焼岳~西穂高岳


2003.10.11-12  中の湯ー焼岳ー展望台ー西穂山荘ー西穂高岳ー上高地



焼岳は展望のよさそうな位置にありますが、なんとなく余り登る気に
なれませんでした。でも登ってみれば予想以上の素晴らしさ。
笠ヶ岳、穂高岳、霞沢岳が麓から見え、雄大な景色に圧倒されました。


10月連休の混雑はある程度覚悟していましたが、さわやか信州号の上高地行きは、なんと14台!
30数年前、体育の日が制定されて間もない頃は日曜と合わせて貴重な連休。新島々でバスに乗るのに5時間待ちだったのを思い出します。10月の上高地の人気は昔と少しも変わっていませんでした。

6:10 中の湯で下車。降りたのは私一人でしたが、登山口には先客が4,5人います。朝日がうすく差し込んでいる広葉樹林をジグザグに登り、やがて道が平坦になったかなと思った所には、「第一ベンチ」の道標がぽつんと立っていました。辺りはブナ林で、しばらくはまた急登です。

所々に紅葉が見え、道が緩やかになって、りんどう平に着きました。

正面には焼岳が見え、右手には木々の間から穂高岳や霞沢岳が見えています。黄葉したダケカンバを多く見かけるようになって来ました。


りんどう平
【りんどう平】

焼岳山腹には赤いナナカマドが点々と広がって紅葉がきれいです。

焼岳の紅葉
【焼岳山腹の紅葉】

分岐
【中の湯分岐】

しばらくすると中の湯の分岐に出ました。左が今来たバス停からの道、右は中の湯温泉からの道です。
この辺りはナナカマドのトンネルが続いていました。

笹原とダケカンバとナナカマド。
明神岳と六百山の間に蝶ヶ岳も見えています。

蝶ヶ岳
【蝶ヶ岳方面】

右手の霞沢岳も、どっしりと大きく見えて来ました。
目立たない山ですが、この山頂からは岳沢が正面で穂高岳の眺めも素晴らしい山です。

霞沢岳
【霞沢岳】

振り返ると緑の笹原に赤や黄色の紅葉が花束のよう。
うす曇りでもこんなにきれいなら、晴れた日にはどんなにきれいに輝くことでしょう。
焼岳の紅葉はそれほど期待していなかったので、ほんとうにうれしい!

焼岳中腹
【焼岳中腹 緑の笹と紅葉がきれい】

焼岳山頂に近づくと岩ばかりになり、風が強くなって来ました。火口が見下ろせる場所ではすさまじい風。半袖では寒くなって来たので長袖を出しましたが、真横にたなびいて飛ばされそう。南峰は立入禁止で北峰の登り口へ回り込んで、上がった所は更に砂混じりの強風で目を開けていられません。

梓川沿いに風が突進して来て、焼岳にぶつかってる感じです。でも今まで見えなかった笠ヶ岳や穂高岳の全貌が目の前にドーンと大きく広がって感動。ここにザックを置いてすぐ上の山頂に向かいますが、軽くなって私も飛ばされそうです。硫黄のにおいの煙のすぐ横を通ります。



10:35 焼岳山頂に出ました 。 素晴らしいながめです!!
左に笠ヶ岳から抜戸岳への稜線と穴毛谷の沢。
奥に西鎌尾根から槍ヶ岳、そして穂高の山々と岳沢。

笠ヶ岳、槍ヶ岳、穂高岳
【笠ヶ岳~槍ヶ岳~穂高岳】

目の前には、梓川をはさんで穂高岳と霞沢岳。
去年登った霞沢岳からとはまた違ったスケールで広がっています。
山の麓から見えるので、本当に雄大なんですが・・・
写真では、とてもこの素晴らしさをお伝え出来なくて残念です。
今日泊まる予定の西穂山荘の赤い屋根も見えています。 遠いなー 

穂高岳と霞沢岳
【穂高岳と霞沢岳】

後ろを見れば、火口も舞い上がる砂で白くぼかしが入ったように見えます。
さきほど登ってきた火口近くの稜線が左下に見えていました。

焼岳火口
【焼岳 火口】

登って来る人もどんどん増えて来ました。砂ぼこりで目も痛いので、心残りですが下りる事にします。

まだ続々と登ってきます。


焼岳
【焼岳 山頂直下】
焼岳展望台と西穂高方面
【焼岳展望台と西穂高方面】

急なザレ下りもようやく終わり、やれやれ。

正面の焼岳展望台の下の分岐に、大きな岩の塊があるのがわかるでしょうか。あの岩陰で数グループが食事をしていました。皆さん強風を避けてヘンな所で昼食ですが、私もそこでお昼にしました。


昼食後、展望台を越え焼岳小屋に着きました。窪みにひっそりと建っています。ここまでは人もいましたが、ここから西穂方面に向かうと誰もいなくなりました。静かな原生林の道がずっと続いています。

所々片側が開けて、右側は霞沢岳が真横に見え、下には梓川が緩やかに流れています。


梓川
【梓川】
西穂山荘が見える
【西穂山荘が見える】

左側には笠ヶ岳が見え、緩いアップダウンを繰り返し、槍見台と思われる所に出ました。ここからは遠くに見えていた西穂山荘も随分近づいて見えました。

下ってゆるやかに登り返し、ひっそりと佇むような”きぬがさの池”を過ぎて、少しの急登で上高地からの道と合流しました。山荘はもうすぐです。


3:45 ようやく西穂山荘に着きました。
受付に「今夜は布団一枚に二人」との案内札、連休ですがここは涸沢ほどには混みません。

ストーブで全体が暖かく、廊下にはザック用の棚もあり、どこもきれいにしている小屋でした。朝食は3交代ですが、こちらの都合のいい時間を選べるので助かります。

部屋は女性16人で、西穂に登った人の話では、風はそれ程強くなかったとの事。やはり焼岳は風の通り道だったのでしょうか。

西穂山荘
【西穂山荘】

夕焼け
【夕焼け】

今日はうす曇りでしたが、夕食前はきれいな夕焼けになりました。
明日の予報は曇り時々雨。でも周りの人達も少し期待をしながら、このきれいな夕焼けをずーっと眺めていました。




朝・・・霧雨です。がっかり。
今日は西穂高岳山頂まで行く予定ですが、雨だと岩場は滑りやすい。どうしようかな。とりあえずお湯を沸かしポットに入れて、独標まで行ってみて考える事にします。

霧も濃く何も見えませんが、丸山を過ぎ独標近くまで来て雨も止みました。岩場もそれほど滑らず、順調に独標まで行けました。4,5人いた人達は皆、西穂高岳へ向かいます。心強くなって私も行くことにしました。
独標からちょっと急降下しますが、ピラミッドピークから先も足場はしっかりしているので、気をつければ特に危険な所はありません。途中ピークが13あると、ガイドブックには書いてありましたが、慎重に集中して歩いていたので、そんなにあるようには思えませんでした。最近は、忘れ易くなったせいもありますけど。

9:15 西穂高岳山頂に着きました。
何も見えませんが前回、独標まで来た時は快晴だったので、周りの景色はおおよそ予想がつきます。
でも、やっぱり間ノ岳やジャンダルムを間近に見たかったなあ。私には縁のないルートなので・・・

熱いココアを飲みつつ、見えない霧の中を見つめながら休憩。


西穂高岳 山頂
【西穂高岳 山頂】
西穂高岳 岩場
【岩場】

こんな天気でも、次々登って来て山頂や独標めざして行き来します。
狭い独標は写真を撮るのも大変そう。


丸山を過ぎ、にぎやかな山荘に戻りました。雨はすっかり上がったけれど相変わらず展望はなく、テーブルで向かいのご夫婦とおしゃべりしながら昼食。コーヒーを飲んで、そろそろ山を下りなくてはいけません。

上高地へ下りる道もずっとシラビソなどの針葉樹林の中なので、あまり紅葉はありません。

西穂高岳へ行く人の90%以上はロープウエイを利用するようで、この道はとても静か。途中、単独行二人に出会っただけでした。


上高地へ
【原生林を上高地へ】


中尾根の半分を過ぎた辺りから、3年前とは違う道になっていました。以前は沢沿いに出て、水場や小さな沢を渡ったりしましたが、新しい道はずっと尾根上を歩きます。下に案内板があり、従来の道は崩壊箇所があって通行止めになったとの事でした。

田代橋に出ると、ここはもう観光地。向こうの六百山の山腹には所々赤い紅葉もありますが、曇り空ではやはり全体が沈んだ感じです。穂高の稜線はまだ雲の中でした。
3:30バスの集合時間で、ターミナルは人がいっぱい。4:00発でしたが、連休の道路は渋滞続きで新宿には11:00着でした。やれやれ、みなさんお疲れ様でした。


「連休は晴天」という予報が直前になって変わり残念でしたが、焼岳からの展望は本当にすばらしかったのでまたいつか来たいと思います。



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