硫黄岳・横岳・赤岳・阿弥陀岳


2003.9.13-14  赤岳鉱泉ー硫黄岳ー横岳ー赤岳ー阿弥陀岳ー御小屋尾根



八ヶ岳の主峰、赤岳を中心に素晴らしい展望と岩稜歩きを楽しみたいと出かけました。
後半の選択肢が多くなるよう、硫黄岳から赤岳へ南下する事にします。


10:20 茅野駅では定期便発車間際になって、増発の直行便を出すとの案内。座れなかった私は乗り換えたので、定期便より早く美濃戸口へ着く事が出来ました。バス停にある八ヶ岳山荘には食堂もあるので、ちょっと早めの昼食にします。

11:30 出発。左のカラマツ林へ入り、緩やかな林道を進んで行きます。奥にも駐車場があるので、車もけっこう通りました。50分程でやまのこ村という山荘に着き、ちょっと休憩。この先の美濃戸山荘の先から北沢と南沢に分かれ、赤岳鉱泉へは左の北沢コースを進みます。


北沢
【北沢沿い】

堰提広場を過ぎてようやく山道になりました。
ほっとして、沢の音を聞きながら休憩。
このあとは沢沿いに何ヶ所か木橋を渡りながらのんびり進みます。


2:30 赤岳鉱泉に着きました。
「お風呂はすぐ入れます。」との事なので、すぐ入りました。せっけんもシャンプーも使えないけれど、山でお風呂なんて感謝。まだ早いので空いています。さっぱりして小屋の周りをうろうろし、ベンチで中山展望台まで往復して来た方とおしゃべり。この小屋と行者小屋の両方が見えたそうで、「むこうは大勢だったので今日は大混雑でしょう。」とのお話。こちらは一人一枚の布団でゆっくりです。

涼しくなってきたので湯冷めしないよう小屋へ入ったら、間もなく雨が降ってきました。過ぎた台風の影響で、雨も風もけっこう強い。


赤岳鉱泉
【赤岳鉱泉】



朝。 霧は出ているけれど、今日は晴れの予報。上に着く頃は青空でしょうか。
5:40 出発。まだうす暗い原生林を登ります。ジョウゴ沢を渡ってしばらくするとジグザグの急登になりました。霧の中、小鳥も静かなのでただ黙々と歩くだけですが、シラビソの匂いが清々しい。昨日の雨でしっとりした森の朝は苔もシダ類もみずみずしく生気がみなぎっています。

森林限界を過ぎ、赤岩ノ頭に着きました。ここは広いのですが、真っ白で何も見えません。相変わらずガスで次第に小雨模様になり寒くなってきました。悲しくなりながら雨具を着つつ休憩、さらに上の硫黄岳へ向かいます。


硫黄岳
【霧の硫黄岳】

7:50 硫黄岳山頂に着きました。
所々青空が見えてきたのでうれしい!

北の本沢温泉から見る硫黄岳は迫力があって山頂はどんなかなという感じですが、実際の山頂は穏やかな石の広場で、ガスで迷わないようケルンが何個か並んでいます。

少し下った所にある硫黄岳山荘を過ぎると、だんだん晴れて来ました。


台座ノ頭の手前に出ました。
コマクサの群生がありそうな斜面の右手には大同心が見えます。
コマクサの斜面
【台座ノ頭の手前の斜面と大同心】

すっかり青空になり、気分も明るくなって台座ノ頭の先に着きました。目の前の横岳や、遠く雲の上の富士山を見ながら雨具を片付け休憩です。真っ白だった硫黄岳もガスがすっかり晴れて、きれいに見えています。ここからはやせた岩稜に変わり、鎖場の多い横岳になります。

9:10 横岳山頂に着きました。
山頂は西側が切れ落ち赤岳や阿弥陀岳が目の前。気分がいいのでここでも休憩。
遠く南アルプスや中央アルプスは、雲の切れ間にうっすら見えるだけです。


横岳山頂
【横岳山頂】
岩場
【横岳最後の岩場】

三叉峰を過ぎ、急なスラブ岩を気をつけながら下りて、岩肌をトラバースすれば横岳は終わりです。

横岳は所々切れ落ちている所もありますが、はしごや鎖でよく整備されているので気をつけて歩けば変化があって楽しいところでした。


次の赤岳への稜線が目の前、赤岳天望荘や赤岳頂上小屋が小さく見えています。
これから向かう予定の阿弥陀岳も、わずかな雲がかかっているだけ。
右下の森の中には行者小屋や赤岳鉱泉の赤い屋根が見えています。
狭い地蔵仏の前を過ぎ天望荘を過ぎると、赤岳への直登で急な登りになります。

赤岳~阿弥陀岳
【赤岳~阿弥陀岳】

10:50 赤岳山頂に着きました。
西風が強いので東側の清里方面をながめながら昼食にしましたが、ともかく晴れてよかった。感謝。

さて、このあと どうしようかな。
天気・・・よし、
時間・・・よし、
体調・・・よし、
予定通り阿弥陀岳まで行って、御小屋尾根を下りることにします。


赤岳
【赤岳神社】

阿弥陀岳へ
【阿弥陀岳へ】

赤岳の岩肌をトラバースして、文三郎尾根の分岐に出ました。目の前の中岳から阿弥陀岳への道がまっすぐ続いています。

阿弥陀岳はかなりの急登で、直下は手も使いながら登って行きました。


1:00 阿弥陀岳に着きました。
振り返り見ると、今日歩いてきた硫黄岳から赤岳の稜線が大きく広がっています。
北から見ると急峻な赤岳も、西から見るとどっしりしていて、
八ヶ岳は南北から見るのと東西から見るのではずいぶん違った印象です。

硫黄岳 ~横岳~赤岳
【阿弥陀岳から見た硫黄岳 ~横岳~赤岳】

阿弥陀岳山頂は団体さんもいてにぎやかでした。なんとなく落ち着かないので、少しだけ休憩して西の御小屋尾根を下ります。殆どの人は来た道を戻って行者小屋方面に下りるので、とたんに人がいなくなりました。シャクナゲもあるハイマツ帯を少し下りると、大きな岩に行き当たりました。左に巻き道もありますが、登れそうなのでちょっと上がってみました。てっぺんは離れ小島みたいで、ちょっと楽しい気分です。

大変だったのは、この岩を下りてからでした。ハイマツ帯のかなりの急斜面に大きな爪で一本線をまっすぐ下へ引っ掻いて作ったような道です。気をつけていても時々ザラザラ小石が落ちて、足元がとても不安定。両側のハイマツにつかまりながら、神経も使います。雪の頃に直滑降で下りたら、そのままあの御小屋山の先まで飛んで行きそうな急斜面です。


御小屋尾根
【緩やかになった御小屋尾根】

30分くらいして、やっと緩やかになりました。
右前方の森の中に、美濃戸山荘など三軒の小屋が小さく見えていました。
少し先からは平坦な樹林帯の道のようです。

2296地点あたりからは原生林になり、シャクナゲの木もよく見かけるようになりました。
不動清水の道標を過ぎて振り返ると、木々の間から権現岳が顔を出して見送ってくれているようです。

権現岳
【権現岳が見える】
御小屋尾根
【苔の御小屋尾根】
平坦な原生林の中、ほぼ真っ直ぐな一本道がずっと続きます。変化がなく、西陽の差す林の中は小鳥も昼寝中なのか、なんとなく気だるい感じです。

苔むしたシラビソ林でちょっと北八ッ風ですが雰囲気が違う。ここはきっと、朝のほうがいい印象なのではないかと思いました。

2:50 御小屋山は樹林の中にぽつんと道標が立っているだけのところでした。休憩する雰囲気ではないので、右の美濃戸口方面へ進みます。しばらくして左側が開けた草地に出ました。ワレモコウやマツムシソウが咲いていて、明るいのでここで休憩する事にしました。
この辺りから先は熊笹、カラマツなどの針葉樹林帯で、ひたすら下りるだけです。樹林を抜け別荘地の道を右に左に曲がりながら進み、昨日の美濃戸口バス停に着きました。茅野駅行きの最終は4:36です。無事と晴天を感謝しつつ、八ヶ岳山荘でアイスクリームを食べながらバスを待ちました。


八ッ岳は小屋が多いので、人がたくさん来そうな連休でも安心して行けます。御小屋尾根からは単独行の男性が二人登って来ただけで、誰にも会わず静かな山歩きが楽しめました。今度はいつか、赤岳から更に南下してみたいと思います。



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