりは、尾根の上も下もけっこう咲いていました。 |
【日陰名栗山の巻き道を振り返る】 |
【高丸山の巻き道】 |
次の高丸山の巻道にも咲き終わったミツバツツジや今が盛りのヤマツツジが次々見られます。
ヤマツツジには、ミツバツツジのような華やかさは感じられません。ヤマツツジの朱色は、曇って瑞々しい緑にハッとする色ですが、どこか寂しげな色です。
でも、デジカメの写真ではオレンジが出やすいのか、随分鮮やかに写ってしまいます。
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さて、エアリア地図で花マークのある千本ツツジの巻道にさしかかりました。 すぐ右は防火帯の尾根道。ちょっと寄ってみると、ひととき日が差して新緑のカラマツ林がとても鮮やかできれいでした。 |
【カラマツがきれいな千本ツツジ下の防火帯】 |
ふと足元を見れば、なんとマルバダケブキに混じってワラビがいっぱい! そういえば石尾根の防火帯にはワラビが生えているというのをいつかネットで見たような気がします。若い頃、丹波の天平(でんでいろ)尾根でいっぱい採ったのを思い出しました。ワラビ採りは数十年振りです。既に誰かが採ったようで細くて短いものが多いようですが、よく探せば長いものや太いものもあるので早速私も採り始めました。楽しくて夢中になり探し回っているうち「ツツジ、見に来たんじゃないの?」と思い出しました。「分かってる。もう少し」と自分に言いながら目は下をうろうろ。「あった!あっ!あそこにも」とキリがありません。
そのうち二人連れが来て、袋を取り出し本格的に採り始めました。そのお二人は毎年来られるそうで、「この上、千本ツツジの山頂にかけてもっと太いのがあるよ。」との事。花マークが気になりましたがワラビの誘惑には勝てず、あちこち採りながら尾根を登ってしまいました。ある程度太さと長さのあるものをと選べば、そんなに多くは採れません。
とうとう千本ツツジの山頂まで来てしまいました。本当は下の巻道を通り中央から上がって山頂のツツジの様子を見ようと思っていたのに。でももう手首くらいの束になったのでこれで十分。「千本ツツジ」というのは山頂に花が多いのか、巻道に多いのか様子を見に行ってみます。 |
さてさて、あの花マークの道は、と南面の急坂を下りて巻道と合流しました。でも東を見れば、カラマツ林でうっそうとしていて暗い。あまりツツジがある雰囲気ではありません。西は?と見れば、こちらは明るい雑木林。
千本ツツジの山頂から見ても東より西の方が多そうだったので、もう花マークの道へ戻るのは止めました。 |
【千本ツツジの西の巻き道】 |
西の巻道を進むと、こちらはツツジが多く次々朱色が目に飛び込んで来ます。この道は全体に低木が多いので、開けた感じです。 |
でも距離は短く、この先の防火帯の斜面を横切ると、ツツジはあまり見かけなくなりました。
この先また静かな縦走路を進み、七ツ石小屋への分岐を2度見送って、七ツ石山への短い登りです。 |
【千本ツツジの巻き道を振り返る】 |
【七ツ石山】 |
七ツ石山山頂には、どこかの山岳部と思われる若い人達6,7人がいて、今日一番の団体さんです。挨拶も爽やかで、気持ちのいい子達です。
雲取山方面は雲がかかって霞んでいました。 咲き終わったミツバツツジの木が数本ある、西へちょっと下った岩の上で遅い昼食。すぐ後ろにはサラサドウダンが淡いピンクの可愛い花をいっぱい付けていました。
若い人達も雲取山へ出発して、誰もいなくなった山頂をあとに私も帰る事にします。
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下りの道でも、まだ所々にヤマツツジが咲いていました。水場のある分岐を過ぎ、七ツ石小屋の先の二つ目の分岐を過ぎると、緩やかな下りになります。
ミズナラなど広葉樹林の気持ちのいい道を、大木など見上げながら歩いて行きました。 |
【ミズナラ大木】 |
【堂所】 |
チチブドウダンの真っ赤な小花を所々で見かけるようになって、堂所に着きました。 堂所は樹林の中の小さな広場ですが、ちょっと湿った感じなので少し先の明るい所で休憩しました。 |
ここからは植林と雑木林が交互に現れ、ただひたすら緩やかに下るだけです。途中、廃屋の前や崩壊斜面を通り抜け、小袖乗越の手前で車道に出ます。少し先にある近道の登山道を進めば、まもなく鴨沢バス停で、外水道と鏡付きの立派な水洗トイレがありました。 |
バスが来るまで時間があるので、向かいの駐車場で奥多摩湖を見ながら休憩タイム。 今年は梅雨に入っても曇り空が多く、あまり雨は降りません。水位の低い湖面を見ながら、水不足にならなければいいけどと、ちょっと心配になりました。 |
【水位の低い奥多摩湖】 |
石尾根は何度か歩きましたが、ツツジの頃は初めてでした。千本ツツジは思ったより人が少なかったので、ヤマツツジはあまり人気がないのかも知れません。もう少し早い時期なら、ミツバツツジもずいぶん多く見られたようです。ヤマツツジは、群落より山中にポツポツと朱色が見えるくらいの方が似合うように思いました。
若い頃、母は木灰でアク抜きをしていましたが、今回は灰がなく重曹でアク抜きをしました。シャキシャキしていますが、ワラビの風味がありません。今時、木灰はどうして手に入れたらいいのでしょう。
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