いよいよ今年もあと数日。子供達が帰って来るのは2日なので、新年はまたどこかの山小屋で迎えようかなと思っていました。そこへ木の葉さんから檜洞丸の青ヶ岳山荘の運営方針が変わったとの知らせをいただき、今年は檜洞丸で新年を迎えようと思いました。
以前の青ヶ岳山荘もとてもいい小屋で、挽きたてコーヒーの香りが好きで立ち寄り、ゆったり味わったこともあります。5年前(もうそんなになる?)に泊まった時、小屋番さんも常連さんも和気藹々として温かみのある小屋でしたが、お酒好きな方が多いので消灯時間がなく、夜も朝も遅い。春秋の頃の縦走予定だと、ちょっと大変かなと思っていたので、新しい雰囲気はどんなかなと楽しみに予約しました。
西丹沢行きのバスは年末年始は休日ダイヤと違うらしい。木の葉さんが教えて下さったので、早速電話で問い合わせました。
「西丹沢行き」 ・・・午前は 8:25 10:35 11:35 「新松田駅行き」・・・9:50 12:00 14:00 15:40(以降は聞かなかったがありそう)
新松田駅8:20のバスに乗車。登山者は10人いたでしょうか、大晦日なので空いています。箒沢公園橋で下車。もう一人降りた単独男性はさっと歩き出したので、すぐ誰もいなくなりました。 |
キャンプ場を過ぎ、植林を回り込んで沢を渡り、堰堤を越えて、しばらく沢沿いに進めば、尾根取り付きです。ここから1時間は急登続き。
休み休み登って、振り返れば木々の間から富士山が見えてきました。大室山は山頂付近が霧氷に覆われているようで白く輝いています。 |
【板小屋沢ノ頭への急登】 |
【板小屋沢ノ頭】 |
昭文社地図では「板小屋沢の頭」ピークを通っていますが、道標はピークより少し南側にあります。
以前はスズタケに覆われていて、道標のある地点はただの下降点といった雰囲気でしたが、今回はびっくりするほどスズタケが枯れて、まるで別の場所のようでした。 |
板小屋沢ノ頭は、檜洞丸から下って来る場合でもピークを通りませんが、地図通り稜線伝いに歩いて道迷い遭難が連続したようで、ピーク東側には新しく「ここは登山道ではありません」の注意札が掛かり、通せんぼされていました。
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板小屋沢ノ頭を過ぎると、細かな急坂のアップダウンで、右手に富士山を眺めながら進んで行きます。 |
【富士山】 |
この先は露岩が多く、ヤブ沢ノ頭前後にはアイスバーンになっていると厄介な急斜面が2ヵ所あります。今日は雪が少し付いていただけで、アイゼンを着けるほどではありませんでした。小ピークを幾つか越えると、ヤブ沢ノ頭です。 |
【急坂】 |
【ヤブ沢ノ頭】 |
【石棚山】 |
更に登り返して、ようやく石棚山稜に出ました。玄倉分岐の少し上に石棚山の三角点があります。
この石棚山稜が素晴らしい散歩道。 苔むしたブナ大木が多く、風格ある森です。
木に透けて見える富士山や遠く奥多摩の石尾根方面を見ながらお昼。気温はマイナス5度と低いものの、風はあまりないので寒くありません。 |
長い木段道を上がると、大きく撓んだ窪地に出て、周辺は「神奈川の美林100選」のブナ美林。 柵に沿って一旦下り、また登り返します。 |
【石棚山稜のブナ林】 |
【ブナ林ベンチ】 |
右に同角ノ頭から相模湾方面が見えるようになり、やがてベンチのある気持ちのいいブナ林に出ます。周辺には大木も多く、ゆったり寛ぐにはいい雰囲気。 |
苔むした大木を見ながら、柵に沿って遊歩道のような道を進んで行きます。春にはシロヤシオやミツバツツジが咲く散歩道。テシロノ頭は道標を見て、そうかと分かるほど緩やかです。 |
【テシロノ頭付近のブナ林】 |
テーブル・ベンチがあるユーシン分岐ですが、現在玄倉林道は歩行者も含め全面通行禁止です。 その先のガレ場からは御正体山や今倉山、大室山の大きな山容がきれいに見えていました。
【御正体山~大室山】 |
石棚山稜では誰にも会わず、やがてツツジ新道と合流しました。ここからは平坦な木道。
春はバイケイソウやマルバダケブキの葉が茂る木道で、檜洞丸らしい雰囲気のある所です。 |
【檜洞丸への木道】 |
【シロヤシオ】 |
檜洞丸山頂直下のシロヤシオの木。 大木ではありませんが、春には登山者を迎えるようにきれいな白花を咲かせてくれます。 |
檜洞丸山頂に着きました。 大晦日の檜洞丸には数人がいるだけ。 春の喧騒がウソのように静かな山頂です。 |
【檜洞丸 山頂】 |
早速西側の富士山が見えるベンチへ。 犬越路方面へ少し下って、展望を楽しんでから、青ヶ岳山荘へ向かいました。
【檜洞丸山頂から 富士山~大室山】 |
山頂から少し下ると、霧氷の消えかかったブナ林の中に青ヶ岳山荘が見えてきました。 正面には蛭ヶ岳~塔ノ岳の稜線が見え、尊仏山荘がちょこんと乗っています。 元旦には、あの右端の塔ノ岳の上からの初日の出が望めるそうです。楽しみ。
【蛭ヶ岳~塔ノ岳】 |
【青ヶ岳山荘】 |
青ヶ岳山荘はとても小さな小屋ですが、雰囲気は昔の山小屋ふう。薪ストーブの横に板の間があって、炬燵があります。
小屋主の高城さんが工夫して、自分で炬燵の足を高くしたり、壊れた側面を修繕したりして、快適な炬燵にしてくれました。
暖かな炬燵で同宿の方達とおしゃべりをしていると木の葉さんが到着。10:35のバスで犬越路から来られたそうですが、さすが早いです。
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コーヒーなど頂きながらのんびりしていましたが、いつの間にか夕暮れ。木の葉さんが気づいてくれて、慌てて外に出た時は蛭ヶ岳が赤く染まっていました。
きれいな蛭ヶ岳を振り返りつつ急ぎ山頂へ! |
【夕焼けの蛭ヶ岳】 |
【日没後の富士山】 |
檜洞丸の山頂手前で一瞬の輝きを見たように思いますが、富士山の見える北側へ下りた時には太陽は完全に沈んでしまっていました。
なんということでしょう、 大晦日の日没に間に合わなかった。 ガックリ・・・
でも富士山は山頂に少し雲が乗っているものの概ねきれいな姿。晴天に恵まれきれいなシルエットが見られただけでもよしとしましょう。
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この後、夕焼け空に浮かぶ富士山を期待してしばらく待っていましたがここは風が抜け、ひたすら寒い。
木の葉さんは薄着なのに我慢強い方でずっと待機していましたが、寒がりの私は先に引き返しました。 |
【犬越路方面】 |
でも途中で振り返ると、さっきより赤くなったような気がするので、また山頂へ。 この木々の間から見る富士山も、いかにも檜洞丸らしく、しっとりして好きな姿です。 暮れ行く御殿場方面の夜景を見て引き返すと、小田原方面の夜景もきれいに見えていました。
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【小田原方面の夜景】 |
【山頂からの富士山】 |
青ヶ岳山荘の食事は基本的に保存食ということで今夜はカレーでしたが、大晦日なので差し入れの鴨肉入りの年越しそばも出ました。今夜の宿泊者は管理人さん含めて10人。炬燵を囲むのに丁度いい人数で、おつまみやワインなどが回ってきて、おしゃべりして過ごしました。
消灯は8:30で、外に出ると星がとてもきれいに輝いていました。蛭ヶ岳の左は都心方面でしょうか、あちらもキラキラ。大晦日の夜の街は一晩中輝いているのでしょうね。この一年の無事に感謝しつつ、明日の初日の出を楽しみに床に就きました。 |