まだ登ったことのないムロクボ尾根は植林が多いのかなと、ネットで調べていたら向山からのルートがある事を知りました。(kanamoriさんの山の写真集) 地図を見れば、破線もありませんが緩やかな尾根のようです。広葉樹が多く気持ち良さそうで、道も最近整備されたとの事なのでここから登ってみる事にしました。
奥多摩駅7:30発の小菅行きのバスは空いていました。5,6人いた登山者は全て単独。一人、また一人と降りて行き、「余沢」で降りた私が最後の乗客でした。山の陰で、朝日がまだ当たらない山里は人影もなく、シーンと静か。あちこちの家の軒下には、すだれのように干し柿が下がり、いかにも初冬の風情です。 |
【オマキ平ハイキングコース入り口】 |
バス通りを少し戻り、右下の車道へ折り返しました。
東部森林公園キャンプ場を左に見て、しばらくすると緩い上り坂になり、やがて右に「オマキ平ハイキングコース入り口」と書かれた白い標柱が見えて来ました。この向かい側、左手に「大多摩ウォーキング・トレイル」の緑の看板が立っていて、ここが入口です。 |
少し行けば、右手に道標が見え、土止め段の登山道が始まります。ここからは植林の急斜面ですが、道は大きく九十九折れに付けられているので、勾配は緩やかです。初めはヒノキやカラマツ、アカマツといった針葉樹の植林ですが、やがて落葉した広葉樹林になりました。 |
登山口から30分ほどで、上へ「展望台経由向山」、右へ「向山」という道標が現れ、きのこの形のあずま屋が見えてきました。すぐ横にトイレもあります。
しばし休憩後、上の展望台方面へ。 |
【きのこの形のあずま屋】 |
【雑木の登り道】 |
向山までの辺り一帯は、小菅村の植物園として整備されていて、木には簡単な説明文入りの名札が掛けられていました。花も葉もない今は、幹の模様を見ながら進みます。
朝日はまだ当たりませんが、ひんやりとした落ち葉がいっぱいの緩やかな道です。 |
やがて東に回り込むようにして短い植林帯を抜けると、朝日が当たるようになり、右上に櫓の展望台が見えて来ました。手前に「向山」の道標があり三頭山へは左を指していますが、すぐ右上の展望台へ寄ってみます。
木製の、なかなか趣のある古い展望台ですが、途中にロープが張られ「立入禁止」の札が下がっていました。すぐ横には案内板もあり、西に行った処にトイレや休憩舎もあるようです。
雑木に囲まれた明るい山頂は、燦々と降りそそぐ太陽が気持ちよく、青い空を眺めながらの休憩にはぴったりの所でした。
|
【櫓展望台のある向山】 |
【明るい雑木の尾根道】 |
すぐ下のさっきの道標まで戻り、三頭山に向けて出発。やや広めの尾根を東に進みます。 はじめは植林と雑木の境ですが、やがて光がいっぱいの明るい雑木道になります。
落ち葉がいっぱい。 カサッ カサッ カサッ・・・ 穏やかな陽だまり道は、本当にいい気持ち。 |
所々に道標もある緩やかな道はしばらく続きましたが、ブナが目立ってくるとやがて右に土止め段が見えてきました。
道もやや急になり、数ヶ所の段々を登り切った所で鶴峠からの道と合流しました。 |
【ブナ林の中の土止め段】 |
【鶴峠分岐】 |
この鶴峠分岐あたりからは、振り返ると冬枯れの木々の間から飛竜山~雲取山~鷹ノ巣山などの石尾根が見えます。下には、朝 バスで渡って来た深山橋も小さく見えていました。
ここからの道は、また緩やかです。 |
すぐに小焼山を巻くように左へ道が続きますが、小焼山は小さなピークなのでちょっと寄ってみようかな、と右手に上がってみました。 若い植林との境道ですが、かなりヤブっぽそうなので諦めて、ふと見れば後ろの稜線上に見晴らしの良さそうな所があります。
二人座ればいっぱいという程の狭い石の上ですが、ここからは南西面が大きく開け左端の神楽入ノ峰や大沢山から右端の富士山や三ッ峠まで広く見渡せます。下には小さな山里も見えていて今日一番の展望が開けたところでした。
|
【小焼山手前から見える富士山】 |
【左は北面巻き道、直進が三頭山への道】 |
小焼山を巻いてからやや登り坂になり、やがて三頭山北西を大きく巻いて入小沢ノ峰へ向かう道との分岐です。
左の巻き道もブナ林の散策路といった風情でよさそうな道ですが、ここはまっすぐ三頭山方面へ向かいました。 |
登りきったピークが神楽入ノ峰のようですが、ここは木立の中で、更に平坦道を少し進んだ先の小ピークの方が見晴らしはいいようでした。一旦下って、登り返した狭い岩のピークで三頭山から下りてきた人に出会いました。今日初めて出会う登山者です。 |
三頭山 山頂に着きました。 団体さんの多い山ですが、今日はわりと空いているようです。北側には雲取山から六ッ石山の石尾根、その奥には蕎麦粒山や三ツドッケがすっきり見えています。
霞みがちな富士山を眺めながら、ひたなぼっこのような昼食タイムが終わり、さて出発。 帰りは、ムロクボ尾根を下ります。 |
【三頭山】 |
【入小沢ノ峰】 |
入小沢ノ峰までは午後の光が差し込むブナ林の緩やかな下りです。この辺りも気持ちのいい落ち葉道で時々登って来る人達と出会いました。
木立に囲まれた入小沢ノ峰には、あの手彫りの山名札が掛かっていました。これを見ると、なぜかほっとします。
以前は奥多摩のあちこちの小ピークで見たのですが、最近は余り見かけなくなりました。前あった所にも、なくなっている事が多いのです。久し振りに見て、嬉しくなりました。
|
さて、ここからは急坂「オツネの泣き坂」です。転げ落ちそうな、滑りやすい急坂を木につかまりながら慎重下ります。下りきって少し先に左へ巻き道がありましたが、今は通行禁止のロープがかかっています。 |
アセビの小ピークを過ぎて、ヌカザス山頂の少し手前、ムロクボ尾根の分岐に出ました。 ここから左へ折れますが、かなりの急坂です。でも、階段になっていたので随分楽でした。
急坂を下りきった所に錆びた古い鉄板の道標があり、うっすらと「ツネ泣峠」と書かれていました。 |
【ヌカザス山】 |
【木々の向こうに深山橋】 |
ここを過ぎると、あとは緩急交互の雑木道になります。所々ある植林は東側なので、下りはずっと西日の当たる明るい落ち葉の道です。
やがて左下に奥多摩湖のしっぽの部分が見え、正面には向かいの大寺山の白い仏舎利塔が見えてきました。
更に下って、右に深山橋が見えてくると、まもなく車道に出ます。三頭橋を渡って、右に行けばバス停でした。
|
向山から三頭山のコースは広葉樹が多く、静かでとてもいいコースでした。道標もあり、迷うようなところもありません。新緑や紅葉の頃にも来てみたいなと思い、好きな道がまた増えて感謝の山行でした。 |