蓮華岳


2003.8.16-17  扇沢ー針ノ木峠ー蓮華岳ー針ノ木小屋ー扇沢



蓮華岳から針ノ木岳、爺ヶ岳までひと回りの予定で出かけたのですが・・・
晴天の続かない今年の夏、濃霧と雨で蓮華岳ピストンという結果になりました。


新宿からの夜行バスで扇沢には、5時過ぎに着きました。ここで降りたのは20人いたでしょうか、閑散とした感じの扇沢です。東京は雨でしたが、こちらでは天気のいい朝を迎えました。このまま、明日までなんとか降らずにいてくれる事を願って5:20出発。


大沢小屋
【大沢小屋】

左の登山道から入り途中3回くらい車道を横断して、針ノ木自然遊歩道に進みます。しばらくの登りのあと、左に針ノ木雪渓が見えて来ました。ブナ林も少しある平坦な道が続き、沢を2回程過ぎると、大沢小屋に着きました。

ヒゲのおやじさんがお馴染みらしい登山客と朝食の用意をしています。私もテーブルの隅をお借りして朝ごはん。


大沢小屋からダケカンバの灌木帯を過ぎ、岩のある所で雪渓に出ました。
空も真っ青になってきました。 うれしい! 
7:50 日焼け止め塗って、軽アイゼンを着けて、ストック持って、さあ出発。

針ノ木雪渓
【針ノ木雪渓】

普通の夏なら人も多いはずの土曜日の雪渓も、今日は殆どいません。雨続きでトレースもはっきりしてない所があるので、周りをよく見ながら進みます。

前方は青空でうれしいと思ったけど、後ろを振り返るとガスが上がって来ています。
涼しくなるので、まあ いいか・・・


雪渓
【誰もいない雪渓】

霧迫る雪渓
【霧迫る雪渓】


傾斜がきつくなり、ノドと呼ばれるのはこの辺かなと思ってまもなく雪渓も終わり、右岸に出ました。ここでアイゼンを外し休憩します。この頃にはすっかりガスに埋もれ、振り返れば下の方は真っ白。脇の花を見ながらひたすら登ります。

「最後の水場」を過ぎ、左岸に移るといやーなザレの急斜面。ジグザグになってはいますが、ターンの度に休みます。



10:30 やっとやっと上に出ました!突然の青空と素晴らしい眺めです。

蓮華岳方面はすっきり青空ですが、針ノ木岳にはガスがかかっています。槍方面も雲の中ですが、薬師方面が少し見えます。

でも、急な日差しが強烈。サングラスを忘れたので、眩しくて目が痛い。疲れと暑さと眩しさで、だいぶバテてるなーと感じ、しばらく針ノ木小屋のベンチでぼーーーっとしていました。


針ノ木小屋の前
【針ノ木小屋の前】


ずいぶん休んで、お昼には早いけど”とりあえず食べるものは食べてしまおう”と周りの人とおしゃべりしながら昼食にしました。山は昨日の夕方から晴れて、早朝は展望も良く槍も剣も見えたようです。でも今年は雨が多く、全体に入山者が少ないので、どの小屋も経営者は大変だろうという話になりました。本当に山小屋も海の家も農家も大変です。
強い日差しの下はじっと座っていてもバテるのか、眠くなってきました。小屋へ入って1時間くらい、お昼寝しようかな。

針ノ木小屋
【奥には雲がかかっている針ノ木岳】

1時に目覚め、さて蓮華岳でも行ってみるかと、出発。相変わらず日差しは強烈ですが、歩き出すと元気になりました。振り返ると左右のガスの違いがよくわかります。

今、ガスの中、雪渓を登っている人もいるんだろうなあ・・・「もうすぐ青空ですよ。がんばって下さい」


小屋から蓮華岳の方を見上げた時、奥に見えていたのは2754地点。ここからずーっとのびやかな道が続き、その先に蓮華岳の頂上が見えました。

周りの高山植物は、なんとなく控えめな感じでかわいらしい。左手に見えるはずの鹿島槍はガスで見えないけれど、平坦な道を花を見ながらのんびり歩きます。

蓮華岳への道
【蓮華岳への道】

コマクサ
【コマクサ】

道のすぐ脇に咲いていたこのコマクサが一番きれいだったようで、他は少し時期を過ぎていました。

蓮華岳のコマクサは燕岳のように植生保護されていないので、豪華絢爛さはないけど、最盛期はきっときれいな事でしょう。

ウスユキソウかと思っていたのは、調べたら”タカネヤハズハハコ”という舌を噛みそうな名前でした。
チングルマの穂や、ナントカリンドウが取り巻いて、ちょっと盆栽風。

ここは岩礫の所々に、苔(?)に囲まれ数種の花が寄り添って咲いているものが多いようです。ウサギギクやツメクサなどもあちこち咲いていました。

タカネヤハズハハコ
【タカネヤハズハハコ】
蓮華岳山頂
【誰もいない蓮華岳山頂】

2:05 蓮華岳山頂に着きました。
今日 針ノ木小屋に泊まる人の殆どは針ノ木岳へ登ったようで、蓮華岳には誰もいません。

この右下は蓮華の大下り。本当に、かなり急そうです。大町市方面は雲海におおわれ、下界はやっぱり曇りのようです。

しばらく白く輝く雲海を眺めながら休憩していましたが、雲も随分多くなって来たのでそろそろ戻ります。針ノ木岳も、もうすぐ雲の中に隠れそうです。明日はやっぱり雨かなー・・・

時々登ってくる人とすれ違いながら下り、小屋に着いた時は周りは真っ白、ガスの中。10メートル先も見えませんでした。

針ノ木岳
【雲におおわれる針ノ木岳】

今日の小屋は空いていて一畳に一人。小屋に着いた時、スタッフが屋根の上で干していたので布団も気持ちいい。食事は、山小屋には珍しくカレイの煮つけや煮物といった和風でとても美味しく頂きました。でも小屋内にトイレがなく、外のテント近くでちょっと不便。3ヶ所しかないので混雑する日や雨の日は困りそうです。

食後は、部屋の10人みんなで情報交換です。皆さん針ノ木岳に登った人ばかりで、展望はなかったけれど、黒部湖がチラッと見えたそうです。山頂手前10メートルくらい右手にウスユキソウの群落があったらしく、気づいた人と知らずに通り過ぎた人がいて、明日行く予定の私に詳しく教えてくれました。

・・・・・・・・・翌朝・・・・・・・・・・・・

濃霧と雨。 やっぱり天気予報は当たってしまいました。ガックリ・・・
予定の針ノ木岳から爺ヶ岳は展望コース。この天気では何も見えないので、次回のお楽しみにとっておいて、下山することにします。

今年の夏期休暇は残念でしたが、静かな蓮華岳で高山の空気に触れただけでもいい思い出になりました。針ノ木雪渓は本当にキツイので、もう登りたくありません。次回は下りに利用しようと思います。



前回の御坂黒岳   HOME   山域別   次回の赤岳・阿弥陀岳