北横岳

きたよこだけ(2472m)
2008年7月12日~13日

梅雨後半のこの時期、北八ツの雨池や双子池へ行ってみたいと思いました。
北横岳から蓼科山、天気が良ければ八子ヶ峰まで足を延ばそうと思います。


2008.7.12
(土)
 山頂駅大石川林道雨池山頂駅北横岳
ヒュッテ
北横岳大岳分岐天狗の露地双子池
ヒュッテ
晴れたり
曇ったり
 11:30着
 11:35発
12:1012:25
12:45
13:45
13:50
14:4014:50
15:05
15:4516:25
16:30
17:00



急に暑くなったので交通機関で一気に山の上に行くほうがいいなと、軟弱者の発想で北八ツへ出かけることにしました。北横岳から北へはまだ行った事がありません。昔、静かな池の印象があった雨池へも行きたいので麦草峠から行こうと思いましたが、午前のバスが運行されるのは連休からのようです。来週の天気はどうなるか分からないので、ロープウエイ利用で雨池峠から行く事にしました。

茅野駅10:15発のピラタス行きバスとロープウエイを乗り継いで山上駅に着いたのは11:30。北横岳の山頂にはガスがかかり、がっかりしながらも身支度して出発。観光客の皆さんが進む坪庭方面の道を見送って、真っ直ぐ雨池峠へ向かいました。7,8年前、八丁平周辺はもっと花が多かったような気がしますが今は熊笹がいっぱいです。

雨池峠から岩ゴロゴロの道を緩やかに下ります。岩陰には花の終わったイワカガミが見え隠れしていました。

やがて急な下りになって林道に合流。


雨池へ
【雨池へ】
大石川林道
【大石川林道】

大石川林道は未舗装の道なので気分よく歩けます。熊笹と白樺林の雰囲気のいい林道を進んで行くと、カーブの先に雨池への道標がありました。左の原生林を下りて行きます。

まもなく、苔むした木々の向こうに池が見えてきました。


昔は池の水際をぐるっと歩いた記憶がありますが、この時期は満々と水を湛えて、まさに原生林に抱かれた小さな湖のよう。隣の白駒池は、旗を持ったガイドさんがツアー客を引き連れてボートが浮かぶ池になってしまいました。せめて雨池はいつまでもこのままでいてほしいと思いながら、水際の岩に腰掛け半分だけの昼食タイムにしました。



誰もいない池と森には、かすかなシラビソの匂いが漂い
水面が風に揺れて、聞こえてくるのは鳥の囀りだけ。
太古から時間が止まったような空間で、しばし空を眺めていました。

雨池
【雨池】

さて出発。小鳥の声を聞きながら、さっきの雨池峠に戻りました。北横岳へは三ツ岳経由でも行けますが、三ツ岳は行ったことがあるし時間がかかるので今日はロープウエイ駅へ戻ることにします。青空になって北横岳の山頂も見えてきて、縞枯山荘の前にはクロユリが一本だけ咲いていました。


縞枯山荘
【縞枯山荘】

クロユリ
【クロユリ】

ロープウエイ駅の上に飛行船のような暗い雲。
天気が心配。悪くなりそうなら帰ればいいか。

山上駅でコケモモアイスを食べてから、坪庭を散策する観光客に混じって溶岩帯を上がりました。途中左手に、北横岳への道標があります。


ロープウエイ駅
【ロープウエイ駅に戻る】
イワカガミ
【イワカガミ咲く登山道】

坪庭のイワカガミはもう咲き終わっていましたが、登山口から樹林帯を登って行くとまだきれいに咲いていました。

山腹をジグザグに急登して、稜線に上がると三ツ岳の分岐に出ました。さっきの雨池峠から三ツ岳経由で来ればここで合流します。

ここからは道も緩やかになり、苔むした岩のあちこちに白い花をぶら下げたオサバグサが咲いていました。この花も可憐な花ですが、小さくて私のカメラではいつもボケてしまいます。

北横岳ヒュッテに到着。
ここまで来れば山頂はすぐです。

北横岳ヒュッテ
【北横岳ヒュッテ】
北横岳・南峰
【北横岳・南峰から見る八ヶ岳】

ヒュッテから短い急登で、北横岳南峰に着きました。振り返れば、雲が多いながらも赤岳や阿弥陀岳、権現岳などがよく見えています。八ヶ岳を眺めながら、残り半分の昼食タイム。


隣の北峰から見る蓼科山。
天気が悪くなりそうならロープウエイで帰ろうと思いましたが、上空は雲が多いながらも西の方は晴れていて明るい。明日の天気は良くなりそうなので、予定通り双子池へ下りることにしました。

地図を見れば大岳まで緩やかな道。その後の急下りも一旦は緩やかになりそうだし、約2時間で小屋に着くなら、5時頃には着くだろうと出発しました。

北横岳・北峰
【北横岳・北峰から見る蓼科山】

尾根伝いにしばし樹林の中の下りで小さな鎖場もありますが、コイワカガミが点々と現れて初めは楽しい道でした。が、だんだん大きな岩になって、けっこう段差が大きい。確かに緩やかではあるけれど・・・岩と岩の隙間がポッカリ大きな穴を開けて、なんて歩きにくいんでしょう。山の本などでは、山小屋到着は基本的に3時まで。遅くなっても5時を過ぎるのはマナー違反というのを読んだことがあるので気が急く。


亀甲池?
【下に見える小さな池は亀甲池?】

途中左下にぽっかり小さな池が見えました。山に囲まれ、地図で見れば亀甲池のようです。

地図には岩石帯と書かれているけど、歩幅に合った岩を選びながら歩けばいいからと甘く考えていました。
しかし、とんでもない。
行けども行けども段差のある大岩ばかり。

岩塊の道
【岩塊の道】

上にいた雲もどこかへ行って西日が暑い。大分進んで、見晴らしのいい小さな岩峰に出ました。そろそろかなと前方を見れば、けっこう歩いたつもりなのに大岳はまだ遠い・・・・北横岳を振り返り見れば意外と近く、ここは半分くらいなの・・・


大岳
【大岳山頂はまだ遠く・・・】

北横岳
【北横岳からあまり遠くない・・・】

岩々の道は楽しいはずなのに、ちょっと焦りようやく大岳分岐に着きました。ここで一旦ザックを下ろし山頂へ行こうかと思いましたが、やはり時間がない。山頂からの眺めは北横岳とさっきの岩峰からの眺めを足したような感じでしょうか。ピークハンターではないし行ってもすぐ戻るだけの山頂ではつまらないので、またザックを担ぎ直し大岳の山頂はパスすることにしました。


下りも大岩
【下りも岩が続く】

あとは下るだけ、そのうち樹林帯の普通の下りになるかと思いきや、相変わらず大岩の下りで、苔むして滑りやすい箇所もあります。登りならつま先をかけて上がれても、下りは足が届かず両手で支えながら足を下ろすような箇所もありました。

岩と岩の隙間がのぞいて風穴のように口を開けている箇所も多く、落ちれば自力で抜け上がるのはかなり困難。ここは登るのも直登なので大変そうですが、下りもただ事ではない。


でも岩陰にはまだ可愛いイワカガミが沢山咲いていて、時間を気にしつつも写真を撮りながら下って行きました。傾斜が緩めばマシな道になるかと思いましたが、相変わらず岩が広がっています。ペンキ印を頼りに進んで行きました。


緩やかになった岩
【緩やかになった岩道】

ペンキマーク
【ペンキマークはついている】


ようやく「天狗の露地」に到着し、休憩。
狭いながらも平坦な地面があって、逆ルートの場合でも休憩するのに気持ちのいい場所です。

天狗の露地からは方向が変わり、また急下り。
この先こそは普通の樹林帯だろうと思っていたのに、なおも大岩の下り。『いい加減にして』と言いたくなるような下りが続きました。


天狗の露地
【天狗の露地】
双子池
【双子池が近づいた】

ようやく下に双子池と小屋が見えてきました。
やれやれ、ほっとひと安心。気が急いた下りでしたが何とか5時には着きそうです。

しかし、まだまだ岩が続く。気を抜いてはいけません。また怪我したら大変です。

4:57 着いた着いた! よかったよかった!
無事、双子池ヒュッテに到着。

この下りが、こんなに大変だとは思いませんでした。北横岳~大岳~双子池は八ヶ岳の一般ルートの中で一番歩きにくい道だと思いました。

双子池ヒュッテ
【双子池ヒュッテ】

予備にパンを持ってきているけれど、「今から二食付きでも大丈夫ですか、もし間に合わなければ朝食だけでもいいんですけど。」と聞くと、「あの下りは大変だったろう。大丈夫だよ。じゃあ、食事付きね。」と親切な親父さん。小屋到着には私より遅い人もいたので、ちょっとほっとしました。やはり大岳経由で下ってきた人でした。「こんなにひどい道だとは知らずに来ました。」と言ってました。ほんとですね。

親父さんは話好きで、雄池は水質検査で大腸菌も検出されずミネラル豊富で小屋の料理にも利用していてそのまま飲めるとのこと。隣の雌池は飲用には適さないそうです。小屋の前は熊笹が刈られていましたが、以前はヤナギランやハクサンチドリなどがたくさん咲いていてそうです。熊笹が広がってきて困ったものだと嘆いていました。


雄池
【雄池】

雄池は澄んだ水に木々を映してシーンと静か。石に腰掛け、池の水面に見入っていました。

ちょっと離れた雌池は西日が差して明るい。小鳥がさえずり、こちらも静かな池です。右手にはテント場があり、女性二人連れが行き来していました。

雌池
【雌池】

夕食は5:45からで宿泊者は二人連れ二組と単独男性と私だけ。それぞれ個室で和室6畳を一人でゆったり使えます。枕カバーも洗濯されていて、山小屋にしては布団類はきれいに感じました。

夜、空には明るい月が出ていました。カーテンのない部屋は窓から差し込む月明かりで明るく、時々目を開けて月を見ながら眠りに就きました。明日は天気もよさそうで、嬉しく感謝です。



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