谷川岳

たにがわだけ(1963m)


谷川岳。若い頃は遭難が多く「魔の山」と呼ばれニュースで見るだけの山でした。
でも尾根伝いの道は笹や花がきれいそうなので、去年初めて地図を買いました。


2008.7.19
(土)
天神峠
展望台
熊穴沢ノ頭
避難小屋
天狗の
留まり場
トマの耳谷川岳
オキの耳
一ノ倉岳茂倉岳矢場ノ頭駐車場土樽駅
晴れ
のち曇り
09:50着
10:10発
10:45
10:55
11:25
11:35
12:2012:35
13:10
14:15
14:25
14:45
14:50
15:50
16:00
17:15
17:20
17:50着
17:57発



涼しいロープウエイ登山第二弾は谷川岳。一度は行ってみたいと思っていましたが、何と言っても我が家からは遠い。最寄り駅始発5:00の新宿行きに乗り、東京駅から高崎駅まではなんと新幹線!山へ行くのに新幹線なんて邪道・・・私の中では新幹線は旅行かビジネス用。山はお金をかけず鈍行か急行、せいぜい特急で行くもの、自家用自動車(いつの時代?)なんぞはもってのほか。と思ってきたので、新幹線なんて贅沢と思っていました。

が、仕方ありません。東京駅6:24発に乗って高崎駅で下車。30分待ちで上越線に乗り換え、水上駅に着いたのは8:50。バス停から見る山々には雲がかかり、何やら意気消沈。でも予報では昼頃には晴れると言っていたし、とにかく高い新幹線代払って来たのだからと、気を取り直して9:00発のバスに乗りました。

ここのロープウエイは乗るまでが長い。一緒にバスを降りた人の話では、「今日は空いているわね。秋はこの長い通路が行列で、乗るまで1時間かかったんですよ。」とのこと。やはり紅葉の頃は相当混みそうです。今日はスイスイ。くねくね長い通路の果てに乗り場がありました。


天神平
【天神平から見る谷川岳】

下りた天神平は、涼しい!
横に見える谷川岳の山頂には雲がかかっていましたが、うろうろした後リフトに乗っている間に少しずつ雲が流れ晴れて来ました。よかった、よかった。


天神峠には立派な展望台があって、上がってみると素晴らしい眺めです。
ここから見る谷川岳は緑の山。写真などでよく見る一ノ倉沢からの谷川岳とはちょっとイメージが違いました。目の前の天神尾根がなだらかに山頂に続いています。
左に続く尾根も気持ち良さそう。中央のどっしりと大きい山はオジカ沢ノ頭? 立派な山に見えるのに地図には標高が記されていない。緩やかな稜線がずっと左まで続いていて、あちらも気持ち良さそうです。

谷川岳と天神尾根
【たぶん万太郎山~オジカ沢ノ頭~谷川岳】

近くには天満宮があったのでお参りしてきました。天満宮の岩からは白毛門が目の前。下から一気に高度が上がり急登の連続のようですが、あの山から見る谷川岳は素敵そう。あの山もいつか登ってみたいと思いました。


白毛門
【白毛門】

天神山の山頂には東屋と山名案内板がありました。知っているのは至仏山と笠ヶ岳だけ。その右の武尊山(ほたかさん)は長大な山容で山頂まで7,8時間かかると聞いたことがあります。その右奥が皇海山(すかいさん)、初めて聞く山名です。


赤城山
【遠く左に赤城山   右は子持山】

更に右には赤城山(あかぎさん)。

「赤城の山も今宵限り 生まれ故郷の国定の村や 縄張りを捨て国を捨て 可愛い子分のてめえたちとも 別れ別れになる門出だ~」というのは、あの山のことでしょうか。
母は時代劇が好きでした。

周りの山々もゆっくり眺めたので出発。ニッコウキスゲやヨツバヒヨドリなど見ながら進み、やがて樹林の中を歩きます。天神平からの道と合流し、緩やかな上下の木陰道が続きます。

天神平からの道
【天神平から合流点を振り返る】

ダケカンバの気持ちのいい道になって熊穴沢ノ頭避難小屋に着きました。さほど歩いていないのに暑くて休憩。この先、岩が現れるとちょっと渋滞している所もありましたが、やがて明るい笹原になりました。


天狗の留まり場から
【天狗の留まり場から振り返る】



暑くなって、一歩一歩進んで行くと「天狗の留まり場」と書かれた札のある大きな岩に出ました。さっき休んだ避難小屋がすぐ下に見えますが、岩の上は気持ちいいのでここでもまた休憩です。

きらきら光る笹と青空。すっかり晴れて日差しが強く、暑いけど気持ちのいい登りです。タオルとウチワを両手に持ってひたすら歩く。

緑の笹原
【緑の笹原を山頂目指して】

時々立ち止まって振り返ると、一面笹原。歩いて来た天神尾根が気持ちよく伸びています。ここから見ると武尊山も皇海山も赤城山も同じ姿。至仏山と燧ケ岳も似ていましたが、この辺りは何やら似た山が多いと感じるのは私だけでしょうか。

笹の天神尾根
【振り返り見る笹の天神尾根】

オジカ沢ノ頭
【オジカ沢ノ頭への尾根道】

天神ザンゲ岩を過ぎると、左にはオジカ沢ノ頭への稜線がすぐ横に延びています。ここも気持ち良さそうな尾根で、いつか歩いてみたいなあと思いました。

やがて西黒尾根からの道と合流したところに肩の小屋がありました。山頂はすぐ上に見えているので、あと少しの辛抱。

谷川岳トマの耳に着きました。ほっと一息。
狭い山頂で東側は切れ落ちています。オキの耳がすぐなので写真だけ撮って先へ進みました。

谷川岳トマの耳
【谷川岳トマの耳】
トマの耳
【振り返り見るトマの耳】

振り返り見るトマの耳は、ようやくイメージの中の谷川岳と姿が合いました。


オキの耳に到着。
山頂にはハクサンフウロがよく咲いています。こちらの方がやや広いので、奥の岩でお昼にしました。

だんだん雲が広がって来ました。笹原の稜線での雷は怖い。しばし空を見上げ思案。ロープウエイ駅には「午後は雷に注意」の掲示板が出ていましたが、何となく大丈夫そうに感じるので、予定通り茂倉新道へ向かうことにします。

谷川岳山頂 オキの耳
【谷川岳山頂 オキの耳】

左に鳥居
【左に鳥居が見えてきた】

ここからは花も多くなってきて、イブキジャコウソウやタカネバラなど見ながら進んで行きました。

鳥居が見えてきて、富士浅間神社奥の院がありました。トマの耳は「薬師岳」オキの耳は「谷川富士」の別称があるそうです。


やがて右側がよく見えるようになって来ました。岩の上に立って覗くと、一ノ倉沢が真下に見えます。

ロッククライミングのメッカ、一ノ倉沢。
遭難死者800人という数は世界でも群を抜いているそうで、まさしく「魔の山」です。

更に進むと「ノゾキ」と書かれた岩場がありましたが、下はナナカマドの葉に少し隠れていました。

一ノ倉沢
【岩から見る一ノ倉沢】

谷川岳
【一ノ倉岳の登りから振り返り見る谷川岳】

一ノ倉岳への登りは短いながらも急登。振り返るとガスがかかってきました。暗い雲だと雷が怖いけど、時々薄日も差す薄いガスです。


両側が笹になって小さな蒲鉾型のトタン屋根が見えてきました。急な雷雨は凌げそうですが・・・ 稜線の雷も怖いけど、中は暗そうなのでどっちもどっち。道標横の石柱には一ノ倉岳となっていますが、あまり山頂っぽくなく、何も見えないので少し先の高みで休憩しました。この周辺はニッコウキスゲが多いです。


一ノ倉岳
【一ノ倉岳】

ニッコウキスゲ
【ニッコウキスゲ】

イワイチョウやウラジロヨウラク、タテヤマウツボグサなど見ながら緩やかに下って上がった所が茂倉岳。さっき通り過ぎて行った男性達がここで休んでいました。なるほど一ノ倉岳よりこちらの方が見晴しが良さそうで、休憩にはいい場所です。せっかくなので、ここでもちょっと休憩。男性達は蓬峠の方へ下って行き、私は茂倉新道へ進みましたが、ここからは更に花が多くなりました。


茂倉岳
【茂倉岳】

草原道
【花が続く茂倉新道】

花と笹の草原がずっと先まで続いています。クルマバナやハクサンチドリ、オタカラコウなどがあちこち咲いていました。今日はガスって展望がなく残念ですが、ここは晴れていれば本当に気持ちよさそうな道です。下に避難小屋の屋根が見えて来ました。

笹と草原の尾根
【気持ちのいい笹と草原の尾根】


タテヤマウツボグサ

オタカラコウ

ハクサンチドリ

ニッコウキスゲ・クルマユリ

茂倉岳避難小屋
【振り返る見る茂倉岳避難小屋】

茂倉岳避難小屋には今夜の宿泊者女性二人連れがいました。時々ガスで視界が悪くなります。シモツケソウ、ニッコウキスゲ、クルマユリなど見ながら下ります。

気持ちのいい草原道は矢場ノ頭まで続きました。矢場ノ頭で休憩。

矢場ノ頭から
【矢場ノ頭から見る茂倉岳】
木の根
【浮き出た木の根】

矢場ノ頭からは樹林帯の急下りになりました。少し下ると木の根が浮き出た、歩きにくい道になります。狭い尾根にしがみつくように大木が根が張っているので、跨ぎながら進んで行きました。

少し緩やかになって、ブナの横に立派な檜の大木がありました。檜は植林の木(?)と思っていましたが、これはどうやら天然の檜。自然の檜を見たのは初めてかも。

やがて広葉樹の下りになり、所々滑りやすい箇所もありました。

檜
【大きな檜】

ブナやミズナラの先、日が差してきてハルゼミの賑やかな急下りを過ぎると右下に草の広場が見えてきました。登山口には「アサヒタクシー 越後湯沢まで約20分。小型3800円。TEL:025-784-3410」の看板がありました。新幹線が通るようになって上越線の本数はすっかり減ってしまい、何かの時にはタクシーも必要です。広い草地には車が一台停まっていました。あとは土樽駅まで車道歩き。


高波吾策氏の像
【高波吾策氏の像】

途中に高波吾策さんという方の銅像がありました。今日歩いて来た茂倉新道や吾策新道、平標新道など数多くの谷川岳登山道開拓に尽力された方だそうです。隣の鐘を鳴らして今日の無事な山行に感謝しました。

土樽駅からは一旦下り電車(3時間に1本しかない!)に乗って越後湯沢まで行き、新幹線に乗り換えて帰りました。帰宅したのは21:30。やはり谷川岳は遠く、日帰りではもったいないなあと思いました。


岩山のイメージだった谷川岳。東側と西側ではまるで雰囲気が違って、東側は絶壁、西側は笹原の広がる優しい山々が広がっていました。紅葉の頃にまた、ロープウエイを使わなくてもいい静かなルートを歩いてみたいと思います。


 谷川岳の花々



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